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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

東洋医学よもやま話

こんにちは!
やっと日本中の梅雨が明けましたね。
ついこの間まで朝晩の肌寒かった日が嘘のように酷暑になり・・とは言えまだしっかりと湿気っぽさを感じますよね・・。
さて、遅くなりましたが今日は先日の続きを書かせて頂きますね。

1.「湿邪」の性質の補足・・湿邪が他の邪気(病気になる自然界での要因)とくっついた場合・・。
前回、「湿邪」は重くて粘っこい性質を持つとお伝えしました。
「湿邪」だけでも身体の不調を起こしますが、湿邪が「湿邪と相性のいい邪気」とくっつくと、よけいに私達の身体に悪さをします。そしてそれがまた結構シツコイのですね。

  • 「湿邪」と「暑邪(しょじゃ);夏の暑さや身体自身が暑くなること(下の2に記す)」がくっついた状態を『湿熱(しつねつ)』と言い、「寒邪(かんじゃ);冬の寒さやそれによる冷え」とくっついた状態を『寒湿(かんしつ)』と言います。
  • 例えば『湿熱(しつねつ)』の状態が長い間続くと、膀胱結石や尿道結石、そして胆石などができ易くなります。
    またジュクジュクとした皮膚病になったり、もともと皮膚の弱い子がこの時期に悪化したりします。その他手足が重だるくなったり、嘔吐・下痢を起こしやすくなり、元気もなくなります。
  • それから、『寒湿(かんしつ)』であれば、関節の動きが悪くなり、腫れてきたり痛みが出てきたりします。
    そして冷えによる下痢や嘔吐も起き易くなったりするんですね。

2.「暑邪(しょじゃ)」について

夏の暑い時期に起こる「邪気」です。暑邪の季節には、人なら大汗をかいてその熱を発散させますが、犬はそれが出来ないので、呼吸やよだれで発散させようとします。(ほんの一部はパットでも発散はしますが・・。)
「暑邪」の時の犬の主な症状は、発熱、激しいよだれ、のどの渇き、濃い黄色の排尿、元気消失などを起こしますが、「暑邪」が体内に入ってより重症になると、高熱、よだれが激しく止まらない、脱水、呼吸が早くなる、意識喪失、更にはけいれん発作が起こることもあります。
また上の1の通り、「湿邪」とくっついて『湿熱(しつねつ)』になると、より重症になりますし、1で書いた『湿熱』の症状を起こします。

※これらは、「湿邪」によって身体の水分が身体(特に下半身)に停滞して、「気」や「血(けつ)」のめぐりが悪くなることによります。(「気」や「血(けつ)」に関しては別の機会でお伝えしますね。)
※今の「暑邪」の時期は、心と小腸を傷めます。
ですので、心臓疾患を持った子は、中医学を学ぶ前から思ってましたが、暑くなるととても疲れているのを感じるんですね。
ですので、心臓疾患の子を持つ飼い主様はこの時期にはいつも以上にケア(お灸・推拿・食餌など)をしてあげるようにして下さいね!
※前回の『よもやま話』でも書きましたが、梅雨の湿気の多い時には脾と胃。暑い時期には、心と小腸・・と言うように、中医学では季節ごとに自然界の邪気のせいで決まった臓器が傷むと言われています。その決めごとを『五行論(ごぎょうろん)』と言います。これもまた別の機会でお伝えしますね!

さて、これらの対応法ですが、先ずは気の巡りを良くすることが大事です。それによって体内の水(血)のめぐりも良くなります。すると身体にたまった余分な水を外に出します。

それには、
A)お灸
B)針などの道具を使わずに掌(手のひら)や指の腹でツボや経絡を刺激して治療する推拿(すいな)
C)湿を取る食餌
がお勧めです。

今日は、A)お灸についてお伝えしますね!

先ずは身体の「気」のめぐりを良くして、身体にたまった水分を出すツボをお伝えして、その後、「湿邪」の時期に起こる症状(下痢・腹痛・食欲不振など)に効くツボをご紹介しますね。

棒灸市販の「せんねんきゅう」でも悪くはないですが、写真の様な棒灸が使いやすくてお勧めです。

今は「暑邪」の時期ですが、エアコンが利いているので、舌の色が薄ピンクの寒がりさんであれば、よけいお勧めです。

ただ、舌が真っ赤の子や真っ黄色のおしっこをしたり、濃い色の固いウンコをする子は暑がりさんなので、下に書いた百会や胸から上のお灸は熱をあおるのでなるべく控えた方が良いと思います。

必要だと判断した時は、時間を短くした方が良いですね~!(但し、寒がりさんでもあり、暑がりさんでもある子はいっぱいいます。)

1)まずは百会(ひゃくえ;頭のてっぺんで、耳と耳と結んだ線)からお灸をする・・・陽(温かい)の気が身体中に回ります。・・但し暑がりさんはこのツボはやめましょう!!
2)その後、三焦兪(さんしょうゆ;一番目の腰椎と二番目の腰椎の間・・詳しくはその左右両側にあるツボだが、ここのお灸でよい。)・・水の流れを良くする。
3)腎兪(じんゆ;二番目の腰椎と三番目の腰椎の間・・上と同様である。)・・高齢で足腰が弱った子にもとても良い。
4)水分(すいぶん;おへそから動物の指一本上)・・むくみに最適。
5)三陰交(さんいんこう;後ろ足の内側のくるぶしから指四本分上)・・むくみに最適。

※暑がりさんは1)は避けて、1)~5)まで順にを5~10秒ずつお灸する。それを数回繰り返す。または各々を3分ずつお灸を充てて一回で終わらせても良い。
お腹のお灸を嫌がる子もいるので、そういう子は無理しないで背中側や足のお灸のみで良い。

6)足三里(あしさんり;膝とその下のでっぱりの間の窪みから指三本分下)・・下痢・嘔吐に最適。冷えでの下痢などには特にお灸が良い。冷えでない下痢では、むしろお灸ではなくて指で軽く上から下に向かって押すと良い。
7)中脘(ちゅうかん;おへそから指四本分上)・・胃の痛みに効く。脾にも良い。6)同様、冷えにはお灸が良いが、食べすぎで胃に熱を持った時は、お灸ではなくて、このツボを指で上から下に軽く押す。

※6)と7)は湿邪の時期のみならず、消化管のトラブルに使えます。
※中医学では、病気で崩れた人や動物の身体のバランスを整えることを目的としています。
先ほどお伝えしたように、舌が真っ赤だったり、真っ黄色のおしっこをしたり、黒い固いウンコをするような子は、お灸ではなくて、針の代わりに指で軽く刺激するだけでも治療効果は出ますので、やってみて下さいね!

それでは今日はこの辺で~(*^_^*)/

◇◇◇

日本獣医中医薬学院の山内校長研究科、今年度最後の授業

日本獣医中医薬学院の山内校長に『医学気功』を教えて頂いているところ

良い治療をする為には、私達自身が元気でないといけません!
校長先生のお陰で、毎朝、治療の前に気功をしています。

座学の後の実習座学の後の実習

トリマーさんの専門学校にいるモデルのワンちゃん達を、授業の後でみんなで脈を取って検証しつつ、治療させて頂いています。

2019年 8月 06日 掲載

中医学は、いくつかの概念で出来ていて、そのうちの一つに『天人合一(てんじんごういつ)』というものがあります。
その意味は、「自然(天)と私達は繋がっていて一つのものであり、切り離して考えることは出来ない。」というものです。
それはどういう事かと言うと、「私達がどれくらいエアコンが利いた快適な部屋で過ごそうと、風・湿気・暑さ・乾燥・寒さなどの自然の影響を受けざるを得ない。」と言う事です。

長かった梅雨もようやく終息を迎えそうですが、今回は『湿邪;しつじゃ』についてお伝えしますね!
中医学では、病気の原因となる外部環境の原因のことを「外因;がいいん」と言い、風・湿気・暑さ・火(熱)・乾燥・寒さの6つの「外因」があると考えます。
そしてそれぞれに邪気の「邪」を付けて、風邪(ふうじゃ)、湿邪(しつじゃ)・暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)と呼びます。

これらがそれぞれの季節による変化と考えれば、ほどほどであれば問題はありません。ですが度を超すと身体に悪影響が出てくるんですね・・。あるいは、過剰でなかったとしても、私達人間や動物が高齢・疲労・慢性病などの状態であった場合、それら「外因」の影響を受けて体調が悪くなったり病気になったりします。
当院でもここ二か月間は、しばらく続いた長雨のせいでそれまで好調だった慢性病のワンちゃんや猫ちゃん達が体調を崩すことが続出しました。

ちなみに雨は「低気圧」と関連します。低気圧は周りから空気を取り込んで地上から上に昇っていきます。それで雲が出来て雨が降ります。ですから「低気圧」で調子が悪くなるのみならず、その時の雨による「湿邪;しつじゃ(湿気)」によっても不調になるわけです。
ちまたでは今の時期は「低気圧頭痛が起こる」と言われたりしますが、「低気圧」のせいで自律神経のバランスが壊れて、痛みに対して敏感になったり、だるくなったりするんですね。
人でのあるデータでは、「低気圧女子」は女性のうちの75%、「低気圧男子」は男性のうちの25%だという事でした。
私の実感では、ワンちゃん猫ちゃんで「低気圧」または「湿邪」によって起こる弊害の性別差はさほどないように感じましたが・・。

さて、それでは「湿邪」による主な不調の症状はと言いますと、「湿」は、重だるくて粘っこい性質を持ちます。ですので下半身の重だるさや痛みを生じ、麻痺や痙攣(けいれん)を引き起こすことがあります。その他むくみ、倦怠感、頭痛、吐き気なども起きます。
「湿邪」が体内に入ると、胃や脾を侵して下痢や消化不良を起こします。(脾は湿気を嫌います)
ですので、この時期には胃腸を壊して下痢になったりお腹が痛くなる動物が増えるんですね。

また「外因」ではなく「内因」として「湿」がたまる現象としては、炭水化物をたくさん摂取している子は、身体の中にどんどん「湿」が作られていき、身体の血の巡りと気の巡りが悪くなります。更にそれによって消化器症状のみならずいろんな症状を引き起こします。

さて、長くなりました。
それではその解決策は・・?!と言いますと、先ずは

  1. 血の巡りを良くするために、お灸がお勧めです。
  2. 「推拿;すいな」と言って、身体の表面にある「ツボ」やツボの道である「経絡;けいらく」を指で刺激して、血の巡りを良くします。
  3. 「湿(水分)」を取る食材を使って余分な水分を身体の外へ出します。

ざっとこんなところでしょうか・・・!!
具体的な方法については、次回の『よもやま話』でお伝えしますね。
忙しさに取り紛れて、今回の『よもやま話』も、書いては中断し、また書いて・・の繰り返しでこんなに遅くなってしまいました。
後、数日で梅雨も明けそうですね。
とは言え、まだ湿気は続きます。ですので、3については「暑邪;しょじゃ(暑さ)」による弊害も踏まえた食材をお伝えしようと思います。
それでは皆さま、「湿邪」ともう既に来ている「暑邪」を上手に乗り切って、お互い元気で楽しくいきま笑〜〜*\(^o^)/*

◇◇◇

アイリスちゃん、はななちゃん、ホリーちゃんにTさん向かって左から、付き添いのアイリスちゃん、はななちゃん、ホリーちゃんにTさん。

はななちゃんは、外に行って疲れると軟便や嘔吐になってました。最近はそういう症状もぐっと減ってきたとのこと。これは手作りご飯とTさんのお家でのお灸の賜だと思います。

ホリーちゃんはお膝の脱臼で来院してくれています。鍼灸の後のおやつを楽しみにして、治療中はとてもおりこうちゃんにしてくれます。

ルーシーちゃんお口の中にできものができて、通院してくれているルーシーちゃん。

超べっぴんさんで超フレンドリーな性格なので、どこに行っても可愛がられます。

岐阜のアウトレットにでも行こうものなら、「ちょっとなでさせて~!!」と犬好きさん達がわんさか寄ってくるとのこと。

この子たちの「癒しの力」って本当にすごいですね!

2019年 7月 24日 掲載

・・と言うことを結構感じます。
これ、私だけが言ってるんではなくて、長年一緒に鍼灸を学んできた鍼灸仲間も同じことを言っています。

以前よもやま話に書いたように、私達は動物さんの脉(脈;みゃく)を取りながら、治療を進めていきます。
例えば病気の為に細くて弱かった脈が、治療していくうちにだんだんと太くて力強くなってきたり、はたまた後ろ足が痛くて右と左の脉の強さに大きな差がある子が、治療で均等になってきたら、そこで治療を終わらせます。
治療をして一旦いい脉になってお帰りになっても、次回までに何日か経つとまた脉が弱くなることがあります。
でも・・・自宅でお灸をしてもらっている子達は、治療の始めに針を一本打ったり、ツボを軽く刺激するだけで、脉が変わるんですね~・・。

お灸は本当に地味な作業ですが、身体中の血の巡りと気の巡りを良くして体調を整えたり免疫力を高めたりして、身体も心も元気にします。
そして『天人合一(てんじんごういつ)』というように、外に出ない動物や人でさえも、寒さや風や暑さなど自然の影響を受けて体調を崩すことがありますが、その変化をも最小限にします。

☆私の診せて頂いている高齢のワンちゃんで、7年ほど前に初期の腎疾患になり、椎間板ヘルニアになったりその後も前庭障害で首が曲がってしまった子がいますが、鍼灸治療と共にご自宅でお灸して頂き、手作りご飯にして頂いたら、血液検査は正常になり、他の症状もよくなった子がいます。(手作りご飯は、お野菜、魚、肉、お米などの材料を水から入れて、汁たくさんの雑炊のようにしてもらっています。そこで水分を摂れるのもきっと良いんでしょうね。)

☆お電話で「椎間板ヘルニアっぽいのだが、歩行困難になったから治療をして欲しい。」とのご依頼を受けた時、飼い主さまが遠方の方だったり、どちらかの都合で直ぐに診せて頂くことが出来ない時は、必ず「もしうちの病院に棒灸だけ取りに来て頂けるのなら、直ぐにお灸を腎兪にして下さい。棒灸セットを取りに来て頂くことが出来なかったら、宅急便でお送りしますよ。」とお伝えして、初診までの間、何もしないのはもったいないので、お灸をして頂きます。
もちろん、手術しても難しいような重度の椎間板ヘルニアもあれば椎間板ヘルニアではない難治性の椎骨の病気もありますが、ご自宅でのお灸をお願いした子の中には、初めて来院された時には、ふらつきながらも歩けるようになったワンちゃんが何頭もいます。

☆師匠の学院の山内健志校長は、人の治療もされています。
腎不全で20年以上透析をしていて病院の検査でも腎臓機能は0パーセントだと言われていた患者さんに、鍼灸治療を施し、治療の中で「関元」(お臍の指4本分下のツボ)と右と左の「太谿」(足首の内側のくるぶしとアキレス腱の間のツボ)にお灸して、ご自宅でもその三点のお灸をして頂いていたら、ひと月くらいして、娘さんから感激のお電話が掛かってきたとの事でした。
「先生~!うちのお父さん、ずっと腎不全だったからおしっこが20年以上も出なかったんですが、今日2~3滴おしっこが出て、すごい喜んでました!!」とのこと。
お灸がほんの数パーセントの腎臓の正常な細胞に働きかけて、腎臓が動くようになったということなんでしょうね! 実にスバラシイと思いました。

☆最後にわたくしごとになりますが、阿久比の病院と名古屋の病院を行ったり来たりしていて、バタついている&そそっかしい性格なので、先日な、な、なんとぉ・・名古屋の病院の通用口の透明なガラス戸が開いていると勘違いして、大きな荷物を持ったまま急いで病院に入ろうとして、左のオデコを思いっきりぶつけてしまいました。
ものすごい音と共にふらっとなり、「おう・・・これが脳震盪かぁ・・。」と思いましたね~。昭和の漫画なら目から星が出ている感じですわ~(苦笑)。
それでその夜のうちにオデコにお灸を三層(三回)しました。
腰痛やら突発性難聴持ちでもあるので、身体全体を軽く針で整えてから、オデコにお灸しました。強打したので絶対に痣(アザ)になるか腫れてくるのを覚悟の上でしたが、全然痣にもならず腫れも痛みも残りませんでした!(一週間は、指で強く押すと少しだけ痛みはありましたが)
因みに中医学での三はとても重要な数と言われていて、三は完全な数、整数であり、『三は散ずるに通じる。』と言われ、三回お灸することによって瘀血や痛みを散らせる働きがある。と言われています。打撲や外傷は局所の瘀血なのですね。

・・・ということで、最後はちょっと?!笑っちゃうような私の失敗談でしたが、お灸って本当にすごいんですよ~!!ってこと、身をもって知りました(笑)。
「皆さん、どうぞお試しあれ~~!」でございます。
今日も動物さんと皆さまにとって、心身ともに健康で素敵な一日でありますように~(*^_^*)☆彡

◇◇◇

林さんと渡辺さん阿久比のリリー動物病院の新人看護師さん達。
左は林さん、右は渡辺さん。

例年の事ですが、三月に入ってフィラリアの血液検査などが始まって、超忙しくなりました。
二人とも顔晴ってくれてるので、助かっています。

看護師の清田さんと副院長の水出先生「え~?!先生、またぁ〜、何するんですか~!?」とか言いながら、慣れたもんでちゃっかし二人ともピースのポーズを取ってました。

清田さんは本当にテキパキさんです!仕事中は常に次の事を考えて行動してくれます。
水出先生は・・言わずもがな!と言う感じですね(笑)。

左から看護師の清田さんと副院長の水出先生。

さいとうちゃん今では一番ベテラン株のさいとうちゃん。

この日は前日風邪で熱があって早退したにも拘らず、出勤してくれました。

入った当初は、ベテラン看護師達に囲まれて、甘えん坊の末娘みたいな感じでしたが、今では一番上になってとても頼り甲斐のある看護師さんに成長しました。
実にスバラシイです!!

2019年 3月 29日 掲載

鍼灸を初めて14年~15年になります。
始めた当初は普通の外科や内科治療もやっていたので、鍼灸治療だけをするようになってからは、8年めです。

好きなことだけをするってことは、本当に楽しいですね~・・!
元気になっていく動物さん達を見ると、嬉しくて疲れも吹っ飛びます。
そして治療で動物さんにお灸をしている間の飼い主さまとの会話もとっても楽しいんです。

この14~15年の間に、多くの飼い主さまにご自宅での動物さんへのお灸(写真)をお勧めして来ました。
椎間板ヘルニアのみならず、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全などの骨の病気や、腎臓疾患、心臓疾患、肝疾患、呼吸器疾患、その他ホルモン性の病気等々・・・とにかく治療日と治療日の間はご自宅での施灸をお願いしてきたんですね。

そうするとですね~・・・

☆鍼灸の治療効果が上がります。・・私は治療の初めから終わりまで、動物さんの脉(脈;みゃく)を診ながら治療するのですが、お灸をしてもらっている子は、先ず最初の針一本で脉が変化することが多いです。

☆なので鍼灸の治療と治療の間隔を空けるのにも役立ちます。

☆腎疾患など血液検査結果が良くなった子が結構います。

☆足腰がしっかりしてきて、歩き方が他の同年代の子よりも若々しくなります。(下半身をしっかりさせるのは主に「腎兪」や「大腸兪」のツボです。)

☆毛艶が良くなります。

☆目力がついてとっても元気になります。・・中医学的な言い方をすると『気が上がる』と言います。

中医学はいくつかの考えを基本としていますが、先ずは「地球に存在する全てのものは最小単位の『気』で出来ている。」と言う考えから始まります。
私達の治療は、病気によって落ちている『気』を上げたり、『気』のバランスを取ることによって、患者動物の治癒の力を高めます。

飼い主さまから「お灸するってことは、ツボにカイロ貼ってればで良いってことだよね!?」と聞かれることがあります。 もちろんそれはそれで治療効果はあります。
私自身腎が弱いし、そもそも『身体を温める気』が不足(『陽虚』と言います)してますので、仕事中に冷えを感じたら直ぐに「腎兪」や「関元」というツボにカイロを貼ります。(仕事中は自分にお灸できないので・・。)

でもそれだけではやはり片手落ちなんですね・・。ツボを温めて刺激するということはとっても良い事です。
ですが、『もぐさのお灸』とカイロとの違いは、もぐさの『チネオール』という成分の効果にあるんですね~。
『もぐさのお灸』はツボを温めたり身体の循環を良くするだけでなく、「もぐさの効果」で『気』も上げるんです。そしてリラックス効果や痛みを抑える効果、免疫力を上げる効果(「足三里」と「合谷」を左右対角線で施灸すると効果あり)もあります。
そして脳内の血流を二倍にもするんですね! なので認知症にも良いと思います。

上の効果があるので、施灸していくと、動物さんたちはどんどん毛ヅヤが良くなったり目力が付いたり、『気』が上がって元気になるんです!!
飼い主さまが施灸される動物さんたちを見て「これこそ正にアンチエイジングだ~!!」と思うので、最近私も真面目に自分に施灸するように努めています。
動物さんや飼い主様に元気になってもらう為には、先ずは私自身が元気でないとダメですからね~!!

週一で全く効果がないわけではありませんが、あまりピンと来ないと思います。
どうせやるのなら、一週間に三回以上やって頂くと、「お~・・・いいよね~!!」って感じになるかな~って思います。
これは西の巨匠・国分龍彦先生も同じことをおっしゃってました。

皆さま今日も一日ご苦労様でした。
さぁ、私も書き残したカルテを片付けて・・・入浴の後晩酌しながら、施灸でもしますかね~(*^▽^*)♪(入浴したりお酒を飲んだりするだけで、実は脉が変わっちゃうんですけどね・・。)

◇◇◇

もぐさ前回も書きましたが、下の白い方の棒は、もぐさが棒状に詰まっている棒灸。
黒い方は炭にもぐさが練りこんである棒灸。

身体のツボ上に赤い布を置き、この茶色い棒灸ストッパーに棒灸を差し込んで火をつけてから乗せます。
温度は棒灸の位置をずらして調節します。

飼い主さまは大事な動物さんの施灸が終わった後、痛むご自身の肩などに施灸する方が結構いらっしゃいます。

上は私が治療で使っているもぐさです。

右二つのもぐさを一つ一つちねって(形を作って)ツボの上にお灸を乗せます。

気持ち良いのか途中で寝ちゃう子もいます(笑)。

◇◇◇

ジオンちゃん股関節形成不全で通院中のジオンちゃん。(ポルトガル語では、ザイオンと言うそうです。)

治療は動物さんの内股動脈(ないこどうみゃく;後ろ足の太ももの付け根)に三本の指を当てて脉(みゃく・脈)を診ながら治療していきます。

ジオンちゃんの初診時、股関節の痛みがひどかったのに、脉を取るために何気に後ろ足の付け根を触ってしまい、ジオンちゃんを怒らせてしまいました・・。
今では痛みも緩和され、こんなにフレンドリーになってくれたジオンちゃん。

左の飼い主さまは、とっても明るい方で診察中は笑い声が絶えません。
今日はお友達も来てくれたので、ジオンちゃんは「イイ恰好しぃ」なのか、ほとんど動くこともなくおりこうちゃんで治療させてくれました(*^▽^*)!

◇◇◇

モコちゃん足の麻痺とてんかん様発作で通院してくれているモコちゃん。

最初は毎晩繰り返すてんかん様発作が酷くて、子供用のプールに水を張ってそこで身体を冷やして発作を抑えてらっしゃったとのこと。
鍼灸治療と漢方薬でその発作も治まり、モコちゃんのお顔の表情もかなり出てきました。

漢方薬は、肥満予防の為、縦半分に切った薄切り食パンをパンに平行に二枚に切ってうすうす状態にして、オリーブオイルを塗り、その上に漢方薬を振りかけて挟むと、喜んで食べてくれるそうです。
Aさんのアイディアとご夫妻のモコちゃん愛に頭が下がります!!

2019年 3月 15日 掲載

前回のよもやま話『認知症』で、頭頂部の真ん中にある「百会;ひゃくえ」というツボについて書きました。
「百会」というツボは、精神安定作用や頭をすっきりさせたり、頭痛、めまい、鼻づまり、てんかんなどに効く他、脱肛や子宮下垂という病気にも効果があります。
前回のよもやま話で、「百会にお灸すると回陽作用があるので身体全体が温まる」と書きました。

鍼灸などの中医学は、『気の理論』と言って、「全ては気から始まる。気は最小単位のものであり、万物の基になるものである。目には見えないが必ずある。」ということと、「気を含めた全てのものを陰と陽に分けて考える。」という考え方などがベースになっています。
ですので、気も陰と陽に分けて考えた場合、これはイメージして頂けたら分り易いと思いますが、温度に例えたら、陰は冷たく陽は温かい。ってことになりますよね!? なので陰の気は冷たく、陽の気は温かいということになります(それぞれを陰気、陽気と言います)。
このことを一旦、覚えといてくださいね。

さて、「回陽作用」とは、今お伝えした陰陽でいうところの「陽気を回す作用」という意味です。

では「なぜ、“百会”というツボにお灸をすると身体が温まるのか・・。」ということについてお話しますね!

それをご説明するには、ツボと経絡(けいらく)の話をすることになります。
まず、ツボというのは、体の表面にある特殊な作用点(または反応点)のことを言います。
作用点というのは、体の深部の内臓や骨、器官などが異常を起こした(病気になった)時、体の表面のあるツボを刺激すると、そのツボと繋がっている深部の内臓等に作用して、その異常(病気)を治癒に導くことが出来るんですね。

また逆もありきで、内臓や骨など体の深部に異常があると、その異常のある臓や骨と繋がっている体の表面のツボを軽く刺激するだけで、痛みを感じたりするんですね。
A.体表面のツボと体の深部の内臓等とを繋いでいるのは経絡(けいらく)です。
そして経絡はそれらを繋ぐだけではなく、
B.ツボとツボも繋ぎます。

例えば、Aの例として、胃が痛む時に胃から離れた足の膝の下の足三里(あしさんり)というツボを刺激すると、胃の痛みが緩和されます。
Bに関して言えば、一つの経絡を新幹線の線路に例えるなら、東京・品川・・新大阪など、その線路の主要な駅はツボに当たります。なのでいくつものツボが経絡上にある。もしくはツボとツボは経絡で繋がっていることになります。

私達人間も犬や猫などの動物にも、「12本の経脈(けいみゃく)」と「2本の経脈」の合計14本の経脈という線路が体中にあります。そのうちの「12本の経脈」は、実は独立したものではなくて、一本と一本の端どうしが手や足の先でくっついていて、一本の長い輪っかになってるんですね~!
因みに先ほど言った「2本の経脈」のうちの一本は督脈(とくみゃく)、もう一本は任脈(にんみゃく)といいます。

ここで「経絡」についてもうちょっと詳しいお話をさせて頂こうと思いましたが、その話を持ってくると、話がぐっちゃんこになるので、敢えてここではしないことにしますね。
「経絡」の話はまたの機会にさせて頂きますね!

さて・・っと、ここまで読んで下さった方、どうもお疲れさまでした(^-^;。
やっと、ここで本題に入ることができます(*^^)v!

一番最初に言った頭頂部の真ん中にある「百会(ひゃくえ)」というツボですが、「百」は多種多様であること、「会」は、会うという意味です。このツボは、頭にあり、そもそも頭は「諸陽の会」と言われるくらい多くの陽の気が集まるところです。
そして、ここ「百会」は、なんと5本の線路(経絡・経脈)が交わるところなんですね。
多くの経脈が交わることから「百会」という名前がついたんです。
もともと“経脈は血や気が流れている線路”なので、その5本の経脈が交わる「百会」にお灸をすると、そこで交わる各々の経脈の血や気の巡りが良くなって、身体全体が温まるんですね。

なので、「認知症」のように、頭に気や血が上って足先が冷えるような子には、「百会」をお灸して、なるべく早く温かい陽気を回して身体全体を温めてあげることがとっても大事なんですね。
「認知症」など歳を取った子は「上実下虚(じょうじつげこ)」の状態にある。と言います。これは上半身はのぼせて熱くなり、下半身や手足は冷たくなっている状態のことです。なので「認知症」に限らず、そういう状態の方(私がそうです)にも「百会のお灸」はお勧めです。

だんだんと春めいて来ましたね!
お日さまが沈むのが遅くなり、外で遅くなるまで遊んだ子供時代の感覚が蘇ってきて、とっても嬉しくなる今日この頃です。ですが、極端な乾燥とともに花粉も飛んで来るので、多くの動物さんや飼い主さまたちが痒がっているのを見ると、お気の毒になります。
加湿器を置いたり、必要なら目薬をさしたり、お耳を痒がっているようならケアをしたり・・・そして皮膚全体を痒がるようならマコモ風呂に入れたりマコモを飲んだりして・・・何とかこの季節を乗り切って頂けたらな~と思います。
それでは皆さまごきげんよう~(*^_^*)。

◇◇◇

病院で使っているお灸~病院で使っているお灸~

左側の容器に入った4つのもぐさのお灸のうち下二つは、私が治療中に一番よく使うお灸です。もぐさを左手の指で形作って動物さんのツボに乗せてお灸します。

上2つは普通に薬局でも売っている「せんねん灸」です。
これらは動物さんの熱さに対する感度や性格、時間等で使い分けます。
右側上にある三本の棒状のものは、もぐさを棒状にしたお灸(棒灸)です。

ご自宅で施灸する時はこれを使って頂いてます。右側一番下は、上の棒灸を茶色い棒灸ストッパーに刺してセッティングしたものです。この棒灸に火をつけて、動物さんの体のツボに赤い布を置き、その上にこれを乗せます。5分~10分施灸します。
なぜ赤い布を使うかと言うと、赤は熱を通しやすい性質を持っていることと、遠赤外線効果もあるからです。

※2018年8月16日の「よもやま話」にも書きましたが、一番上の炭のお灸は時間経過とともにどんどん熱くなるのと、落ちた灰にも火が残っているので動物さんに火傷をさせないよう、十分注意して頂きたいと思います。

2019年 2月 25日 掲載

長年一緒に暮らして来たワンちゃんの眼が、だんだん白くなり、耳も遠くなり・・やがて『認知症』と言われる、今までにない行動をしだします。
大事な動物さんが変わっていく姿を見るのは辛いし、誰もが認めたくないのですが、彼らの病気と同じように、私達は受け入れるしかないのですね・・。

今回は少しでも『認知症』の動物さんがいる方々のお役に立てたらと思って、認知症について書いてみました。

1)『認知症』の主な症状

  • 早い子は11歳頃からということだが、多くは13歳~15歳頃に認められる。
  • 目的もなく、ぐるぐる歩き回ったり、壁に向かってひたすら前進しようとする。
  • 昼夜逆転したり、夜寝ているかと思えばいきなり起き出して、吠え続ける。(これは吠える目的がない時もあれば、飼い主様が側にいなくて寂しくて吠えることもある。)
  • もともとおっとりさんだった子が、いろいろな事の我慢が出来なくなり、短気になったり、要求吠えをする。
  • 検査上問題はないのに、異常な食欲が出る。

2)認知症にならない為の工夫

◙ 人と同様、「刺激」が大事である。

ほったらかしにしていると、認知症になり易い。
なのでなるべく話しかける。また外へ出て刺激を与えたり、無理のない程度に適当な運動をさせる。

◙ 認知症に良い食品

  • 胡桃肉(クルミ)・・・(中医学では、こういうことを『同形相関』と言います。形の似ているものは、お互い関係があるという意味です。・・胡桃の形は脳に似てますよね?!だから脳に良いんですね。なので、私もあまり好きではなかったのですが、最近は認知症予防に意識して胡桃を食べるようにしています(笑)。)
  • イチョウ葉エキス、青い魚、EPA・DHAのサプリ、銀杏(少量)

3)家でできること

動物さんに上の様な刺激を与える他、ご自宅ではお灸がお勧めです!

◙ 先ずは百会(ひゃくえ)にお灸・・百会のツボは頭を上から見て両耳を結んだ頭頂部の真ん中になります。

ここに施灸(お灸をすることを施灸と言います)すると、身体全体が温かくなります。
これを“回陽作用”と言います。(※1なぜ温かくなるか、またなぜ“回陽作用”というかという事は、“次回のよもやま話”で書かせて頂きますね!ツボと経絡の話です。)

また、百会にお灸すると、精神を安定させます。
ただ、症状いかんによっては、お灸よりも針の場合が良い時もありますし、あまりにも嫌がるようでは逆にストレスになるので、その時はお灸する時間を短くするか、無理しないようにしてくださいね。

◙ その後、命門(めいもん;二番目と三番目の腰椎の間のツボです。)に施灸します。

歳を取ると腎虚と言って、腎の気が落ちます。
中医学でいう五行では、腎は骨と繋がっていると言われています。
それで歳を取れば取るほど、足腰、特に下半身が弱くなるんですね。歳を取ると人間も動物さん達もしっかりとした歩きが出来なくなってよぼよぼしますよね。
この「命門」またはそのすぐ隣の一対の「腎兪」のツボを施灸することによって、下半身がしっかりとしてきます。
施灸を一週間毎日または一日置き、多めにみて週に2回やってもらっている動物さん達は、やってもらってない子と比較すると、歩みもしっかりとしていて、毛艶も全然違います。
これはオーバーな言い方ではなくて、本当にそうなんです。

◙ 今は結構、身体に害のないサプリメントも出ていますし、漢方薬でも結構症状の緩和をさせることのできるもの(抑肝散、もしくはそれに準じたもの)もあります。

でも何よりも一番良いのは、焦らず「認知症はこういうもんだ。」と覚悟して頂いて、ご家族で協力しながら乗りこえて頂けたらと思います。
だって、長い間、本当に家族として私達を精神面で支えてくれた大事な動物さんなんですもんね(*^_^*)!

・・・ということで、長くなってそろそろ飽きてこられたんじゃないかな~と思いますので、今日はこの辺で終わりにしますね。
後は、思いつくままにそれらに関連したことを次回の「よもやま話」で書かせて頂きますので、お気が向かれましたらお読みくださいね~。

◇◇◇

病院で使っているお灸~病院で使っているお灸~

左側の容器に入った4つのもぐさのお灸のうち下二つは、私が治療中に一番よく使うお灸です。もぐさを左手の指で形作って動物さんのツボに乗せてお灸します。

上2つは普通に薬局でも売っている「せんねん灸」です。
これらは動物さんの熱さに対する感度や性格、時間等で使い分けます。
右側上にある三本の棒状のものは、もぐさを棒状にしたお灸(棒灸)です。

ご自宅で施灸する時はこれを使って頂いてます。右側一番下は、上の棒灸を茶色い棒灸ストッパーに刺してセッティングしたものです。この棒灸に火をつけて、動物さんの体のツボに赤い布を置き、その上にこれを乗せます。5分~10分施灸します。
なぜ赤い布を使うかと言うと、赤は熱を通しやすい性質を持っていることと、遠赤外線効果もあるからです。

※2018年8月16日の「よもやま話」にも書きましたが、一番上の炭のお灸は時間経過とともにどんどん熱くなるのと、落ちた灰にも火が残っているので動物さんに火傷をさせないよう、十分注意して頂きたいと思います。

◇◇◇

チョコ太ちゃんMさんちのチョコ太ちゃん

もうすぐ17歳になります。
5~6年ほど前から、腎疾患と椎間板ヘルニアの鍼灸治療をさせて頂いています。

腎疾患は、鍼灸とお家での「命門」(その隣の「腎兪」)の施灸と、Mさんのスープたっぷり手作りご飯で悪化することなく、ずっと良い状態を保っています。

最近めっきり足腰が弱って来ましたが、同じ歳のワンちゃんよりは、全然元気だと思います。

Mさん、ホント、頑張ってみえますよね!偉い!!・・因みにチョコ太ちゃんは、まだ認知症の症状は出ていません。悪しからず。

2019年 1月 23日 掲載

夏の終わりにインフルエンザが流行り、一旦下火になったようですが、11月に入り寒さが増してくると、インフルエンザがまた流行りだすことだと思います。

今は、数年前と違ってインフルエンザも安全性の高い薬が出てきたようですが、お薬に頼る前に「ヤバイ!! インフルエンザか風邪に罹ったかも・・!?」と思った時には、『大椎;だいつい』という第七頸椎(首の骨の一番下の大きな骨。)の真下のツボを棒灸で5~10分ほどお灸すると、汗が出て来て症状がひどくならずに済みます。

今までこのことをいろいろな飼い主様にお話して来ましたが、数年前にある飼い主様から「姪っ子がインフルエンザに罹ったんだけど、先生に言われたところにお灸したら、ホント高い熱も出なくて軽く済んで良かったわ~!!」とのご報告を頂きました。(ニンマリ(*^^)V)

  1. 「ツボ(=経穴;けいけつ)」という言葉を知ってる方は結構いらっしゃると思います。
    「ツボ」とは、”身体の表面にある病気に対する治療点・または反応点“のことを言います。
    ツボは、皮膚の真下にあるのですが、そのツボは、身体の中の臓や腑、器官と繋がっています。例えば、お腹が痛い時におへそとみぞおちの間のツボを温めると、痛みが治まったりします。これは「中脘;ちゅうかん」という「ツボ」です。主に腹痛の動物さんに使うツボです。
    また、腎臓の悪い猫ちゃんの足首の内側の「太谿;たいけい」というツボを強く押すと、痛いので、その猫ちゃんに怒られてしまうことがあります。
    それは、腎臓と皮膚の真下の「太谿」というツボが繋がっているので、腎臓の悪い猫ちゃんの「太谿」を刺激すると、痛く感じるからなんですね。
  2. 「経絡;けいらく」という言葉をご存知の方もいると思いますが、「経絡」は、ツボとツボを繋げたり、身体の中の臓や腑、器官と皮膚の真下のツボを繋いでいるものです。
    これらを繋いでいる道のことを「経絡」と言うんですね。
    の「ツボ」と②の「経絡;けいらく」を鉄道に例えると、①の「ツボ」は駅になり、②の「経絡」は線路になります。
    ですので「経絡」には、治療に関わる大事な「ツボ」がいくつも乗ってるんですね。
  3. 上でお伝えした『大椎;だいつい』という「ツボ」は、私達人間や動物の身体にある14本の線路のうちの7本の線路が交わる、とても治療効果の高い「ツボ」です。
    『大椎』は、7本の線路・・つまり7つの経絡が交わっているだけあって、別名『百労;ひゃくろう』と言って、あらゆる病気に有効なんです。

この『大椎』をお灸で温めることによって

  • 防衛力を高め、寒さや感染から身を守ります。
  • 体の中に入った寒さの邪気などを外に出します。
  • 体を温めて発汗させることにより、熱を下げます。
  • 血流の滞りを改善します。
  • 頭項部や背中のこわばり・痛みを改善させます。
  • 感染やいろいろな病気によって落ちた「気」を上げます。

・・・などなどいろいろな効果があるんですね~。

ですので、飼い主さまご自身が「何となく風邪っぽいな~・・。」と思われた時には、この「大椎」というツボをお灸してくださいね。
もし、ご自身と同居している動物さんの元気がなくなったら、「大椎」か、もしくは「腎兪;じんゆ・二番目と三番目の腰椎の間のツボ」にお灸するのがお勧めです。

※尚、私達の治療では、お灸を使うこともあれば、針をさすことによって今お伝えした効果を引き出すこともあります。
※いつかこのよもやま話でご説明する機会もあると思いますが、14本の線路とは、十二正経という12この経脈とともに、督脈(とくみゃく)・任脈(にんみゃく)という経脈を合わせて14本とここでは書かせて頂きました。)

以上よろしかったらお試しくださいね~(^^)!

2018年 11月 17日 掲載

私は、「日本獣医中医薬学院」の研究コースで毎月中医学を学ばせて頂いています。
そこで講義と共に出る山内健志校長の雑談が結構好きです。

山内先生の人生観や、山内先生が中医学を師事された今は亡き温雪楓先生がおっしゃった言葉など、ぐっと来るお話が結構あるんですね・・・。
ある時、校長先生がこうおっしゃってました。
「『笑う門には福来る。』っていうけど、ある精神科の先生が、『号泣する門には福来る。』って言ってたんだよね。僕はそれを聞いて、本当にそうだな~っと思ったよ。」と・・。

私の座右の銘に「いいことが起こるから笑うんじゃなくて、笑うからいい事が起こる。」というのがあります。
確かにそれはありますよね! 怒りや疲れでいっつも眉間に皺を寄せてたら、運も人も逃げてっちゃうような気がしますもんね・・。

でも、東北大震災のちょっと後で、あるカメラマンさん(?)が被災者の方々に「笑って、笑って~~!!こういう時こそ、笑って~!!」と言ってカメラを向けて、無理に笑ってもらって、写真を撮っている場面をテレビで見た時、「ちょっと違うよな~・・。」と思ったのを今でも覚えています。
その方は、被災者の方々を元気づけようと思ってそうなさったでしょうし、もちろんそれで元気になった方もいらっしゃるでしょうから、全面否定する気はありませんが・・・。

大事な人を亡くした方、住むべき家が流されてしまった方、大好きな動物とはぐれてしまった方・・・あの一瞬で多くの命と住む家、動物達、そして思い出の写真さえもなくなってしまったところに、「さぁ、笑って~!!」というのは少し無理があるんじゃないかな~・・・って思ったんですね。

辛い時こそ笑うことって大事かも知れないけど、その精神科の先生がおっしゃったように「辛い時こそ泣かないとダメじゃないかな~・・」って、私も思うんですね~。
怒りや悲しみなどをぐっとこらえて、感情を押し殺してばかりいると、心の病気になるばかりか、内臓まで傷んでしまいます。

中医学はあらゆるものを木・火・土・金・水という五つに分類して診断や治療をします。
それを『五行論』と言いますが、『五行論』では、五つの感情があれば、それに対応する臓があると言われています。
「怒り」は肝と繋がっているので、怒りの感情を持つと肝が傷むと言われています。
そしてその怒りをずっと抱えたまま生きていくと、やがて腎も傷んできます。
同様に「悲しみ」は肺を傷め「思い悩む」と脾を傷めます・・・そして「恐怖」は腎を傷めるのですね。

涙の中にはステロイドホルモンと言う、ストレスの時に出てくるホルモンが含まれています。
辛い時には、信頼できる友人(または家族や恋人)がいたら、その人の前で泣けばいい。
もし、そういう人がいなかったり、恥ずかしくてそれが出来なかったら、夜一人で車を走らせて、その中で大泣きすればいい。
そしてそれも出来なかったら、悲しい映画を見て泣いたそのついでに大泣きすればいい・・。

天災が続いて、今でも未だ大変な思いをしてらっしゃる方が沢山いらっしゃると思います。
泣いても現状は変わらないかも知れません。
でも、悲しい気持ち・辛い気持ちをため込まないで、時には号泣してください。

確かに『笑う門には福来る』・・ですが、『号泣する門にも福来る!』だな~・・・と思う今日この頃です。

◇◇◇

ワンちゃんこの飼い主さまは、ペットショップで長年働いてらっしゃいました。
そのご縁で、売れ残った子や、障害があって売り物にならなくて処分されそうになった子達を引き取って飼ってらっしゃいます。

この子は、右目が生まれつきつぶれていたので、この飼い主さまが5年前に引き取られたとのことでした。

来院当初は頸椎ヘルニアの痛みでかなり大人しかったのですが、今は元気になって、治療中は結構ヤンチャをするようになりました。こうしてワンちゃん達の命が繋がっています。本当に感謝です。

◇◇◇

ブン太君若い頃股関節形成不全で大腿骨頭の手術をしたり、その後血便があったり・・で大変だったブン太君ですが、Mさんの手作りご飯とプールのリハビリでここまで元気になりました。

開業当初、後ろ足を痛がるとのことで来院されて以来、今は月一で通院されています。因みに超元気!!です。

この写真は「治療中良い子にしてたんだからさぁ~・・。ちゃんとご褒美のおやつ、ちょうだいよぉ~・・・!」と、カウンター越しに待合室から私に訴えているところです。超可愛い~~~(*^_^*)♡♡!!ですね。

2018年 11月 07日 掲載

中医学(鍼灸)セミナー

去る9月8日(土)、『第二回 中医学(鍼灸)セミナー』を名古屋のリリー動物病院にて行いました。

名古屋では去年の秋に引き続いて二回めでしたが、初めて出席して下さる方ばかりでしたので、総論も各論も初めての方対象の内容にさせて頂きました。

総論では、「中医学は何をベースにして作られているのか!!」というお話をさせて頂きました。
その前に・・「中医学という言葉自体、あまりメジャーではないのでは?!」と思いましたので、「中医学は東洋医学の一つであり、○○医学というのは東洋で作られた伝統医学のことなんですね~!」というお話からさせて頂きました。

ですので、インド発祥の伝統医学であればアーユルヴェーダになります。
ということは、「中医学」は、中国で作られた伝統医学のことですよ~とお伝えしました。(このことに関しては、とらえ方が一様ではないようですけどね。)

っで、その後「中医学」は何を基にできていて、どんなことを大事にしているか!!ということをお話しました。それらは以下の通りになります。

1.気の理論・・「中医学の全ては気から始まる。」

宇宙に存在する全てのものは「気」からできているので、私達人間や動物の身体を構成しているのは、最小単位である「気」ということになります。
そもそも中医学はその「気」を基本にして考えるんですね! ということをお伝えしました。・・とはいえ、最初はこのことが「ピン!!」とは来ませんでした・・という私自身の臨床での体験談も含めて話をさせて頂きました。

2.整体観念のうちの一つめ、「天人合一(てんじんごういつ)」

「人間も動物さんも自然と一体であり、私達は生きている限り自然の影響を受けている。」
なので、暑い時は熱中症になり、湿気の強い時は、お腹を壊したり、寒い時は風邪をひきやすくなる・・・という話。

3.整体観念のうちの二つめ、「心身一如(しんしんいつじょ)」

「心と身体は繋がっていて切り離すことができない。」
このことは皆様ご経験済みの方もいらっしゃると思いますが、心が病んでいたら身体まで病むし、その逆もある。
・・・という話。でもこれって人間だけじゃなくって、実は動物さん達もそうなんですよね~。

4.4つめは、「身体の臓と臓、ツボとツボ、ツボと臓などは繋がっていて、どちらかが助けたり抑制したりしながら、身体は成り立っている。」という話。

この発想は西洋医学には全くないものです。ただ、具体的な例でいうと、経絡(けいらく)や五行論(ごぎょうろん)の話になるので、詳しい話は次回各論として五行論でお伝えしますね~!と言うことになりました。

その後、各論の「陰陽論」・・・中医学は上でお伝えした通り「全ては気から始まる。その気を陰と陽に分ける。」という事であり、どんな感じに分けられるかという具体的な話の後、「中医学の根本は陰陽であり、陰と陽のバランスを整えることが治療の根本なんですよ~~!!」という事をお伝えして、座学はおしまい。

その後は、「医学気功」を皆さんで楽しく実践して頂いて、セミナーは終わりました。

今回のセミナーをやることになった時に、樋口空ちゃんのお母さんが「センセー!!私このセミナー聞きに行きたいけど、名古屋高速乗れないから、こっち(阿久比の病院)でもやってよ~!」と言って下さいましたので、水出先生と阿久比の看護師にも協力してもらって、10月13日(土)、午後5時より阿久比のリリー動物病院でも同じ内容のセミナーをさせて頂くことになりました。

気功もして頂くので、場所のスペースを考えると、後2名様になってしまいますが、空きがあります。
この機会に「中医学」や「鍼灸」を少しでも身近に感じて頂けたら、嬉しいな~と思います。
ご興味のある方は、どうぞいらして下さいね(*^_^*)!

中医学(鍼灸)セミナー中医学(鍼灸)セミナー中医学(鍼灸)セミナー

2018年 9月 16日 掲載

椎間板ヘルニアのみならず、関節等の骨の疾患は、寒さや湿気で発症することが多いです。(寒さのことを中医学的に言うと“寒邪”と言い、湿気は“湿邪”と言います。)
ですので、一年の中では決まって、寒い冬に多くの子たちが発症します。

寒い時は、初めて発症した動物だけではなく、過去に発症して鍼灸治療で一旦良くなっていた動物たちも再発することが多いです。

ですが、冬以外でも発症する時期ってあるんですね・・。
そうです!!
暑い夏が続く時も実は再発率が高いのです。

今年は特に暑くてエアコンをずっと掛けっぱなしでおられた方が多いと思いましたので、治療におみえになっていた飼い主様には、「エアコンはこの時期かけないと熱中症になりますけど、ワンちゃん達の身体はここ・・、ね!? 私達よりも低いとこにいるでしょ?! エアコンの低い温度は下に行くのですっごく身体が冷えるんですよね。なので動物たちが暖かい部屋に自由に出入りできるようにしておくか、そうでなかったら一枚お洋服を着せてあげて下さいね!」とお伝えしてました。

ですが、もうすっかり良くなって、椎間板ヘルニアだったことを感じさせないような子が、エアコンの低温(寒邪)のせいで、いきなり再発するんですね・・・。
もしかしたら、ワンちゃんは数日前から違和感や痛みを感じていたのかも知れませんが、飼い主様からするとそれが分からない事が多く、この夏も数頭の子が再発してしまいました・・。

一度椎間板ヘルニアを発症している子、高齢の子、それから若いけど嬉しい時にぴょんぴょん飛び跳ねる子、段差のある所を上がったり下がったりしている子・・・などは、エアコンを利かせたこの時期は特にお気をつけくださいね!

※ちなみに、一度発症してから再発率の低い動物たちは、その子たちの飼い主さまにある共通点があります。
それは何だか分かりますか?!

それは回復後のお家でのケアです。
滑らないように廊下などに滑り止めマットを敷いておくもの大事ですが、それ以上に大事なのは、お家での棒灸による施灸です。
重度だった子ほど、毎日するのが理想ですが、それが出来ないようでしたら毎日とは言いません。
週に2~3回(できれば3回)、腎兪という背中のツボに施灸するだけで、かなりの動物の椎間板ヘルニアの再発を防ぐことが出来ます。罹り始めでしたら、施灸だけで改善するケースもあります。
中医学では、基本的に全てのものを5つに分けて考えます(五行論と言います)。
骨と腎は繋がっていると捉えますので、椎間板ヘルニアのみならず膝蓋骨脱臼やその他骨の疾患の多くは、腎兪にお灸することはとても治療効果があるのですね。
過去に椎間板ヘルニアになった動物と暮らしている方は、よろしかったらお試しくださいね。

※椎間板ヘルニアの再発は施灸をしていたら絶対に再発しない。とか、腎兪の施灸のみで椎間板ヘルニアは改善する。とは言っていませんので、そこのところは思い違いして頂かないよう、お願いしますね。

棒灸

上の黒い棒状の棒灸(ぼうきゅう)は、炭のお灸です。炭の中にお灸の成分であるもぐさが練りこんであります。煙が殆ど出ないので、煙の嫌いな動物さんや飼い主様にお勧めです。但し、施灸している間に、消えかけた熱い炭が身体に落ちることがあり、動物さんの身体とお灸の間に布を置いても、動物さんが火傷をすることがあるので、要注意⚠です!!
それと下の棒灸に比べると、炭だけあって時間と共にすごく熱くなりますので、熱すぎないかどうか、必ずマメにチェックしてあげてくださいね。

下の棒灸は、もぐさとともに鎮静・鎮痛効果のある漢方薬がブレンドされている棒灸です。上のものと比較すると結構煙は出ます。ですが、その煙も嗅いでいると脳の血流が二倍になると言われています。(老犬・老猫・老人に良いですよね!)
炭の棒灸と比べると火傷の頻度は低いですが、やはり動物さんに火傷をさせないように、くれぐれもご注意⚠くださいね!
※動物さんたちがごぞごぞしている時は、じっとしている事に飽きた時もあれば、熱い!!と感じている時もありますので気をつけてあげてくださいね。

2018年 8月 16日 掲載