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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

院長コラム

 先日、ある飼い主さん(Mさんと言う方にしておきます。)とお話していて、「先生、先生の所のホームページ結構見てるんだけど、先生のブログ、全然更新してないよね…。
 例えば、今日のおかずはこうだった。でも何でもいいからちょっとでも書いた方がいいんじゃない?」と有り難い御指摘を頂きました。
 そして、前回に引き続き、勉強会仲間のW獣医師からも昨日同じ御指摘を受けてしまいました…。(「おいおい!いい加減に更新しろよ!」と…。)

そうなんですよね~…。
 日々過ごしていて、「この事書こうかな~…!」と思うことが結構あるのですが、九時・十時に家に帰ると、直ぐに冷蔵庫に直行して、ビールの蓋を開けると同時に、起きてる子供相手(三人のうち、一人か二人は寝てるのですよね…)とちょこっと話をして、「宿題ちゃんとした~??」とか言っているうちに寝てしまうのですね。

 朝は、早めに起きて仕事絡みの本や好きな本を読んだりして過ごすのですが、そうこうしてるうちに子供を送り出す時間になってしまい、八時過ぎに犬を運動場に出すと、大急ぎで職場に出かける毎日です。

 たまたま、先日 本田健さんの『きっとよくなる』の本がありましたので、開いてみましたら、「愛をひっこめない」というところが出ました。

著者が若い頃、アメリカにいらした時の話です。
 その時牧師さんに「あなたが死ぬ時に後悔することは何だと思いますか?」と聞かれ、本田氏が考えている間に、その牧師さんが「私が一番後悔するだろうと思う事、それは愛を引っ込めたことだと思うのです。
 和解しなくてはと思っていたのに、そのまま亡くなった父親。ねぎらいや感謝の言葉を伝えたかったけど、別れてしまったパートナー。愛を示せたのに、気恥ずかしさとか面倒くささで、愛をひっこめたこと、それを私は一番悔やむでしょう。」と仰ったと言うことでした。

本田氏が子供の頃の出来事…
 ベトナム戦争が終った後に、東南アジアの方と思われる難民の子供とスーパーで出会った時のことです。
 その小さな子供は、アイスクリームを欲しがっているけれどお金がなくて買うことができない様子でした。
 「この子にアイスを買ってあげて!」幼い本田氏はその時に彼の母親にこの一言を言う勇気がなかった事を今でもずっと後悔してらっしゃると言うことでした。
 言いそびれているうちにその子は、お父さんに連れられて行ってしまったそうです。
 「あの時私がもう少し勇気を出していれば、あの子にアイスを買ってあげられたのに…。彼らにとって、心細い外国で自分が示せたかもしれない親切は、どれほど彼らを勇気づけてあげられたでしょう。
 その後も頭では解っているのに、何度、愛を引っ込めてきたか解りません。その度にあの牧師さんの言葉が頭をよぎります。」そして、「うまく出来ない時でも、自分を許してください。そして次の機会にはもう少し勇気を持って、愛を表現してください。あなたはこれまで、愛を引っ込めたことがありますか?」と結んでありました。

私もいつも思います。
 「ブログの更新したほうがいいよ!」とアドバイスして下さったMさん、その他いろいろ仕事がらみでお世話になっている方々、大事な動物を難治性の病気で治療していても亡くしてしまい、御挨拶に来てくださった飼い主さん…。
 その時にもっともっと自分の気持を上手くお伝えできてたら良かったのにな~…と。
 忙しさに取り紛れて、ついつい機会を失ってしまい、その後御挨拶も出来ないまま、後悔の日々を過ごしています…。

 今日から、また出直して「愛を引っ込めることなく生きて行きたい。」と思います。

この場をお借りして、
 「皆さま、色々支えて下さいまして、どうもありがとうございました。今日も皆さまとその動物達の御健康をお祈りしています。」

2007年 2月 07日 掲載

 この二ヶ月の間、高齢のオスのワンちゃんの前立腺肥大が立て続けにあり、去勢手術が続きました。(去勢手術は、前立腺肥大や肛門周囲腺腫の予防になりますし、罹った子に対しても一旦対症療法をした後再発の予防にもなります。)
 中には、重度の心疾患に罹っており、結局手術できない子もいました。

 避妊手術(広義の意味では去勢手術も避妊手術と言います。)は本当に迷うと思います。
 「痛い訳でも痒い訳でもないのに、可愛い子の体にメスを入れるなんて・・・。。。」と。

 開業当初も今も避妊手術をする意味を飼い主さんにお伝えして、お薦めしておりますが、私も年を取ったせいか最近は、「うん・・・。そうだよね~・・・。痛いわけじゃないのに、メスを入れるなんて本当に迷うよね・・。」と言ってしまいます。
 本当に迷うでしょうからね・・・・。 何だか最近の私は開業当初程強くお薦め出来ないところがあります。

 数年前のある土曜日に、息子が借りてきた「ドリトル先生・・」のビデオの一場面を台所に立ちながら偶然観たことがありました。
 確か去勢されるべく動物病院へ連れてこられた犬が「僕は去勢手術なんかして欲しくないよ~・・。」と言っていました。(台詞が曖昧ですみません。)
 ・・・ホント、そうだろうな~・・・・と思います。

 獣医に薦められ、そして、本やインターネットで調べた飼い主さんが「やっぱ、病気の予防の為に可哀想だけどうちの子も避妊手術するしかないよね!」と言う事になり、本人の(本犬の?)意思は無視して病院で手術を受けなくてはならない訳ですから・・・。
 そして、犬達からすると「勝手に手術しといて、今度は普通に食べてても太ってきちゃったからと、急にダイエットさせられて、あったまくるぅ・・!」と思っているかもしれません。

 ただ、一旦それらの病気になると、やはり「若いうちにしておけばよかった・・・。一旦しようと思ったけど、時期を逃しちゃったんだよね・・。」と、どの飼い主さんも言われます。

 絶対その病気になるとは限りませんが、ならないという保証もないですから、やはり私も飼い主さんに共感するだけではなく、獣医の立場として、避妊手術をお薦めしなくてはならないな~と思う今日この頃です。

2006年 10月 23日 掲載

 二年程前から知多半島の親しい獣医さん達と、一月か二月に一度勉強会をしているのですが、そのうちのW先生と先日お電話でお話してた時、「あのさ~・・・。あんたのコラム、ひょっとしたら、飼い主さんの中には楽しみにして読んでくれる人もいるかもしんないよ。
 ず~っと更新してないじゃん。それって読む気なくすし、第一その人達に失礼じゃない?!」とW先生。
 「はぁ~…。なかなか忙しくって…、まとまった時間が取れないんですよね・・。」と私。
 「だからさ~、構え過ぎなんだってば! 何も症例や飼い主さんのことばっかり書かんでも、仕事以外の事でも良いから書けばいいんじゃん!」と言われました。
 いつだったか、夜中に「なかなか良いコラムが思い当たらん・・・!」と長男に言いましたところ、長男からもW先生と同じ事を言われましたっけ…。

 それで、思いつく事があったので、今日書くことにしました。やはり仕事絡みのことではありますが…。。。

 以前コラムにも書きました通り、この5年間獣医二人~三人体制でやってきましたが、出産等の事情により、獣医が私一人になってしまいました。
 3人で診察させて頂いていた患者さんを、私一人が診せて頂く事になり、少々??テンパッテおりました。
 飼い主さんをお待たせする時間が長くなり・・、「だからと言って手を抜くのも絶対よくない!」と思いながら毎日仕事をこなしておりましたので、待ち時間の長い方々には本当に申し訳ない気持ちで一杯でした。

 今日のコラムは、以前、この私のコラムでも御紹介させて頂いたH氏の診察の時のお話です。
 当院は予約制なのですが、H氏は、実に几帳面な方で、毎回必ず予約10分前には当院にお見えになります。(基本的に日常生活でも時間を守るのが苦手な私はいつも頭の下がる思いでお迎えしています。)
 そして、いつも病院の方針や飼い主さまのモラルなどについて、ある時は辛口の…、そしてある時はお褒めのお言葉を頂いたりして、私達はそのお言葉を頂戴する度に襟元を正したり、勇気が湧いたりしています。

 何時だったか休み明けの月曜日の午後、待合室が混み合っていた時に、Hさんの慢性腎不全の猫ちゃんの鍼灸の施術も終わり、ちょっと世間話をした後、「他の患者さんの予約の時間がかなりずれ込んでるから、そろそろこの辺で次の方を診せていただこう。」と思い、「それでは、Hさん、また来週お待ちしてますね!」と椅子から立ちながらそうお伝えしたところ・・・。

 「は~??」と言われてしまいました。

 それで、私こそ「は~???」と言う顔をしていたようで、それを見て、H氏が「先生、この後に点滴があるんじゃないの?!」と仰るじゃありませんか!!

 すぐさま「Hさん、すみません! またやらかしてしまいました・・。もうホント私ってドジなんですよね! 今すぐ点滴をしますね!」と言いながら、慌てて点滴をし始めましたら、なんとH氏は「これだから、先生はもつんだよ! うん!」と言って下さいました。
 「・・・・・。。。。」何とお答えしたら良いものか…。
 ちょっと返答に困りましたが、でも、よくよく考えたら「有り難いな~!!」と思いました。
 きちんと時間通りにお見えになるH氏をいつもお待たせしているにも拘らず、文句一つ仰らないだけでも本当に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、こんなペースでもちゃんといらして下さって、尚且つ「そういうドジなところがあるけど、これで良いんだよ!」と仰って下さって…。
 本当に申し訳ない気持ちと救われた様な気持ちで一杯になりました。

 今日も、スタッフとのミーティングの中で、「どうしたら飼い主さまをお待たせしない様に出来るか。」と言うテーマで話し合いました。
 お陰様でAHT(動物看護士)はバイトの人を含めて、何とか確保出来ましたが、今の時期、獣医師はなかなか中途採用できないのが現状です。
 ひとまず、短い時間内で無理して予約をお取りする事によって、飼い主さんとその動物達の院内での待ち時間を却って長くしている様なので、もう少し余裕を持って各々の動物の診察時間を長めに取るようにし、7時までに終りそうもない時は、お電話の受付は7時まででも、診察時間は延長させて頂きましょう。と言うところに落ち着きました。

H氏のお言葉に励まされながらも、「だからと言って、調子に乗る事無く、みんなで顔晴ろうね!」と言うところで今日のミーティングは終りました。

 Hさん、そしてその他の飼い主さま
 いつもありがとうございます。

 色々な面で御迷惑をお掛けして、まだまだ努力不足のところもある私達ですが、どうぞこれからもよろしくお願い致します。

 来年の4月には・・・・素敵な女性獣医師が入ってくれる事を期待して…今日はこの辺でおしまいにします。

 最後までお読み下さいまして、ありがとうございました(^^)。

2006年 10月 14日 掲載

 毎日残暑が続きますね~…。
 忙しさもあって、「ちょっとしたお話」や「ニュース」に手が付けられませんでした(反省・・・。)が、そろそろ更新しなくてはと思っております。
またそちらの方は参考にして頂くと幸いです。

 さて、今日は全然動物には全然関係ないお話なのですが、このHPのリンクの欄にもあります、友人の紺野大輝さんの講演会について御紹介させて頂きますね。

 紺野大輝さん(通称こんちゃん)の名古屋での三度目の講演会が9月2日にあります。
 私は去年二回、彼の話を聞かせて頂いたのですが、私にとって、彼の話はとても勇気が出たり、日頃生活する上で、参考になるものばかりでした。
 何より、聞いた後、「うん、これで良いんだ!」と思えるようにもなりました。

 まだまだ暑さは続きますが、もしお時間があればいかがかな~と思って御紹介させて頂きました。
 因みに今回は、古市佳央さんも併せて講演されます。詳しくは以下のところで直接ご覧くださいね !

●「生きてることにありがとう」(in名古屋)
~感謝の気持ちが道を開く~
日時:2006年9月2日(土)13時30分~16時30分
講師:「笑顔がいいね」代表 紺野大輝
「オープンハートの会」会長 古市佳央

2006年 8月 19日 掲載

 今年は、長い梅雨がなかなか明けず、ここ愛知ではこうして平和な日々を過ごしていますが、毎日流されるニュースで九州その他の地方の天災が流される度に、本当に大変だなーと思いながら見ています。
 行方不明の方の御家族の心配は如何ばかりかと思いますし、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りするばかりです・・・。

 ところで、先の「スタッフ紹介」にも掲載させて頂きましたが、5年間一緒に看板を背負って働いてくれていました水出獣医師がこの6月末に出産の準備で退職し、また昨年九月から当院で頑張ってくれていた石野獣医師も体調不良の為、残念ながら、6月初めに退職致しました。

 この九月から、獣医3人体制でスクラムを組んでやって参りましたが、今は獣医が私一人となり、来院して下さる飼い主さまとその動物達をお待たせする場面が多くて、心苦しい限りです。

 重度のアトピー性皮膚炎や、慢性肝炎などは、オーリングでお薬を選ぶ場合もありますので、お時間が掛かりますし、第一診察室で鍼灸を施している時は、レントゲンや血液検査等が済んだ他の動物とその飼い主さまには、結果が出るまで、その間第二診察室でお待ち頂いたりしています。

 今は、AHT(動物看護士)と、「どうしたら、診察の手を抜く事無く、動物と飼い主さまにお待ち頂かない様な工夫が出来るか。」と言う事を毎日のミーティングで話し合っています。
 それで、7月初めは、一旦15分刻みにして無理に予約を入れさせて頂いておりましたが、なかなか思うように診察が進まなくて、結局長時間お待たせしてしまう場面が多くなりましたので、今は、7時までにご予約のお電話を下さった方でお待たせしそうな状況になりそうな場合は、7時以降に予約を取らせ頂いています。
 その様な訳で、皆さまには大変御迷惑をお掛け致しますが、御理解ご協力の程、よろしくお願い致します。

 以前から来て頂いている飼い主さまからは、度々激励のお言葉を頂き、本当に感謝の気持ちで一杯です。
 何とか、皆様の御要望にお応え出来る様、スタッフ一同力を合わせて頑張って参りますので、どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m。

 尚、まだまだ努力や工夫が足りない面もあり、私達が改善すべき点など御意見等おありでしたら、ご遠慮なく言って頂けますと、誠に有り難く存じます。
 併せてよろしくお願い致します。

 最後に・・・・先日、たまたまお聞きした「文化団体笑顔共和国大統領」の福田純子女史のお言葉を御紹介しますね。

・点々を取ると、良い言葉になる。
どく(毒)→とく(得)
ぐち(愚痴)→くち(口)
ギラギラ→キラキラ
ガミガミ→カミガミ(神々)
ハードスケジュール→ハートスケジュール

・顔面フィードバック
心は体の真似をする事があるのです。良い事があったから笑うのではなく笑っているから良いことがある。

・・・と言うことで、
今日もスタッフ一同笑顔で顔晴りま~っす\(^0^)/.。
どうもありがとうございました。

2006年 7月 25日 掲載

 日頃診察させて頂いている中で、飼い主さんからその子の病気以外のお話をお伺いする機会があります。

 お会いする度に、「いつも笑顔の素敵な飼い主さんだな~・・・・。。」と思っていたのですが、そのお話の中には、とても辛い体験談があったりして驚く事があります。

 その度に、「誰でも色んなものを抱えながら、それを一つ一つ乗り越えられて、こうして笑顔で頑張ってらっしゃるんだな~・・・。」 とその方がより素敵に見えてきたりします。
 そして、今日もそんな一日でした。

 動物を診察する仕事を通して、色々な事を教えて頂いたり、「よっしゃ~、明日も頑張ろう!!」と、飼い主さんから元気を頂いたりして・・・。
なんて有り難い仕事をさせて頂いてるんだろう・・・。
と思う今日この頃です。

2006年 5月 25日 掲載

かれこれ4年程前になりますが、宝石光線療法(テレセラピー)を自分の病院の治療法の一つとして取り入れた年に、宝石光線療法の発明者のお孫さんであり、インドで第一線で活躍なさっている医師 A.K.バッタチャリア博士の講演をお聞きしました。
その時の「医者は患者を脅しすぎている。不安を抱えて来院している患者さんの気持をあおる様な発現はすべきではない!」と言う言葉がとても印象に残りました。

確かに、まだ起きてもいない出来事をあたかも直ぐ起きるような口調で言う医師(獣医師)や、これは末期癌患者のご家族の方からお聞きしたのですが、その病気と闘っている患者さんを目の前にして「今の段階では、すべき事は何もありませんから・・・。」と医師に言われたそうで、その日からその方のお兄様はどんどん悪くなられて死期が却って早まったそうです。

バッタチャリア医師は腫瘍の患者さんが来院した時、「これは単なるデキモノだよ!」と言われるそうです。
でも実はこれには裏話があって、彼はサイキックなところがあり、患者さんを目の前にすると末期の場合、何日に亡くなるのかが、直ぐ分かるらしいのです。
なので、余計な情報を入れずに直感でその方に必要な情報だけ入れる事が出来るんですよね。それで、患者さんは安心して病気と闘ったり死を迎える事が出来るようです。(彼がこの特殊な能力を持っていると言うことは、たまたまお互いの共通の友人がいて、後になって私は彼女からその事を聞きました。)

それは置いといて・・・バッタチャリア医師の様な特殊な能力を持っていない私は、重症な動物の飼い主さんへの説明はいつも、“どうしたら落胆する事なく、その病気と闘う様に出来るか。”と言うところで迷ってしまいます。
なぜなら、私はいつも 「思うように転がる・・・。」と思うところがあるからです。
これは「必ず思い通りになる。」と言う事ではありませんよ。
でも、試験でも試合でも(そう!オリンピックしかり、今日の国別対抗野球大会もしかり・・・)、そして私達の仕事でも・・・「ダメじゃないか?」と思った時は殆どがダメな結果が出たりします。

 「殆ど気持がそっち(マイナスの方)に向かっているのにも拘らず、結果は良いほうに向かった!」と言う事はあまりないんじゃないでしょうか?
と言う事は、飼い主さんに「こうなるかも知れない!」と悪い情報をお伝えすると、そっちの方へと飼い主さんの気持が進んで行って、却って動物もその気持を読み取って、病気の進行が早まったりしないか?!と言う不安が出てきます。それが果たして本当に飼い主さんや動物にとって良い事なのだろうか?と思う訳なんですよね・・・。

でも、たとえ悪い事でも、「こうなるかもしれない・・。」と言う情報をお伝えするのも私達獣医の仕事の一つでもあります。
特に死期が近いと思われる子や重症の子は飼い主さんのお気持を考えると本当はお伝えしたくないのですが、でも敢えてお伝えしなくてはならないとも思います。
ですのでそういう時はいつも、「難しいな~・・・。」と思ってしまいます。

それで最近は、予想されうる悪い事態を一旦飼い主さんにお伝えしてから、「今の病気でこうなる可能性はあります。でも、現実を受け止めつつ、今現在がそうなってる訳じゃないので、悪い事ばかりを考えるとそっちの方に転がって行く事ってありますよね。なのであまり意識しすぎずに一緒に頑張って行きましょう!」とお伝えする事にしています。

久々のコラムでしたが、何だか、また長くてくどくなってしまいました・・・。(反省)
最後までお読み下さいましてありがとうございました。次はもっと短くて読み易いコラムを書こうと思います。

春、、、春ですね~・・・。
お隣の畑に植えられている梅の花を愛犬(ムサシ)の散歩で毎日眺めては、ふと、心を和まさせて頂いています(^^)V。

2006年 3月 21日 掲載

最近「師走のせい」ばかりではなく、日本中が慌しく、私などもいつも何かに追われてせっつかれているような思いで毎日生活しているところがあります。

それはきっと、飼い主さんたちも同じことだと思います。
当院に来院される方の多くは女性であり、仕事、家事、子育てなどの合間に来てくださいます。
そして少数の男性は御自分の仕事が終わり次第、急いで車を走らせて来てくださいます。
その様にお忙しい中で、来院してくださる飼い主さんには本当に頭が下がる思いで診察させていただいています。

先日、ある壮年の男性(Hさんと呼ばせて頂きます。)に「お忙しいところ大変でしょうが、また、いついつに点滴に来ていただけますか?」
とお伝えしたところ、「いいえ、大変は大変ですが、大切な子ですから・・・。私たちはこの子達にいつも癒されているんです。なので、この子達にその恩返しのつもりで、出来る限りのことをしたいんです。」と仰いました。
その方は三月から当院に来て下さっているのですが、15年以上前から猫ちゃんをずっと飼ってらして、多いときには6匹、現在は2匹飼っていらっしゃいます。

今までの猫ちゃん達との暮らしの中で、この一年ちょっとのうちに、2匹腎不全の末期(高齢の猫の死亡率のトップだと思われます。)で亡くされて、とても悲しい御経験をされていました。
それで、今診せていただいている子は、16才の雌猫なのですが、6月のある日、「前の猫達の様に、手遅れにならないうちに、血液検査をして欲しい。」と、無症状の時に突然来院されました。
その時に、慢性腎不全の中期(Ⅰ期~Ⅳ期のうちのⅡ期)である事がわかり、飲み薬とともに週2~3回点滴する為に通院して頂いて、今、その子は症状の発現もなく、良い状態でいてくれています。

その事をきっかけにして、今行っている「年に一回(4~7月)の犬の血液検査」だけではなく、「猫も6才を過ぎたら半年~一年に1回の血液検査を飼い主さんに推奨しよう!」という事になりました。

私たちの病院では、「その子に一番良いと思われる事をさせて頂こう!」というのが、一つのスローガンでありますが、やはり、人間の様に保険制度が徹底している訳ではない為、なるべく不要な検査をしない様に気をつけているつもりでも、どうしても検査をしなくてはならない場面が出てくる事があります。
その度に、飼い主さんとは、お話をさせて頂いておりますが、それでも治療させて頂く私たち獣医と飼い主さんとの間に多少のずれが生じる事が、たまにあります。

3年前から推奨しております「猫のフィラリア症予防」にしても、そして今回の高齢猫の血液検査にしても、“過剰診療ではないか?”と思われるのが、正直少し怖いところもありましたが、今回のHさんの一件で、大切になさっている動物達に良いと思われることは、それが検査であっても、やはり自信を持ってお勧めするべきだと確信する事が出来ました。

この様に、また立ち止まって原点に帰るきっかけを下さった Hさんにとても感謝しています。

2005年 12月 21日 掲載