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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

東洋医学よもやま話

私には、中医学で師と仰ぐ方が三人おります。
そのうちのお一人、今の日本獣医中医薬学院をお仲間と創設された山内健志校長に10数年前から中医学を教えて頂いて今があります。

今まで、歩行障害でお連れになったワンちゃんの症例で、おしっこ・うんこも麻痺の為コントロール出来ない。何とかほふく前進だけは出来る重度の子から、足元がふらつきながら歩く子、お膝や股関節の脱臼で痛みを伴い歩くのも不自由な子など、校長とお二人の師匠のお陰で、手術せずとも歩けるようになった子は結構います。
そして、手術しても歩けなかった子が鍼灸で歩けるようになった子も何頭かいます。

・・・ですが、今ちょうど手術しても全く歩けない、おしっこ・うんこもちゃんと出ない椎間板ヘルニア(おそらく合併症もあり)の子を二頭診せて頂いてますが、一頭の子はふらふらしながらもどんどん歩いて小走りさえするかと思えば、もう一頭の子は、飼い主様は「こうして立たせると、後ろ足に力が入ってきてるから、リハビリだけじゃなくて鍼灸も効いてるって思うのよね!」と言って下さいますが、おしっこのコントロールが出来るようになっても、正直な話、自力歩行に至っておりません・・。立つのも力が入り難いのが現状です。
申し訳ない気持ちを抱きつつ・・でも、でも、いらっしゃった時はとにかく全力を尽くさせて頂いております。

一人の師匠(国分龍彦先生・・人の鍼灸の先生)が、「工藤先生、どんな重症の子が来ても、『もうこの子はダメだよね。』なんて治療する側が言ってはダメなんだよ・・。みんな大変な思いをして、治療に来てるんだから、力を落すようなことを絶対に言ってはダメだよ。」といつも教えて下さいます。
とは言え、しばらく通院して頂いて「検査や手術をお勧めした方がこの子の為になるかも知れない。」と判断した時は、飼い主様にその旨をお伝えする場面もあります。

今日ご紹介するK.リョウ君は、一昨年の夏に熱射病になって主治医の先生から「やれる事はやったけど、残念だけど恐らくダメだと思います。」と言われ、連れて帰って家に着いた途端、水をがぶ飲みして、生還したというスゴスギル黒ラブさんです(笑)!!
ですが、その日を境に後ろ足が麻痺して全く歩けなくなったそうでした。
初診でお見えになった時は、Kさんがか細い身体で車から降ろして、お腹に補助器具を付けて支えつつ、辛うじて動く前足でエッチラコッチラ歩かせて病院の待合室まで連れて来られてました。
そのお姿を見る度に頭が下がる思いでいっぱいでした・・。

「先生~・・。もう直ぐこの子16歳半になるんですよ~・・。でもほんとこうして元気で食欲もあるし、治療してから毛艶も良くなったし、後ろ足に力が入るようになったから立たせるから筋肉も着いたんですよ~!」と毎回言って下さってましたが、部屋で少し歩けても、ちゃんと歩くところまで至っておらず・・やはり「力不足でごめんなさい・・。」と思いながら日々治療させて頂いてました。

ところが、正月過ぎのある日・・・Kさんが開口一番『先生~!! ハイジのクララ現象が起きちゃった!!見て見て!この動画!!』と仰るじゃないですか!
このお正月にご家族で日間賀島に行かれた時、車から降ろしてふっと手を離した途端、リョウ君が数歩歩いた!と言うことなんです!! この動画の通り・・・
一昨年から歩行障害になって、御年16歳7か月でリョウ君は歩きました(´▽`)!!

家族旅行で気分も良かったのか・・・「見て見て!みんなぁ〜、リョウ君が歩いてるよ〜!!」との事で、その時に撮った動画がコレです。

「っで、帰ってきてからはどうなんだ~?!」と問われると・・やはりトイレまで補助すれば歩けますが、この動画の様には歩けていません。
「でもこうやって諦めずに治療していると、数秒でも歩けるようになったんだし、同じような子を抱えてる人がいたら、その人達にもこういう方法があるって知ってもらって元気になって欲しいのね!だからHPに載せて下さい。」と、Kさんが言って下さったので、この度掲載させて頂くことにしました。

もちろん、先ほどもお伝えした通り、手術してダメだった全てのワンちゃんが鍼灸で歩けるようになったわけではありません。これだけやってもダメだからと言うことで、手術をお勧めして歩けるようになった子、そして鍼灸の後、手術してもダメだった子・・いろいろです。
ですが、どんな場面でも諦めずに手術も鍼灸もあるということを知って頂いて、その子たちが自分の命の灯が消えるまで、元気でいられるようにして頂けたら、そしてそのお手伝いが出来たら嬉しい限りです。

と言うことで、今回のよもやま話はこれでおしまいです。
リョウ君、いつまでも、そして誰もが考えたくはないけど、最期の日がいつかは来ます。でもその日までどうぞ元気でいてね!! そして本当に心優しいKさん、ご協力ありがとうございました(⋈◍>◡<◍)。✧♡

◇◇◇

リョウ君こうしていつも待合室にマットを敷いて、2人で談笑しながら治療させて頂いてます。

リョウ君は、いつも2人の話の聞き役です(笑)。

◇◇◇

※追記
私の『よもやま話』をお読みになって、遠方から治療のご希望のお電話を頂くことがあります。ですが、整形の問題のみならず癌など重度の病気に罹っている子達にとって、遠方からの通院が負担になることもままあります。
ですので、そういう方々には『一針多助;いっしんたすけ』と言うHPをご紹介しています。 このHPは、私達が卒業した「日本獣医中医薬学院」の卒業生マップが載っています。
ですので、どうぞこれをご覧になってお近くの鍼灸をやられる先生の所へ行って下さいね!(因みに、忙しさに取り紛れ・・・うちの病院の名前が清水動物病院からリリー動物病院に変わったという申請を出してないので、旧姓のまま載っています。お恥ずかしいですので、後で直しとこ~~っと・・・。ほんまかいな!?)

2020年 1月 23日 掲載

中医学を学んでいて、以前からずっと皆様にお伝えしたいな~と思いつつ、なかなか出来ずに時間ばかりが経ってしまい・・・やっと今日お伝えできるので嬉しいです(#^^#)V。

これを知っといて頂くと、結構便利ですよ!
大事な子の鼻水、吐物(吐いたもの)、おしっこ、うんこなど、身体から出るものの性状でその子が冷えているのか熱をもっているのかを知ることができるんです。

下の図をそのまま参考にして頂ければいいのですが、ざっくり言うと、身体から出るものの多くは、色が薄くて臭いもきつくないものが寒証(かんしょう;冷えていること)であり、色がついていて臭いがきついものが熱証(ねつしょう;熱を持っていること)であると言えます。

※ 例えば下痢の子がいて、これは細菌性の下痢だろうという診断で、長い間抗生物質と腸内細菌を整えるお薬を飲ませていても下痢がなかなか治らない時あるんですね!
そういう時は便の性状を見て下さい。その時にいつもの便よりも薄い黄土色をしていた場合・・・もちろん細菌性の下痢もあるでしょうが、身体の冷えが下痢の原因になってるんですね! ですので、普段のお薬と同時にお灸をして温めると下痢が改善することが結構あるんです。
ここで使うツボは、①腎兪(第二腰椎と第三腰椎の椎間の両端)、②大腸兪(第四腰椎と第五腰椎の椎間の両端)、③関元(おへそから指3本分下;指は動物の前足の三本目の指の幅のことです。)のどれか1ヶ所もしくは2ヶ所を棒灸で5分~10分お灸してあげると良いですよ。

※ ですので、同じ下痢でも便の色を見て色が濃いようであれば、それは熱証なので、お灸は逆効果になります。

※ これは多くの症状に当てはまるので、熱証と寒証の鑑別をするのにとても便利なのですが、『真寒仮熱』と言って、一見熱を持っているように見えても、実は身体が冷えている場合もあれば、『真熱仮寒』と言って逆のパターンもあります。
そういう時はどこで鑑別するかと言ったら症状と共に脈で判断します。ですが、脈の話になると『よもやま話』何回分??!ってことになるので、今回は止めますね。

一先ず今日の話、大事な子の具合が悪くなった時の参考にしてくださいね~! 
今年も皆さんと動物さん達が元気でいられることをお祈り&応援してますね(*^-^*)♪

寒証・熱証

◇◇◇

Uさんとあすかちゃんとこりきちゃん心臓病と椎間板ヘルニアで通院してくれているUさんとあすかちゃんとこりきちゃん。

お灸をするようになってから、毛ヅヤが良くなり歩く姿もしっかりしてきたので、他の飼い主さんから聞かれた時に、この子達の年齢を伝えると皆さんびっくりするそうです(*^^)v。

Kさんとミロちゃん免疫疾患と肝の弱りで通院してくれているKさんとミロちゃん。

初めて来院された時は緊張していたようですが、そのうちに名前を呼ばなくても自分から診察室に入ってくれるようになりました。

いつもおりこうさんで治療させてくれます。

治療の後のマコモクッキーが楽しみでもあるようです(笑)。

2020年 1月 03日 掲載

前回の「よもやま話」で、『中医学のベースになっている概念』についてお話させて頂きました。
今日は「その6」『心身一如;心と身体は繋がっている!』という事例についてお伝えしようと思います。

私達の生活の中で、例えば職場での人間関係のもつれや家族とのいさかいなどで、ストレスを感じる時、とても憂鬱になりますよね。そしてその憂鬱が長い間続くと、胃が痛くなったり、はたまた怒りを抱えて生活していると、肝臓を傷めたり、ふつふつとした怒りが何年間も続くとやがては腎を傷めたり・・・と、心の問題が身体に出てきますよね!
それは人間ばかりではなくて、動物たちもおんなじなんです。

今回、飼い主さまご了承の元、典型的な例を三例、掲載させて頂くことにしました。

⦿ 以前も掲載させて頂いたことのある、Tソラちゃん

Tソラちゃん前回は、大好きなお母さんの体調一つで、尾っぽの腫瘍が大きくなったり小さくなったりする事を書かせて頂きました。

実はこの春、睾丸にも腫瘍ができていて、大きくなっていた事に気付きました。
ですが心臓が悪い為、いろいろ悩まれた末、手術しないで鍼灸治療で良い状態を保ちたいとおっしゃいました。

ソラちゃんは、お母さんがいらっしゃる時は常に元気で食欲もあるんですが、大好きなお母さんが数日ご旅行に出かけたりすると、鍼灸治療をしていても腫瘍が大きくなってしまいます。そしてお母さんがお帰りになるとまた小さくなるんです。それを何回も繰り返しているんですね!!正しく心の状態と身体は繋がっているんですね・・。

⦿ Tルーシーちゃん

Tルーシーちゃん口腔内腫瘍

口腔内腫瘍口腔内腫瘍で、二年前から通って頂いています。
鍼灸治療の他、手作りご飯とご自宅でお灸をして頂いています。

約二年ほど、腫瘍はさほど大きくならずに同じ大きさを保っていました。

ですが、この夏ご自宅をリフォームすることになり、数か月間ご親戚のマンションを間借りすることになりました。

そのマンションのワンちゃんが、ルーシーちゃんんとお友達になれなくて、事あるごとにルーシーちゃんに吠えていたらしく、慣れないマンションとその子の鳴き声でルーシーちゃんはかなり小さくなっていて、毎日の眠りも浅いとのことでした。

間借りしてから、二か月めのある日、口の中の腫瘍を見て一同びっくり!!
なんと・・・かなり大きくなっているではありませんか~・・・!!

やっと先日、元のお家に戻れましたので、これから腫瘍が小さくなってくれると良いんですが・・。

とにかく飼い主さまと私の連携プレーで頑張りたいと思います。

⦿ Sももちゃん

Sももちゃんもともと胃腸が弱く、ちょっとした事で、直ぐに下痢をしたり食欲不振になってしまう子でした。

鍼灸治療を続けていくうちに、軽いストレスでは下痢も食欲不振も起こさなくなって、Sさんも喜んでおられました。

が、そんな折、Sさんの友人が数日家を空けなくてはならない事になり、Sさんは人助けと思って、その方のワンちゃんを数日預かりました。

一日、二日と・・時間の経過に伴なって、ももちゃんの便は柔らかくなっていったそうです。

そして、そのワンちゃんが帰って二日ほどして、ももちゃんの便は固まって、いつもの良い便になったそうです。

◇◇◇

※『心身一如;心と身体は繋がっている!!』ということは、中国では3千年前の古書『黄帝内経;こうていだいけい』という本に書いてあります。

西洋医学では、臓器は孤立した一つのパーツという見方を長い間してきました。そして「心と身体は繋がっていてお互いに影響しあっている。」という事を医療の中に積極的に取り入れるようになったのも、西洋医学の歴史上浅いのではないかと思います。

もちろんそれが故に、一つの臓器を一つのパーツとして、またミクロとして、臓器や細菌の研究を深くやってきたからこそ、現代西洋医学はここまで発展し、手術・薬品・検査がどんどん進み、多くの命を助けることが出来ていることは紛れもない事実だと思います。

中医学も西洋医学もどちらも優れた面を持っています。
ですので、手術が必要な場面は当然あるでしょうし、『薬膳』『気功・呼吸法』など、予防的な中医学の考えを取り入れて、病気にならない工夫をしながら、なんとか手術をしなくてもいい場面であれば、針治療、お灸、推拿(すいな;身体のツボや経絡を指や手で刺激して病気を改善する方法)など、身体に優しい治療を取り入れるのもお勧めですよ!

2019年 12月 22日 掲載

今回は、中医学のベースになっている概念をお伝えしようと思います。

本当はもっと詳しく一つ一つの各論までご説明したいのですが、一つの項目だけで、セミナーでしたら、二~三時間あっても足りない項目もあるので、今回は、タイトルのよもやま話の意味(種々雑多な話。いろいろな話。世間話)の通りで、思いつき的な感じで掲載させて頂きました。また折を見て、各論のお話もいつかさせて頂けたらと思います。

  1. 全てのものは「気」から始まる。「気」でできている。という概念。「気」は目に見えにくいが必ずある。
  2. 陰陽論・・地球上の全てのものを全く対極する「陰」と「陽」に分けて考えること・・何となくの感覚でお分かりになると思います。
    陽は温かいとか明るいとか、陰は冷たいとか暗いとか・・。身体で言ったら暑がりさんは陽であり「熱証;ねつしょう」といい、寒がりさんは陰で「寒証;かんしょう」という。私達治療者は病気の子を目の前にした時、脈を診ながら、患者さんの陰と陽のバランスを整えることが最終的な治療である。
  3. 五行論・・地球上の全てのものを、木・火・土・金・水の五つに分けて、それぞれもしくは、それらの相関関係から、自然・社会・病気などの変化を説明したもの。・・・本当い面白い考え方なんです!いつかたっぷり時間の取れる時に、五行論の話を掲載したい!!と前から思っています。(*^_^*)!
  4. 天人合一(てんじんごういつ)または天人相応(てんじんそうおう)・・・私達生きているものは、天、則ち宇宙(いわゆる自然)の影響を受けざるを得ないという考え方。
    最近よく「低気圧女子」という言葉を耳にするが、台風や長雨で頭痛がしたり身体のだるさを訴える女性がとても多いとのこと。
    女性の75%が低気圧女子で低気圧男子は男性のうち25%である。でもそれは人ばかりではなく動物たちも低気圧で具合が悪くなる子、結構いる・・。
    今年の秋も台風が多くて、下痢になったり椎間板ヘルニアが再発したりと・・調子が悪くなった子たちが続出しました。
  5. 整体観念・・・生体を精神も含む一つの「整体」として考える。つまり、「臓腑も器官も組織も個々ではなくて、みんな繋がったものである。」という考え方を基本に病気を考えること・・五行論の「相性;そうせい」・「相克;そうこく」の考え方もこの中に入る。・・ごめんなさい!「相性」と「相克」に関しては、いつか五行論のお話でさせて頂きますね・・。
  6. 心身一如(しんしんいつじょ)・・心(精神)と身体は一つであり、切り離すことが出来ないものである。私達は人間関係で悩みを抱えると、憂鬱になり、やがてそれが身体にも反映して、お腹が痛くなったり、風邪を引いた時など咳が止まりにくくなったりしますよね。
    でもそれって人間だけに限ったことじゃないんです。やはり動物も人と同じで精神的なストレスを感じると、体調を壊します。

※ 編集後記

せっかくHPがあるので、「“中医学のおもしろ情報“」をいっぱい掲載して、皆さまに少しでも中医学を知って頂けたら嬉しいな~!と」思って数年前から始めた「よもやま話」ですが、今回は東京と愛知でのセミナーの準備に追われて、いつも以上に滞っています(>_<)・・。

それで今回は、12月のセミナー用の原稿を少し変えて、掲載しました。

少し大雑把のようで、申し訳ありません・・。ですが、忙しい忙しいと言っていると、浦島太郎子になってしまうので、少しずつでも良いので中医学の情報を発信していけたらと思います。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました (*´▽`*)♡

◇◇◇

小春ちゃん膝蓋骨脱臼で通ってくれているYさんちの小春ちゃん。

超々元気印のお嬢ちゃん!!
人にも動物にも積極的にかかわって行って、誰に会っても動じないとのこと。

因みにお父さんは小春ちゃんにメロメロだそうです。

いつもおりこうさんで治療させてくれます!昔、靭帯を傷めたとのことで、少し歩くと足を引きずるような歩き方になってしまうとのこと。

いつもおりこうさんで治療させてくれます!

私イコール「治療の時に良い子にしてると、オヤツをくれるおばさん」と思ってくれてるようで、今日も診察室に入って私の顔を見た途端、よだれを垂らしていました(笑)。

2019年 11月 29日 掲載

「諸行無常」と言いますが、9月は「いつになったら、この暑さと湿気から解放されるんだろう・・。」と思っていたら、10月から徐々に、夜涼しくなりましたね!
中医学は、「全てのものを『陰』と『陽』に分ける概念を基にして考えられています。(その他全てのものは『気』からできている『気の理論』や『五行論』なども基になっていますがここでの説明は省きますね。)

太極図

陰陽の太極図(たいきょくず)をご覧になった方、結構いらっしゃると思いますが、本当にその図の通りですよね!
いつまでも白い部分(陽;よう)は続かない。その白い陽の部分が太くなって極まったら、今度は黒い部分(陰;いん)が少しずつ出始めて、徐々に黒い部分が増えていく・・・そして黒の部分が極致まで増えていったら今度はまた白い部分がじわじわと増えてくる。・・その繰り返しなんですね。
中医学では全てのものをざっくりと陰と陽に分けて考えます。
因みに今私が言っている白い部分の極致は「真夏」であり、黒い部分の極致は「真冬」になります。 案外人生もそんなものかも知れませんね・・。

五行色体表

あっ、本題に移りますね!
秋は、五行の図の「金」のところをたどって行くと、「燥」と書いてある通り、乾燥する季節です。
乾燥による私達への悪い影響のことを「燥邪;そうじゃ」と言います。
その燥邪によって、「金」のところの「肺」を傷め、空咳や喘息が出やすくなるばかりでなく、肺のみならず鼻、喉、唇などの乾燥や便秘を起こします。

ですので、以下のことを満たすような食品がお勧めです。

※ 先ずは「燥邪」に備えて、肺を守り潤いをもたらす食品。
※ 肺は、乾燥のみならず熱や寒さに弱いので、今は暑さ対策の食品を摂り、これからは寒さ対策への食品も必要となります。
※ 少辛多酸;辛めのものは、少しだけ取って、酸味や甘味を多く摂ります。因みに甘味は夏に疲れた胃や脾を養います。
※ 潤い(陰)を養う効果があるたんぱく質(大豆製品・豆乳・豆腐)を積極的に取ります。
これらは腎を補う作用も強いので、高齢になって腎が弱ってくる動物たちにお勧めです。

さて、それでは具体的な食品を以下に列挙しますね!

  1. 水分(陰と言います)を補うもの
    山芋、杏仁(きょうにん、あんずの種)、白木耳(しろきくらげ)、豆腐、豆乳、梨、リンゴ、おくら、ズッキーニ、黒豆、牡蠣(かき)、蟹、ブリ、豚肉、卵、オリーブオイル、西瓜、トマト(但しオリーブオイルから三つは身体を冷すので、寒くなったらあまり摂らない方がいいです。)
  2. 肺を潤し、肺を補うもの
    山芋、ズッキーニ、柿、梨、バナナ、琵琶、みかん、リンゴ、アーモンド、メープルシロップ、オリーブオイル
  3. 咳を鎮めるもの
    湯葉、アスパラガス、カブ、杏(あんず)、杏仁(きょうにん、あんずの種)、いちじく、梅、オリーブ、オリーブオイル、梨、桃、アーモンド、アーモンドミルク、くるみ、松の実、海苔、はちみつ
  4. 辛みのもの
    しそ、パクチー、ネギ(犬は禁忌!)、菜の花、菊花、陳皮(みかんの皮)、パセリ、三つ葉、天台烏薬(てんだいうやく)
  5. 甘味のもの
    穀物(白米、大麦、小麦、黒豆、玄米、米麴)、ハチミツ、鴨肉、マコモ茸、南瓜(かぼちゃ)、栗、山芋、棗(なつめ)、クコの実
    ※ 米麴(こめこうじ)は蒸した米に麹菌を繁殖させて発酵したもので、30種類~100種類の酵素が入っていると言われています。残念ながら市販のものは熱処理をするので、死滅してしまう酵素が結構あるんですね・・。 それで今、私は米麴から簡単に作る甘酒にハマってます(*^_^*)!!
    ※ 南瓜、山芋、棗、クコの実、三つ葉は、スムージーに入れて飲んでます。ワンちゃんにもお勧めです(^_-)-☆
  6. 白い色のもの
    五行の表の金のところは秋の季節であり、色は白です。この時期は白いものが身体に良いので、白いものを摂ると良いんですね!
    白木耳、白ゴマ、豆腐、豆乳、山芋、レンコン、里芋、大根、カブ、米麴、アーモンドミルク
  7. 咳が出た時にお勧めのもの
    大根を短冊切りにしてタッパーに入れ、大根が隠れるまでハチミツを入れます。一日以上置いた後、その汁を動物に与えてみて下さい。結構咳止め効果ありますよ~!!

ざっとこんな感じですかね~・・。
ドライフードは、素材を選べませんが手作りご飯だったらそれが出来ます。
でも、皆さんはお仕事、家事、その他いろいろやることだらけで、マジに大変(>_<)!!だと思います。
動物さん達に手作りご飯をあげている方は、ご家族のご飯と一緒にお作りになる方、お休みの時に動物さんのご飯をまとめて作って凍らせる方、など結構工夫されてますよ~・・。
「医食同源」ですので、動物さんも皆さんもこの季節に合った身体に良いものを摂って頂き、より元気になって頂けたらと思います(^_-)-☆

2019年 10月 06日 掲載

あっという間に9月も半ばになりましたね。
『よもやま話』を書いては忙しくなって中断し、内容が古くなったからまた書き直して・・・を繰り返しているうちに関東地方は台風で大変なことになっていました。この暑さの中での水害の後片付けはとても大変だと思います。どうか体調に気を付けながら頑張って頂けたらと思います。

ところで、私の病院では、ずっと調子良かったのに長く続いた「湿気(湿邪;しつじゃ)」のせいで、8月下旬ごろから不調になった子が何頭かいました。
今日はタイトル通り、残った暑さと湿気・それから乾燥の秋の季節に起こる身体の不調への対応策のお話をさせて頂こうと思います。
ただ、長いので最後まで読むのに疲れてしまう方の為に、先ず初めに私が臨床を通じていつも感じている大事な事をお伝えしたいと思います。

※一つめは『お灸をお家でしてもらっている動物さんは、高齢でも歩き方がしっかりしています!』ということ。それと『同じ病気の子でも、お灸をしてもらっている動物さんは、そうでない子と比べたら元気だし、毛ヅヤもすこぶる良いです!』ってこと。
動物も私達人間もどれだけエアコンの利いた部屋にいようが、自然界の影響を受けてしまいます。それを中医学では『天人合一;てんじんごういつ』と言います。
高齢の子や慢性疾患を持った子は、特に影響を受けやすいです。
今回のような台風の「低気圧」や「湿気」、「暑さ」の影響を受けて、胃腸の調子がおかしくなって食欲不振や下痢になったり、てんかん発作がひどくなったり、そして人では頭痛がしたりします。 そうやって知らず知らずのうちに、私達は自然界の影響を受けてしまうんですね・・。

「じゃあ、高齢の子や自然界の影響を受けて病気になる子達は一体どうしたら良いの!?」と言うことになりますよね。ここで私がお勧めしたいのは、お灸です!
毎日もしくは一日おきでもいいので、お灸をしてあげると、動物さん達は自然界の影響を受けてもその打撃が少なくなるように思います。
そして、それだけでなく、『お家でお灸して頂くことによって、次の治療までの間、良いペースを保つ助けになります!

私達中医学をする獣医は、診察室に入ってもらったらすぐに顔つきや歩き方、毛ヅヤなどをみます。そして脈も取ります。脈を取ることを『脈診;みゃくしん』と言います。
人は手首の内側で脈を取りますが、動物さんは「大腿動脈」と言って、太ももの内側の動脈で脈を取ります。
治療前に飼い主さまからこの子の症状をお伺いしながら、脈を取って動物さんが今一体どういう状態なのかを把握します。
針やお灸の途中で、何回も脈を取ります。
そして大方顔つきも良くなって動物さんの脈が良い状態になったところで、鍼灸の治療を終えます。
ですが、脈を良い状態にしてお返ししても、数日または数週間経った次の診察の時には、整えたはずの脈が落ちているんですね。ですがお家でお灸をしてもらっている子は、最初に針を一本うっただけで、脈が直ぐに良い脈に変わるんです!それは本当にすごいと思います。何気なく毎日あるいは一日おきにしているお灸で、この子達の身体の血の巡りも気の巡りも良くなっている!って事なんですね!!

※二つめは『手づくりご飯を食べてる子も同様、同じ年齢(高齢)の子や慢性疾患の子はドライフードを食べている子と完全に差がつきます!』ってこと。
私が獣医になったばかりの年に、『アメリカのH社が各病気に良い、緻密に計算された療法食』というものを世界で初めて世に送り出しました。
それは獣医界にとって、とても画期的な事でした。確かに各病気に効くのです。
ですがそれを売り出すが為に、当時「人間の食べ物を犬や猫に与えてはいけない!!絶対に身体に良いのはドライフードである!!」という説をH社が全世界の獣医に啓蒙したんじゃないかな~!と思います。
そして多くの獣医がその事を飼い主さまにお伝えしました。
啓蒙されて、長い間、そう言っていた獣医の一人がこの私でした。
でも・・、鍼灸(中医学)を学んでいって慢性疾患の子を多く診ていくうちに、その考えが間違いであった事を知りました。
確かに療法食には療法食の良さはありますが、多くのドライフードは炭水化物の割合が非常に多く、犬や猫の消化に非常に負担が掛かるんですね。
会社によっては、防腐剤の面でも安心はできません。
毎回材料をご自身で選んで、各々の動物にとってバランスの良い比率で作った手作りご飯は、安全で身体にも良いし、そして動物さん達も大喜びで食べます。(猫ちゃんはワンちゃんほど喜ばない子もいますが・・。)
そして鍼灸を希望される多くの飼い主さまは、我が子(ワンちゃん猫ちゃん)が重い病気になったが故に、「どうしたらこの子に良いかってことを熟慮されて、結局ドライフードよりも手作りご飯の方が良い!!」と言うところに辿り着いた方が圧倒的に多いんですね!
ですので、『ドライフードよりも手作りご飯の方が絶対にお勧めです!!

・・・と言うところで、また今日も結構長いよもやま話になってしまいました・・。
もう一つの本題に入れなくてごめんなさい。頑張って今週中か連休中には本題について書きたいと思います。
それでは皆さま、ごきげんよう~(*^_^*)!

◇◇◇

鍼灸セット家と各病院に常備してある私の鍼灸セット

身体が痛くても寝る方を優先してしまう時もありますが、やはりちゃんと自分なりに治療している時の方が調子が良いです。

飼い主さまに「お灸しましょうね!」って言っているくせに、自分もやらないとダメですもんね~!

チロルちゃんとのわちゃん左から、チロルちゃんとのわちゃん

それぞれ腎疾患と後ろ足の不調で通ってくれています。

Uさんは、数年前から愛情たっぷりの手作りご飯党です!

ただ、のわちゃんは、「わ~い!!」って喜んで食べるけど、チロルちゃんは、食べむらがあるそうです。
治療の後のマコモクッキーはとっても喜んで食べてくれるんですけどね・・・。

2019年 9月 11日 掲載

こんにちは!
やっと日本中の梅雨が明けましたね。
ついこの間まで朝晩の肌寒かった日が嘘のように酷暑になり・・とは言えまだしっかりと湿気っぽさを感じますよね・・。
さて、遅くなりましたが今日は先日の続きを書かせて頂きますね。

1.「湿邪」の性質の補足・・湿邪が他の邪気(病気になる自然界での要因)とくっついた場合・・。
前回、「湿邪」は重くて粘っこい性質を持つとお伝えしました。
「湿邪」だけでも身体の不調を起こしますが、湿邪が「湿邪と相性のいい邪気」とくっつくと、よけいに私達の身体に悪さをします。そしてそれがまた結構シツコイのですね。

  • 「湿邪」と「暑邪(しょじゃ);夏の暑さや身体自身が暑くなること(下の2に記す)」がくっついた状態を『湿熱(しつねつ)』と言い、「寒邪(かんじゃ);冬の寒さやそれによる冷え」とくっついた状態を『寒湿(かんしつ)』と言います。
  • 例えば『湿熱(しつねつ)』の状態が長い間続くと、膀胱結石や尿道結石、そして胆石などができ易くなります。
    またジュクジュクとした皮膚病になったり、もともと皮膚の弱い子がこの時期に悪化したりします。その他手足が重だるくなったり、嘔吐・下痢を起こしやすくなり、元気もなくなります。
  • それから、『寒湿(かんしつ)』であれば、関節の動きが悪くなり、腫れてきたり痛みが出てきたりします。
    そして冷えによる下痢や嘔吐も起き易くなったりするんですね。

2.「暑邪(しょじゃ)」について

夏の暑い時期に起こる「邪気」です。暑邪の季節には、人なら大汗をかいてその熱を発散させますが、犬はそれが出来ないので、呼吸やよだれで発散させようとします。(ほんの一部はパットでも発散はしますが・・。)
「暑邪」の時の犬の主な症状は、発熱、激しいよだれ、のどの渇き、濃い黄色の排尿、元気消失などを起こしますが、「暑邪」が体内に入ってより重症になると、高熱、よだれが激しく止まらない、脱水、呼吸が早くなる、意識喪失、更にはけいれん発作が起こることもあります。
また上の1の通り、「湿邪」とくっついて『湿熱(しつねつ)』になると、より重症になりますし、1で書いた『湿熱』の症状を起こします。

※これらは、「湿邪」によって身体の水分が身体(特に下半身)に停滞して、「気」や「血(けつ)」のめぐりが悪くなることによります。(「気」や「血(けつ)」に関しては別の機会でお伝えしますね。)
※今の「暑邪」の時期は、心と小腸を傷めます。
ですので、心臓疾患を持った子は、中医学を学ぶ前から思ってましたが、暑くなるととても疲れているのを感じるんですね。
ですので、心臓疾患の子を持つ飼い主様はこの時期にはいつも以上にケア(お灸・推拿・食餌など)をしてあげるようにして下さいね!
※前回の『よもやま話』でも書きましたが、梅雨の湿気の多い時には脾と胃。暑い時期には、心と小腸・・と言うように、中医学では季節ごとに自然界の邪気のせいで決まった臓器が傷むと言われています。その決めごとを『五行論(ごぎょうろん)』と言います。これもまた別の機会でお伝えしますね!

さて、これらの対応法ですが、先ずは気の巡りを良くすることが大事です。それによって体内の水(血)のめぐりも良くなります。すると身体にたまった余分な水を外に出します。

それには、
A)お灸
B)針などの道具を使わずに掌(手のひら)や指の腹でツボや経絡を刺激して治療する推拿(すいな)
C)湿を取る食餌
がお勧めです。

今日は、A)お灸についてお伝えしますね!

先ずは身体の「気」のめぐりを良くして、身体にたまった水分を出すツボをお伝えして、その後、「湿邪」の時期に起こる症状(下痢・腹痛・食欲不振など)に効くツボをご紹介しますね。

棒灸市販の「せんねんきゅう」でも悪くはないですが、写真の様な棒灸が使いやすくてお勧めです。

今は「暑邪」の時期ですが、エアコンが利いているので、舌の色が薄ピンクの寒がりさんであれば、よけいお勧めです。

ただ、舌が真っ赤の子や真っ黄色のおしっこをしたり、濃い色の固いウンコをする子は暑がりさんなので、下に書いた百会や胸から上のお灸は熱をあおるのでなるべく控えた方が良いと思います。

必要だと判断した時は、時間を短くした方が良いですね~!(但し、寒がりさんでもあり、暑がりさんでもある子はいっぱいいます。)

1)まずは百会(ひゃくえ;頭のてっぺんで、耳と耳と結んだ線)からお灸をする・・・陽(温かい)の気が身体中に回ります。・・但し暑がりさんはこのツボはやめましょう!!
2)その後、三焦兪(さんしょうゆ;一番目の腰椎と二番目の腰椎の間・・詳しくはその左右両側にあるツボだが、ここのお灸でよい。)・・水の流れを良くする。
3)腎兪(じんゆ;二番目の腰椎と三番目の腰椎の間・・上と同様である。)・・高齢で足腰が弱った子にもとても良い。
4)水分(すいぶん;おへそから動物の指一本上)・・むくみに最適。
5)三陰交(さんいんこう;後ろ足の内側のくるぶしから指四本分上)・・むくみに最適。

※暑がりさんは1)は避けて、1)~5)まで順にを5~10秒ずつお灸する。それを数回繰り返す。または各々を3分ずつお灸を充てて一回で終わらせても良い。
お腹のお灸を嫌がる子もいるので、そういう子は無理しないで背中側や足のお灸のみで良い。

6)足三里(あしさんり;膝とその下のでっぱりの間の窪みから指三本分下)・・下痢・嘔吐に最適。冷えでの下痢などには特にお灸が良い。冷えでない下痢では、むしろお灸ではなくて指で軽く上から下に向かって押すと良い。
7)中脘(ちゅうかん;おへそから指四本分上)・・胃の痛みに効く。脾にも良い。6)同様、冷えにはお灸が良いが、食べすぎで胃に熱を持った時は、お灸ではなくて、このツボを指で上から下に軽く押す。

※6)と7)は湿邪の時期のみならず、消化管のトラブルに使えます。
※中医学では、病気で崩れた人や動物の身体のバランスを整えることを目的としています。
先ほどお伝えしたように、舌が真っ赤だったり、真っ黄色のおしっこをしたり、黒い固いウンコをするような子は、お灸ではなくて、針の代わりに指で軽く刺激するだけでも治療効果は出ますので、やってみて下さいね!

それでは今日はこの辺で~(*^_^*)/

◇◇◇

日本獣医中医薬学院の山内校長研究科、今年度最後の授業

日本獣医中医薬学院の山内校長に『医学気功』を教えて頂いているところ

良い治療をする為には、私達自身が元気でないといけません!
校長先生のお陰で、毎朝、治療の前に気功をしています。

座学の後の実習座学の後の実習

トリマーさんの専門学校にいるモデルのワンちゃん達を、授業の後でみんなで脈を取って検証しつつ、治療させて頂いています。

2019年 8月 06日 掲載

中医学は、いくつかの概念で出来ていて、そのうちの一つに『天人合一(てんじんごういつ)』というものがあります。
その意味は、「自然(天)と私達は繋がっていて一つのものであり、切り離して考えることは出来ない。」というものです。
それはどういう事かと言うと、「私達がどれくらいエアコンが利いた快適な部屋で過ごそうと、風・湿気・暑さ・乾燥・寒さなどの自然の影響を受けざるを得ない。」と言う事です。

長かった梅雨もようやく終息を迎えそうですが、今回は『湿邪;しつじゃ』についてお伝えしますね!
中医学では、病気の原因となる外部環境の原因のことを「外因;がいいん」と言い、風・湿気・暑さ・火(熱)・乾燥・寒さの6つの「外因」があると考えます。
そしてそれぞれに邪気の「邪」を付けて、風邪(ふうじゃ)、湿邪(しつじゃ)・暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)と呼びます。

これらがそれぞれの季節による変化と考えれば、ほどほどであれば問題はありません。ですが度を超すと身体に悪影響が出てくるんですね・・。あるいは、過剰でなかったとしても、私達人間や動物が高齢・疲労・慢性病などの状態であった場合、それら「外因」の影響を受けて体調が悪くなったり病気になったりします。
当院でもここ二か月間は、しばらく続いた長雨のせいでそれまで好調だった慢性病のワンちゃんや猫ちゃん達が体調を崩すことが続出しました。

ちなみに雨は「低気圧」と関連します。低気圧は周りから空気を取り込んで地上から上に昇っていきます。それで雲が出来て雨が降ります。ですから「低気圧」で調子が悪くなるのみならず、その時の雨による「湿邪;しつじゃ(湿気)」によっても不調になるわけです。
ちまたでは今の時期は「低気圧頭痛が起こる」と言われたりしますが、「低気圧」のせいで自律神経のバランスが壊れて、痛みに対して敏感になったり、だるくなったりするんですね。
人でのあるデータでは、「低気圧女子」は女性のうちの75%、「低気圧男子」は男性のうちの25%だという事でした。
私の実感では、ワンちゃん猫ちゃんで「低気圧」または「湿邪」によって起こる弊害の性別差はさほどないように感じましたが・・。

さて、それでは「湿邪」による主な不調の症状はと言いますと、「湿」は、重だるくて粘っこい性質を持ちます。ですので下半身の重だるさや痛みを生じ、麻痺や痙攣(けいれん)を引き起こすことがあります。その他むくみ、倦怠感、頭痛、吐き気なども起きます。
「湿邪」が体内に入ると、胃や脾を侵して下痢や消化不良を起こします。(脾は湿気を嫌います)
ですので、この時期には胃腸を壊して下痢になったりお腹が痛くなる動物が増えるんですね。

また「外因」ではなく「内因」として「湿」がたまる現象としては、炭水化物をたくさん摂取している子は、身体の中にどんどん「湿」が作られていき、身体の血の巡りと気の巡りが悪くなります。更にそれによって消化器症状のみならずいろんな症状を引き起こします。

さて、長くなりました。
それではその解決策は・・?!と言いますと、先ずは

  1. 血の巡りを良くするために、お灸がお勧めです。
  2. 「推拿;すいな」と言って、身体の表面にある「ツボ」やツボの道である「経絡;けいらく」を指で刺激して、血の巡りを良くします。
  3. 「湿(水分)」を取る食材を使って余分な水分を身体の外へ出します。

ざっとこんなところでしょうか・・・!!
具体的な方法については、次回の『よもやま話』でお伝えしますね。
忙しさに取り紛れて、今回の『よもやま話』も、書いては中断し、また書いて・・の繰り返しでこんなに遅くなってしまいました。
後、数日で梅雨も明けそうですね。
とは言え、まだ湿気は続きます。ですので、3については「暑邪;しょじゃ(暑さ)」による弊害も踏まえた食材をお伝えしようと思います。
それでは皆さま、「湿邪」ともう既に来ている「暑邪」を上手に乗り切って、お互い元気で楽しくいきま笑〜〜*\(^o^)/*

◇◇◇

アイリスちゃん、はななちゃん、ホリーちゃんにTさん向かって左から、付き添いのアイリスちゃん、はななちゃん、ホリーちゃんにTさん。

はななちゃんは、外に行って疲れると軟便や嘔吐になってました。最近はそういう症状もぐっと減ってきたとのこと。これは手作りご飯とTさんのお家でのお灸の賜だと思います。

ホリーちゃんはお膝の脱臼で来院してくれています。鍼灸の後のおやつを楽しみにして、治療中はとてもおりこうちゃんにしてくれます。

ルーシーちゃんお口の中にできものができて、通院してくれているルーシーちゃん。

超べっぴんさんで超フレンドリーな性格なので、どこに行っても可愛がられます。

岐阜のアウトレットにでも行こうものなら、「ちょっとなでさせて~!!」と犬好きさん達がわんさか寄ってくるとのこと。

この子たちの「癒しの力」って本当にすごいですね!

2019年 7月 24日 掲載

・・と言うことを結構感じます。
これ、私だけが言ってるんではなくて、長年一緒に鍼灸を学んできた鍼灸仲間も同じことを言っています。

以前よもやま話に書いたように、私達は動物さんの脉(脈;みゃく)を取りながら、治療を進めていきます。
例えば病気の為に細くて弱かった脈が、治療していくうちにだんだんと太くて力強くなってきたり、はたまた後ろ足が痛くて右と左の脉の強さに大きな差がある子が、治療で均等になってきたら、そこで治療を終わらせます。
治療をして一旦いい脉になってお帰りになっても、次回までに何日か経つとまた脉が弱くなることがあります。
でも・・・自宅でお灸をしてもらっている子達は、治療の始めに針を一本打ったり、ツボを軽く刺激するだけで、脉が変わるんですね~・・。

お灸は本当に地味な作業ですが、身体中の血の巡りと気の巡りを良くして体調を整えたり免疫力を高めたりして、身体も心も元気にします。
そして『天人合一(てんじんごういつ)』というように、外に出ない動物や人でさえも、寒さや風や暑さなど自然の影響を受けて体調を崩すことがありますが、その変化をも最小限にします。

☆私の診せて頂いている高齢のワンちゃんで、7年ほど前に初期の腎疾患になり、椎間板ヘルニアになったりその後も前庭障害で首が曲がってしまった子がいますが、鍼灸治療と共にご自宅でお灸して頂き、手作りご飯にして頂いたら、血液検査は正常になり、他の症状もよくなった子がいます。(手作りご飯は、お野菜、魚、肉、お米などの材料を水から入れて、汁たくさんの雑炊のようにしてもらっています。そこで水分を摂れるのもきっと良いんでしょうね。)

☆お電話で「椎間板ヘルニアっぽいのだが、歩行困難になったから治療をして欲しい。」とのご依頼を受けた時、飼い主さまが遠方の方だったり、どちらかの都合で直ぐに診せて頂くことが出来ない時は、必ず「もしうちの病院に棒灸だけ取りに来て頂けるのなら、直ぐにお灸を腎兪にして下さい。棒灸セットを取りに来て頂くことが出来なかったら、宅急便でお送りしますよ。」とお伝えして、初診までの間、何もしないのはもったいないので、お灸をして頂きます。
もちろん、手術しても難しいような重度の椎間板ヘルニアもあれば椎間板ヘルニアではない難治性の椎骨の病気もありますが、ご自宅でのお灸をお願いした子の中には、初めて来院された時には、ふらつきながらも歩けるようになったワンちゃんが何頭もいます。

☆師匠の学院の山内健志校長は、人の治療もされています。
腎不全で20年以上透析をしていて病院の検査でも腎臓機能は0パーセントだと言われていた患者さんに、鍼灸治療を施し、治療の中で「関元」(お臍の指4本分下のツボ)と右と左の「太谿」(足首の内側のくるぶしとアキレス腱の間のツボ)にお灸して、ご自宅でもその三点のお灸をして頂いていたら、ひと月くらいして、娘さんから感激のお電話が掛かってきたとの事でした。
「先生~!うちのお父さん、ずっと腎不全だったからおしっこが20年以上も出なかったんですが、今日2~3滴おしっこが出て、すごい喜んでました!!」とのこと。
お灸がほんの数パーセントの腎臓の正常な細胞に働きかけて、腎臓が動くようになったということなんでしょうね! 実にスバラシイと思いました。

☆最後にわたくしごとになりますが、阿久比の病院と名古屋の病院を行ったり来たりしていて、バタついている&そそっかしい性格なので、先日な、な、なんとぉ・・名古屋の病院の通用口の透明なガラス戸が開いていると勘違いして、大きな荷物を持ったまま急いで病院に入ろうとして、左のオデコを思いっきりぶつけてしまいました。
ものすごい音と共にふらっとなり、「おう・・・これが脳震盪かぁ・・。」と思いましたね~。昭和の漫画なら目から星が出ている感じですわ~(苦笑)。
それでその夜のうちにオデコにお灸を三層(三回)しました。
腰痛やら突発性難聴持ちでもあるので、身体全体を軽く針で整えてから、オデコにお灸しました。強打したので絶対に痣(アザ)になるか腫れてくるのを覚悟の上でしたが、全然痣にもならず腫れも痛みも残りませんでした!(一週間は、指で強く押すと少しだけ痛みはありましたが)
因みに中医学での三はとても重要な数と言われていて、三は完全な数、整数であり、『三は散ずるに通じる。』と言われ、三回お灸することによって瘀血や痛みを散らせる働きがある。と言われています。打撲や外傷は局所の瘀血なのですね。

・・・ということで、最後はちょっと?!笑っちゃうような私の失敗談でしたが、お灸って本当にすごいんですよ~!!ってこと、身をもって知りました(笑)。
「皆さん、どうぞお試しあれ~~!」でございます。
今日も動物さんと皆さまにとって、心身ともに健康で素敵な一日でありますように~(*^_^*)☆彡

◇◇◇

林さんと渡辺さん阿久比のリリー動物病院の新人看護師さん達。
左は林さん、右は渡辺さん。

例年の事ですが、三月に入ってフィラリアの血液検査などが始まって、超忙しくなりました。
二人とも顔晴ってくれてるので、助かっています。

看護師の清田さんと副院長の水出先生「え~?!先生、またぁ〜、何するんですか~!?」とか言いながら、慣れたもんでちゃっかし二人ともピースのポーズを取ってました。

清田さんは本当にテキパキさんです!仕事中は常に次の事を考えて行動してくれます。
水出先生は・・言わずもがな!と言う感じですね(笑)。

左から看護師の清田さんと副院長の水出先生。

さいとうちゃん今では一番ベテラン株のさいとうちゃん。

この日は前日風邪で熱があって早退したにも拘らず、出勤してくれました。

入った当初は、ベテラン看護師達に囲まれて、甘えん坊の末娘みたいな感じでしたが、今では一番上になってとても頼り甲斐のある看護師さんに成長しました。
実にスバラシイです!!

2019年 3月 29日 掲載

鍼灸を初めて14年~15年になります。
始めた当初は普通の外科や内科治療もやっていたので、鍼灸治療だけをするようになってからは、8年めです。

好きなことだけをするってことは、本当に楽しいですね~・・!
元気になっていく動物さん達を見ると、嬉しくて疲れも吹っ飛びます。
そして治療で動物さんにお灸をしている間の飼い主さまとの会話もとっても楽しいんです。

この14~15年の間に、多くの飼い主さまにご自宅での動物さんへのお灸(写真)をお勧めして来ました。
椎間板ヘルニアのみならず、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全などの骨の病気や、腎臓疾患、心臓疾患、肝疾患、呼吸器疾患、その他ホルモン性の病気等々・・・とにかく治療日と治療日の間はご自宅での施灸をお願いしてきたんですね。

そうするとですね~・・・

☆鍼灸の治療効果が上がります。・・私は治療の初めから終わりまで、動物さんの脉(脈;みゃく)を診ながら治療するのですが、お灸をしてもらっている子は、先ず最初の針一本で脉が変化することが多いです。

☆なので鍼灸の治療と治療の間隔を空けるのにも役立ちます。

☆腎疾患など血液検査結果が良くなった子が結構います。

☆足腰がしっかりしてきて、歩き方が他の同年代の子よりも若々しくなります。(下半身をしっかりさせるのは主に「腎兪」や「大腸兪」のツボです。)

☆毛艶が良くなります。

☆目力がついてとっても元気になります。・・中医学的な言い方をすると『気が上がる』と言います。

中医学はいくつかの考えを基本としていますが、先ずは「地球に存在する全てのものは最小単位の『気』で出来ている。」と言う考えから始まります。
私達の治療は、病気によって落ちている『気』を上げたり、『気』のバランスを取ることによって、患者動物の治癒の力を高めます。

飼い主さまから「お灸するってことは、ツボにカイロ貼ってればで良いってことだよね!?」と聞かれることがあります。 もちろんそれはそれで治療効果はあります。
私自身腎が弱いし、そもそも『身体を温める気』が不足(『陽虚』と言います)してますので、仕事中に冷えを感じたら直ぐに「腎兪」や「関元」というツボにカイロを貼ります。(仕事中は自分にお灸できないので・・。)

でもそれだけではやはり片手落ちなんですね・・。ツボを温めて刺激するということはとっても良い事です。
ですが、『もぐさのお灸』とカイロとの違いは、もぐさの『チネオール』という成分の効果にあるんですね~。
『もぐさのお灸』はツボを温めたり身体の循環を良くするだけでなく、「もぐさの効果」で『気』も上げるんです。そしてリラックス効果や痛みを抑える効果、免疫力を上げる効果(「足三里」と「合谷」を左右対角線で施灸すると効果あり)もあります。
そして脳内の血流を二倍にもするんですね! なので認知症にも良いと思います。

上の効果があるので、施灸していくと、動物さんたちはどんどん毛ヅヤが良くなったり目力が付いたり、『気』が上がって元気になるんです!!
飼い主さまが施灸される動物さんたちを見て「これこそ正にアンチエイジングだ~!!」と思うので、最近私も真面目に自分に施灸するように努めています。
動物さんや飼い主様に元気になってもらう為には、先ずは私自身が元気でないとダメですからね~!!

週一で全く効果がないわけではありませんが、あまりピンと来ないと思います。
どうせやるのなら、一週間に三回以上やって頂くと、「お~・・・いいよね~!!」って感じになるかな~って思います。
これは西の巨匠・国分龍彦先生も同じことをおっしゃってました。

皆さま今日も一日ご苦労様でした。
さぁ、私も書き残したカルテを片付けて・・・入浴の後晩酌しながら、施灸でもしますかね~(*^▽^*)♪(入浴したりお酒を飲んだりするだけで、実は脉が変わっちゃうんですけどね・・。)

◇◇◇

もぐさ前回も書きましたが、下の白い方の棒は、もぐさが棒状に詰まっている棒灸。
黒い方は炭にもぐさが練りこんである棒灸。

身体のツボ上に赤い布を置き、この茶色い棒灸ストッパーに棒灸を差し込んで火をつけてから乗せます。
温度は棒灸の位置をずらして調節します。

飼い主さまは大事な動物さんの施灸が終わった後、痛むご自身の肩などに施灸する方が結構いらっしゃいます。

上は私が治療で使っているもぐさです。

右二つのもぐさを一つ一つちねって(形を作って)ツボの上にお灸を乗せます。

気持ち良いのか途中で寝ちゃう子もいます(笑)。

◇◇◇

ジオンちゃん股関節形成不全で通院中のジオンちゃん。(ポルトガル語では、ザイオンと言うそうです。)

治療は動物さんの内股動脈(ないこどうみゃく;後ろ足の太ももの付け根)に三本の指を当てて脉(みゃく・脈)を診ながら治療していきます。

ジオンちゃんの初診時、股関節の痛みがひどかったのに、脉を取るために何気に後ろ足の付け根を触ってしまい、ジオンちゃんを怒らせてしまいました・・。
今では痛みも緩和され、こんなにフレンドリーになってくれたジオンちゃん。

左の飼い主さまは、とっても明るい方で診察中は笑い声が絶えません。
今日はお友達も来てくれたので、ジオンちゃんは「イイ恰好しぃ」なのか、ほとんど動くこともなくおりこうちゃんで治療させてくれました(*^▽^*)!

◇◇◇

モコちゃん足の麻痺とてんかん様発作で通院してくれているモコちゃん。

最初は毎晩繰り返すてんかん様発作が酷くて、子供用のプールに水を張ってそこで身体を冷やして発作を抑えてらっしゃったとのこと。
鍼灸治療と漢方薬でその発作も治まり、モコちゃんのお顔の表情もかなり出てきました。

漢方薬は、肥満予防の為、縦半分に切った薄切り食パンをパンに平行に二枚に切ってうすうす状態にして、オリーブオイルを塗り、その上に漢方薬を振りかけて挟むと、喜んで食べてくれるそうです。
Aさんのアイディアとご夫妻のモコちゃん愛に頭が下がります!!

2019年 3月 15日 掲載