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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

東洋医学よもやま話

『お灸は、やったもん勝ち!!』  

今の時期、蒸し暑い『外邪』の影響を受けて、湿疹や泌尿器疾患が多いので、『湿熱』または『暑邪』について書く予定でしたが、以前から「ご自宅でのお灸をもっとお勧めしたい!!」という気持ちが強かったので、今回は『お灸』について書かせて頂く事にしました。

当院では、多くの飼い主さまの動物にご自宅でお灸をして頂いています。
先ずは『お灸の特徴』についてお伝えしますね。

①お灸に使う『もぐさ』は、『ヨモギ』の葉から作られます。
その主成分は『チネオール』と言う精油であり、抗炎症作用、鎮痛作用、鎮静作用などを持っています。

②お灸は、患部を温めて血の巡りを良くします。それによって患部の痛みを和らげます。
中医学の言葉に『痛即不通(つうそくふつう)』または『通即不痛(つうそくふつう)』と言うものがあります。
よくある間違い探しのようですが、この二つの言葉の意味は同じです。

一つ目は「痛みは、血が通ってない(血のめぐりが悪い)ということである。」という意味であり、二つ目は「ちゃんと血が通っていれば、痛みは起こらない。」という意味です。
ですので、『もぐさ』の薬理作用と共に患部を直接お灸で温めて血行を良くすることにより、痛みは改善されるわけですね。

③そもそも『穴(ツボ)』と言うのは、離れたところにある臓腑(下の※印1)と繋がっているものなので、『穴(ツボ)』をお灸することにより、離れた臓腑や患部にお灸の効果を発揮することが出来ます。

④そしてお灸をすると、抗炎症作用や鎮痛作用を示す他、自律神経系や内分泌系の調整もし、免疫機能も上げます。
それによって、病気の予防やかかってしまった病気の進行を抑えたり、症状の改善をします。
そしてその子本来の治癒力を助けたりもします。

⑤④とだぶりますが、お灸をすることによって上の効果のみならず、『気』(下の※印2)を上げます。
ここが温めるだけのカイロとの大きな違いです。

⑥お灸の煙を嗅ぐだけで、脳内の血流が200%になると言われています。
それにより、脳が活性化されます。

★当院では治療中に動物さんの脈を診ながら治療していきます。(動物さんは、後ろ足の内側の大腿動脈で脈をとります。)
脈はその子の身体の状態を現わします。
鍼灸治療をしていくうちに、動物さんの脈はどんどん変わっていきます。
おおかた良い脈になったところで治療を終えます。

★お家で飼い主さまにお灸をしてもらっている子は、鍼灸治療にみえた時、最初の一本~二本針を刺した段階で、す~~っと脈が変わっていきます。
その変化は、お灸をしてもらってない子と大きな差があるように思います。
★そして、その子達は血の巡りも良くなり、同時に気(下の※印2)も上がるので、毛艶が非常に良くなりますし目にも力が入ります。
★椎間板ヘルニアなど、鍼灸治療で症状が一旦改善した後、ご自宅でお灸をすると再発予防に大きく役立ちます。
★癌や他の病気の末期の動物のQOL(クオリティ・オブ・ライフ;痛みや苦しみをなるべく軽減し、その子がその子らしく生きる事ができるようにする事)を高めます。

⑤ここまでお灸のいいところをお伝えしましたが、お灸をしてはいけない場合もあります。
患部に熱を持っている場合や化膿している所などは避けた方が良いです。これらの場合は、患部ではなく離れた『穴(ツボ)』にお灸をしたり、鍼治療をします。

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※印1:臓腑は五臓六腑のことであり、五臓は肝・心・脾・肺・腎(更に「心包」を加えることもあり)であり、六腑は胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦のことを言います。
西洋医学は内臓器官を分類・細分化して、その生理機能をマクロからミクロへの視点で個々に分析していますが、中医学の観点は少し違います。
中医学では各臓腑器官を一つの個体として、生命活動を営む為にどのように働いているのか、また他の臓腑器官とどのように関わっているのかというところに着目します。
ですので、臓腑については、西洋医学でいう内臓とそのまま同じではありません。
ですが、一旦は(便宜上)同じような捉え方をして頂いても全くの間違いと言うことではありません。
因みに、肝は怒りの臓、心は喜びの臓・・・など、五臓と感情には結びつきがあると捉えるところが、また中医学の面白いところだと思います!

※印2:『気』について
『気』とは、あらゆる物を構成する最も基本的な精微物質です。
目で見ることは難しいですが、必ず存在している生命の基礎であり、私達の身体は『気』によって養われ維持されています。

・・・とここまで書くと、西洋医学的な観点からすると、ワケワカラン世界の話だと思います。
この続きを書くと、更にさらに長くなります。
またの機会に書かせて頂きますね!
長いよもやま話にお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました(^.^)m(__)m。
今日も皆様にとって、ご機嫌で素敵な1日になりますように~(^-^)!

◇◇◇

棒灸(もぐさを棒状にしたもの)とそれを固定する棒灸ヘルパー右は、棒灸(もぐさを棒状にしたもの)とそれを固定する棒灸ヘルパーです。

患部に赤い布を置き、その上に棒灸ヘルパーにセットした棒灸を載せてお灸して頂いています。

布を充てる事で、動物さんの火傷を防ぐと同時に、赤はエネルギーをよく通す性質があり、遠赤外線効果もあるので、赤い布を使って頂いています。

左は、いつもお出ししている三種類の棒灸です。

病院で施灸するときのもぐさ病院で施灸するときのもぐさです。

右は、ちねりながら(ひねりながら)お灸するもぐさです。
下の灸点紙(きゅうてんし)というシールに漢方薬の軟膏を塗ってお灸します。

昔の人は、灸点紙がなかったので、直接患部にお灸をしていました。
私の祖父母の時代の話です。本当に根性がありましたね~・・・! 私はとても真似デキマセン!!

施灸する場所によっては、左二つのせんねん灸を使う場合もあります。

澤田クーちゃんワンちゃんをお預かりして看護師が腎兪にお灸しているところ(澤田クーちゃんです)。

野津カリンちゃん野津カリンちゃん。

三年前に椎間板ヘルニアの治療をさせて頂いて以来ずっと調子が良かったのですが、今回はエアコンで冷えたせいか、再発してしまいました。

「調子良かったからしばらく家でお灸してなかったけど、また頑張んなきゃね!」と、お母さんがおっしゃってました。

榊原パルちゃん榊原パルちゃん。

4年前に走り回っていて突然椎間板ヘルニアを発症し、一旦改善しましたが、5ヶ月後再発。初回発症時よりも症状は重く、背中の痛みの為殆ど動けなくなってしまいました。

飼い主様はとても真面目な方であり、毎日お灸されるので、ご覧の通りお灸の跡が残っています。

パルちゃんは、初回発症時には左前足の痛みもありましたが、ご自宅でのお灸と月一回の針の治療で今はとっても調子が良いです。

パルちゃんの為にいつも頑張ってらっしゃる榊原さんには本当に頭が下がります。

2017年 8月 26日 掲載
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