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東洋医学よもやま話

「椎間板ヘルニアなどで後ろ足がうまく動かせない」という子の飼い主様から、鍼灸治療のご依頼を受けることがよくあります。
初診でお電話を頂いた時、飼い主さんのご都合と私の予約状況とが合わなくて、初めての治療が3週間ほど先になることがあります。

そういう時はいつも「症状が出てからなるべく早く治療した方が効果が高いので、治療日までの間、是非お家でお灸をしてあげて下さい。それだけでも全然違ってくることがありますから。」とお伝えして、ご自宅でできる「お灸セット」を取りに来て頂くんですね。

「後ろ足がうまく動かせない」と言っても、歩けてはいるけどふらふらする程度の子からおしっこもうんこもうまく出来なくて、完全に後ろ足が麻痺して動けない子まで、症状は様々です。
本当にざっくりですが、その原因を分けると、以下のようになります。

  1. 「椎間板ヘルニア」の場合。(ただ、そのグレード(重症度)がどれくらいかで、症状や治癒率、治癒までの時間も変わってきます。) 
  2. 「椎間板ヘルニア」以外で背骨に問題がある場合
  3. 股関節脱臼や膝蓋骨脱臼などの場合
  4. 脳に問題がある場合
  5. 上記以外

「今直ぐお家でお灸したら、絶対に回復します!」とは言い切れません。
その子が抱えている原因が深刻であり、鍼灸に何十回通って頂いても、または思い切って外科手術に踏み切られても、歩けない子も実際にいます。
ですが、初診で診せて頂くまでの間にご自宅でお灸をして頂いくだけで「先生、あんなにふらふらしてたのに、結構歩けるようになったわ~・・・。」と喜んでおみえになったケースが結構ありますので、試して頂く価値はあると思います。

⦿ 基本的には、上(頭の直ぐ下、頭と首の間)から下(尾の付け根)まで背骨に沿って、まるく円を描きながら棒灸をあてていきます。それを2~3通り繰り返した後、「腎兪」と「大腸兪」というツボを各々5分から7分くらいお灸します。 原因と症状によって来院後、他のツボもお灸して頂いたりします。

⦿「腎兪」と「大腸兪」のツボは、椎間板ヘルニアなどに効果がある他、下半身の血流を良くして、高齢の子の後ろ足の歩行をしっかりさせます。

⦿ 図の「五行色体表」の通り、縦の列はみんな関連性があるので、「腎兪」は、「水」のグループになります。「水」のグループを下に辿っていくと、「五臓」は「腎」であり「五主」は「骨」ですよね。
つまり、骨に問題のある子は、「腎兪」にお灸することで、改善を期待できるのですね。

= 五行色体表 =

五行色体表

今日は、「下半身に問題がある子」を例にあげてご説明させて頂きました。
お灸は、その病気に有効なツボを刺激することにより、病気の子を治癒に導きます。
そして身体の血のめぐりを良くすることにより、内臓の働きを活発にしたり、身体の痛みを軽減させます。そして「気」を上げて元気にしますので、内臓の病気の子にもかなり有効
だと思います。

まずはお試しあれ!!です(*^^*)V

◇◇◇

こりきちゃんこりきちゃんは、毎日お母さんにお灸をしてもらっています。

お灸をするようになって、歩き方も力強くなって、お散歩中いろんな方から「若いねぇ!!」と言われるそうです。

「だんだんこりきも歳を取ってきてるけど、やっぱりお灸の力はスゴイですね〜!!」と、いつもUさんはおっしゃいます。

◇◇◇

秋ちゃん秋ちゃんは、前足がたまに内側に曲がる(ナックリング)ので、他院でMRIを撮った時、「頚椎に問題がある」と言われました。

手術後、うまく歩けるかどうかは手術をしてみないと分からない。」と言われたので、鍼灸治療とお家でのお灸を頑張ってみえます。

お灸は調子が良い時は途中で逃げたがるそうですが、少し息苦しかったり、痛いところがある時は、お灸中はじーっとしてくれるそうです。

2021年 9月 10日 掲載

前回の「よもやま話」で、「家でお灸をしている子は差が出る!」とお伝えしました。
それで今回は「自宅で簡単にできるお灸法」をお伝えすることにしました。
ですが、大急ぎで作ったので動画中の説明に間違いがあることに気付きました。
ここで動画を作り直していると配信が遅れてしまうので、動画の後で説明文と共に訂正することにしました。(ちょっと?!荒くてごめんなさい・・。)

病気に効くツボ(特攻穴;とっこうけつ)は、いろいろありますが、まずはこれを参考にして頂いて、多くの動物さん達により元気で健康になって頂けたらと思います。

◇◇◇

ツボ

ツボ

  1. 定喘;ていぜん・・首の付け根のツボ。咳に効果あり。
  2. 肺兪;はいゆ・・・第3胸椎と第4胸椎の間にあるツボ。咳に効果あり。
  3. 腎兪;じんゆ・・・横腹の最後の肋骨を背中で結んだ所。第2腰椎と第3腰椎の間。
    腎は他の臓器に気(エネルギー)を送るので、腎のみならず他の臓器も強めることになる。そして腎は骨と繋がっているので、骨の病気にも効果がある。
    ここにお灸すると、下半身もしっかりしてくる。椎間板ヘルニアには絶対外せないツボ。
  4. 大腸兪;だいちょうゆ・・腎兪と骨盤の間。腎兪と共に下半身をしっかりさせる。下痢の時に下腹部のツボ(関元;かんげん)と併せて使うと、より効果あり。
  5. 皮膚の直下に内臓と繋がっているツボが背骨に沿って並んでいる(写真の通り)。それらのツボを首の付け根から尾に沿って、お灸することによって、内臓を刺激することになる。

以上です。

◇◇◇

※ ここで、訂正です。

  1. 前回、咳き止めのツボを「至陽;しよう」と表現したと思います。
    これは「肺兪」の直ぐ隣りのツボなので、同じようなものだと思って頂いて構いません。
  2. 動画中の解説で、「皮膚の表面に内臓と繋がっているツボがある」とお伝えしましたが、正しくは、皮膚の直ぐ真下、ということになります。

以上です。大変失礼致しました。

それでは、ツボの写真を参考にして、是非大事な動物さんにお灸してみて下さいね(*^_^*)!

2021年 6月 25日 掲載

前回お伝えした「老化」についてですが、お灸は、「老化した状態を元に戻すことができなくても、老化の進行をゆっくりにする効果がある」と思います。

中医学では、「五行論」の他に、「陰陽論」と言って、あらゆる物を「陰」と「陽」に分けて、診断と治療をします。
ざっくり言うと、「陽」は温かい。それに対して「陰」は冷たい。「陽」は明るい。「陰」は暗い。「陽」は興奮、「陰」は抑制・・など、あらゆるものを真逆の二つに分けるんですね。

陰陽プリント

身体に熱を持っていたら陽が強いので、「熱証(ねっしょう)」と言い、逆に冷えていたら「寒証(かんしょう)」と言います。
動物や人は、元々の体質や加齢に加え、季節など外からの要因やストレス等で、「陰」と「陽」のバランスが崩れて病気になります。
中医学は、針とお灸、漢方薬で、この崩れた「陰」と「陽」のバランスを整えることによって、患者さんを治癒に導くんですね。

お灸は、身体を温めて血の巡りを良くします。
「陰・陽」のうちの「陽」を上げるんですね。
高齢になって、腎が弱ってくると、「腎陽虚;じんようきょ」と言って、「陽」である身体を温める力が弱くなり、多くの子は寒がりさんになります。なので、お灸をすると身体が温まり、血の巡りが良くなり、気も上がります。
特に「腎兪」というツボにお灸すると、今言った事だけでなく、下半身もしっかりしてきて、歩き方も変わります。

さて、お家でやって頂くお灸は、写真のように、茶色いストッパーにもぐさを棒状にした「棒灸」を差し込んで火をつけ、首後ろのつけ根から尾までを背骨に沿って、ぐるぐる小さな円を描きながらお灸をしていきます。それを1~2回繰り返します。
その後、「腎兪」(第二・第三肋骨の間周辺)を5分ほどお灸します。
老化のみならず椎間板ヘルニア等で下半身の弱さが気になるのであれば、「腎兪」の後「大腸兪」(腎兪と骨盤の真ん中)にも施灸します。

棒灸のセット

ご自宅でやって頂く棒灸のセットです。

右の茶色の棒灸ストッパ―に真ん中の棒状のお灸をさしてお灸します。
左の赤い布は、火傷防止と共に赤色には「遠赤外線効果」があるので、この布を身体とお灸の間に挟んで使って頂いてます。

以前よもやま話でお伝えしたように、背骨には背骨の直ぐきわに、一対の内臓と繋がっているツボが縦に並んでいます。(面白いですよね~・・。皮膚の直ぐ下に内臓と繋がっているツボがあるなんて・・。)
そして、背骨から更にワンちゃんの指三本分両側一対に、内臓と繋がっているツボが縦に並んであるんですね!
ですので、首のつけ根から下に下がって背中の表面をお灸することによって、内臓に良い刺激が行くんです。お灸する時間がない時はここをさすってあげるだけでも、内臓のマッサージになるのでお勧めです!(推拿;すいなと言います)

また心臓や肺に病気を持っている子は、首のつけ根の定喘(ていぜん)と言うツボや、そこから少し下がった所にある至陽(しよう)と言うツボを追加されると良いと思います。
この二つのツボは、咳止めにとても有効です。ただ、「陽」が強くて、動物達が「ハァ、ハァ」言い出したら、それは熱い証拠ですので、無理せず短めにして下さいね。

2021年 6月 12日 掲載

テレビである医師が「老化は病気です。」と言っていた。
私達の臓器の細胞は、「一定期間したら死滅して生まれ変わる。」を繰り返している。
だが、老化によって生まれる細胞の数が減ってきたり、細胞が変化したまま戻らなくなったりすると、結局その臓器が病気になるので、やはり「老化は病気」あるいは、「老化の向こう側に、病気がある」と言うことになる。
ただ、これだけ現代科学が発展してきているので、「老化は治すことができる病気である。」と言っている学者もいるようだ。(デビット・A・シンクレア著 ライフスパン;老いなき世界)

この本の要約を読んだところ、とても興味深い内容だったので、今後の私自身の老化治療の参考にはなったが、ざっくり言うと、「食事制限・運動・サウナ」を推奨しているので、足腰の弱い老犬や老病猫には適さないと思う。
なので、私が知っている最も簡単な老化に対処できる方法は、ズバリ!!お灸ではないかと思う。

ところで・・老犬のみならず老人も老化によって、黒いシミができる。
年老いたプードルを飼ってみえる方は、短くカットすると、身体の所々に黒いシミができているのを見た事があると思う。

老化すると、どの臓器も弱るのだが、中医学的にみると「特に腎が弱くなる」と捉えて、老化は、「腎虚;じんきょ」になると表現する。
「腎虚」になると、「腎」の弱りのみならずいろんなところにその影響が出る。 
中医学では、「五行論」と言って、いろいろなものを木・火・土・金・水の5つに分けて、それを診断や治療の参考にするのだが、写真の「五行色体表」の「水」の所を下にたどって行くと、黒・腎・膀胱・骨・耳・恐・・とある。

五行色体表

「どおりで、歳を取ると腎虚になって、黒いシミができるわけだ~。」「どおりで、骨も弱くなるから、足腰がしっかりしなくなるわけだ~。」「なるほど、腎と耳が繋がってるから、耳も遠くなるんだね!(因みに難聴は腎が原因のものと肝が原因のものとがある。)」って事が言えるので、実に中医学の考え方は面白いと思う。
私の臨床経験では、若いわんこちゃんや猫ちゃんで腎臓の弱い子は、音にすごく敏感で恐がりさんが多いと思う。

さて、っと・・・ここまで結構たくさんの量を書いてきて、飽きた方も多いと思うので、続きは次回お伝えしますね。
老化・・・ホント、避けて通りたいですよね~・・(-_-;)。

◇◇◇

ポートスちゃん以前肝臓の病気で、手術をして元気になったポートスちゃんでしたが、原因不明の腹痛とお腹の異常な蠕動運動(グルグル音)で来院されました。

病院での鍼灸治療と共に、お家でのお灸、手作りご飯、マコモクッキー(なんとこれもお母さんの手作り!!)で、改善して元気になりました。

お母さんはポートスちゃんの治療者ですね~(^_-)-☆

2021年 5月 23日 掲載

中医学的に言うと、春は「風邪;ふうじゃ」の季節になります。

  1. 風は、上に上がる性質があります。身体で言うと上半身である頭や眼、耳に症状が出易いです。
    ですので、頭痛や涙目、鼻炎、犬は外耳道炎にもなったりします。
    そして、頭と言えば、てんかん発作や四肢の麻痺もこの時期に多いですんね~。
    ただ、てんかん発作に関しては、もともと「風邪」の季節に起きやすい為、「風病;ふうびょう」と言われてきましたが、雨の低気圧時にも起き易く、また夏のエアコンの真下にいる子も発症しやすくなるので、春限定の症状とは言い難いのが現状です。
    (この季節の臓は、肝なので、てんかん発作は肝の熱で誘発されます。この事に関しては、長くなるので今回は省略しますね。)
  2. 風邪は、風の性質らしく、症状が身体中を回ります。
    皮膚病で痒いところがころころ変わったり、関節痛でも痛みの場所が変わったりします。(わたくし事ですが、この度膝を傷めまして、痛みが膝の前だったり横だったり裏だったりと・・身をもって、風邪の性質を体験しております。トホホ・・。)

◇◇◇

☆さて、それではこの風邪の時期をどう乗り越えて行けば良いかと申しますと・・・
ズバリ!! お灸がお勧めです。
お灸というと、オーバーに捉えがちかも知れませんが、お家で簡単にお灸出来ますよ!

◇◇◇

☆中医学では「五行論」と言って、あらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つに分けて診断や治療に使います。
図―2の通り、「水があるから木は育つ」「木が燃えて火になる」「火が燃えた後は土になる」・・つまり隣同士の関係は、「水」は「木」のお母さんであり、「木」は「水」の子になります。同様に「木」は「火」のお母さんでなり、「火」が「木」の子になるんですね。
その母子の関係を使って、例えば「てんかん発作」で、肝の熱が上に上がり脳を刺激して発症したと考えるのであれば、肝の親である腎を強めるために、「腎兪」というツボを棒灸でお灸する。
また、てんかん発作時に上に上がった熱を下に降ろす為にも、やはり「腎兪」のお灸はお勧めです。そして、腎は骨髄にも多く関連していると言われているので、骨の病気のみならず、脳髄など脳の病気にも腎のツボをお灸するのは、効果があると言えます。

図ー1

図ー1

図ー2

図ー2

図ー3

図ー3

☆「腎兪」は、動物を背中から見て、最後の肋骨のラインの左右を繋げて背骨で合わせると、第二腰椎と第三腰椎の間になります。その辺りに「腎兪」というツボがあります。
ここに棒灸を5分ほどあてます。

棒灸ストッパー(上)と、棒灸3種類棒灸ストッパー(上)と、棒灸3種類

棒灸は、左からモグサが練り込んである煙の出ないスミ灸、モグサ100%のもの、モグサに鎮痛作用などのある漢方薬をブレンドしたものになります。

赤い布は、火傷防止と同時に、赤は遠赤外線作用もあるので、ツボとお灸の間に置きます。

☆そして、そのお灸の前か後に、首の下から尾の付け根まで、背骨にそって棒灸をくるくる回しながら、ゆっくり当てていきます。
背骨の両側には、内臓と繋がっている大事なツボが並んでるんですね!
そこをお灸するのは、内臓を温めることであり、健康維持や病気の改善にとても役に立つと思います。
皆様、是非是非お試し下さいね(^_-)-☆

2021年 5月 04日 掲載

これって意外と知らない方が多いのですが、「身体から出る物の色や臭いを見て、その子が冷え症なのか、熱がりさんなのかが分かる。」んです。

身体から出るものとは、おしっこ、便、鼻水、吐物(吐いた物)などです。

  1. 色の濃いのは熱を持ってる証拠(熱証;ねっしょう)であり、薄いのは、冷えてる証拠(寒証;かんしょう)です。

    ◙ 例えば、私達が風邪をひいて熱が出た時、色の濃いおしっこが少量出ますよね! また、長時間寒い所に身を置いた時、色の薄いおしっこがたくさん出ませんか?! それは人も動物も同じです。

    ◙ 便も熱証の場合、黒っぽくて固い便をしますし(燥熱)、寒証では薄茶色の便をします。

    ◙ 鼻水も同じです。濃い鼻水は、熱証であり、透明な鼻水は寒証(冷えている証拠)だと言えます。ただ、色のついた鼻水は感染症の場合もあるので、治療を考える時、熱証と寒証に分けつつ抗生物質など感染の治療薬を必要とする場合もあります。

    ◙ また下痢で、色の薄い下痢便の場合、抗生物質や下痢止めを飲ませてもなかなか治らないことがあります。そういう時は冷えから来る下痢だと判断して、身体を温める漢方薬やお灸で改善するんですね。

  2. 臭いのきついのは、熱証。臭いの薄いのは、寒証。

    ◙ 吐物で色も薄くさらっとしたものは、冷えが多いですが、黄色いものの多くは、肝臓や胆嚢が熱を持っていて、その熱がお隣りの胃や脾臓に行く場合(肝の横逆;おうぎゃく)と、胃自体の働きが悪くなる場合があります。どちらも熱証で認められます。

    ◙ またよく見られるのが、色の濃い臭いのきついおしっこ。これは熱証の証拠ですが、感染による膀胱炎や膀胱結石の為に熱証になっている場合もあるので、いつまでもその状態が続くようであれば、尿検査と共に感受性検査も受けた方が良い場合があります。

  3. どろっとしていて且つ色の濃いのは、熱を持っている証拠。さらっとしていて色の薄いのは、冷えてる証拠。 

    ◙ 重複しますが、鼻水が一番分り易い例ですよね。

    ◙ 吐物も顕著にそうなります。

以上、ざっくり書かせて頂きました。

大事な動物達の健康状態を観る参考にして頂けたらと思います。
ただ、真寒仮熱(しんかんかねつ;本当は寒証なのに、一見熱証に見えること)や、真熱仮寒(本当は熱証なのに、一見寒証に見えること)の場合もありますので、迷った時は獣医さんにご相談して下さいね!

2021年 1月 18日 掲載

私達がやっている中医学の診断は、舌の状態、眼力、体形、毛ヅヤ、背中の表面の痛み・・・等々、身体のいろいろなところを観て、その子の状態を知ります。
それと共に大事な診断法として、『脉診(みやくしん)』があります。

人は手首内側で脉(=脈;みゃく)を取りますが、動物は股の付け根付近の動脈で脉を取ります。 皮膚の直ぐ下にある脉は、臓器や精神と繋がっているので、脉を指で触れてみて、直ぐ触ることができる脉なのか、ぐっと奥にあるのか、速いのか遅いのか、はたまた力強い脉なのか・・などで、その子の状態を把握します。

例えば初診の動物が、抱えている病気の為に、脉を指で押してもなかなか感じることができないくらい、細くて弱い場合、鍼灸治療をしていくうちに、だんだんとしっかりした力強い脉になっていきます。
そこで「はい、今日はおしまいで~す。」となったとします。
ですが、二回めに来院された時、治療前の脉は、ほぼ初回の脉に近い感じ(細くて弱い脉)に戻っていることがあります。
そこで、2回目の鍼灸治療をさせて頂くわけですが、飼い主さんがご自宅でお灸をして下さっている子の脉は、最初に針一本刺したり、一か所ツボを刺激しただけで、みるみるうちに脉が力強くなっていく事が結構あります。
これは本当の話です。

ご自宅でのお灸は、地味で面倒です。
誰もが忙しい中で、その時間を作るのは、結構大変です。
ですが、その地味なお灸こそ、身体の血と気のめぐりを良くして、動物の身体を整えるのに、とっても大事なんですね~・・・。
お灸の回数ですが、週に一回はやらないよりもマシですが、週に2回から3回、可能なら毎日短い時間で良いのでお灸をされると、良いと思います。
もともと暑がりさんや、身体に熱を持つような子(例えば真っ黒でコロコロのうんこをする子など)は、お灸をしない方が良い場合もあるので、気になる時は鍼灸治療をしている獣医師にご相談下さいね。

☆余談;どなたも日々の仕事でお疲れモードです。
病気の動物が、いつまでも元気でいてくれるようにと、当院に来て下さる飼い主さんは動物へのお灸を頑張って下さってます。
そしてその後ご自身にお灸をしたり、ご家族の方にお灸してもらったりで、動物のみならず飼い主さん達も調子がよくなられています。
動物も飼い主さんもみんなが元気でいると、それもまた動物の精神状態を良くするんですよね~!! いや~・・お灸ってやっぱりスゴイですよね〜(^_-)-☆

◇◇◇

ルーシーちゃんお口の腫瘍で通院してくれているルーシーちゃん。

お仕事が終わった後、娘さんがルーシーちゃんにお灸をしてあげて、その後、腰痛持ちのお母さんのお灸をしてあげるそうです。

ルーシーちゃんは、気持ち良いのでいつもおりこうさんにしてくれるそうです。

◇◇◇

ハナちゃん椎間板ヘルニアで、下半身に力が入らずふらついていたハナちゃんでしたが、鍼灸治療で、しっかり歩けるようになりました。

ところが、半年ほどして再発してしまいました。
次の診察まで、少し日数があったので、飼い主さんが久々に背中の「腎兪」というツボにお灸したところ、しっかり歩くようになったと、喜んでみえました。

「せんせー、やっぱお灸ってすごいね~!!」と、Yさん。
「だから、再発予防にやって下さいね!って言ったでしょ~!!」と私。

何はともあれ、ハナちゃんが元気になってくれて、本当に良かったです。
Yさん、これからもお灸お願いしますね(*^^*)

2020年 11月 12日 掲載

今回は前回のお灸の話の続きを書く予定でしたが、梅雨に入ったので梅雨にまつわる話(食べると良い食材)の話をさせて頂いた後、次回お灸の話をしたいと思います。

人では、梅雨に入ると体調を壊す方が結構います。それは主に低気圧や湿気のせいだと言われていますが、女性では女性中75%、男性では男性中25%いると言われています。(・・因みに犬や猫で、男の子と女の子の比率は私は分かりませんが・・。)

それでは梅雨についての話に入りますね。
先ず、梅雨は五行で言うところの、土の行になります。
そのところの「気」は、「湿」です。
中医学では、「湿」によって身体に弊害が出ることを『湿邪』が原因である。と言います。
この時期は、湿気による『湿邪』と共に、暑さも加わって、非常に蒸し暑くなります。
体調は、というと土の列の「胃」に「脾」と書いてある通り、主に胃と脾に負担が掛かります。(消化器の問題以外では、関節痛や人では頭痛など痛みに問題が出ることが結構あります。それは自律神経のバランスが崩れることに因ると言われています。)

五行の図

さて、それでは胃や脾に優しく、以下のような目的の食材を使って身体を整えてあげると、なるべく良い体調で過ごして頂けると思います。

  1. 胃や脾に良いもの・・絶対にお勧めなのが、棗(ナツメ)です!
    • 棗;ナツメ(これは、本当に脾臓に良い!また、胃や脾を補うだけでなく、気も上げる。消化器が弱っている時、疲れている時にお勧め。また精神安定作用もある。不眠にも有効。基本的にナツメ自体は身体を温める作用あり。)
      その他、米、トウモロコシ、長芋、カボチャ
  2. 身体のむくみを取る食材
    • ハト麦(むくみを取る作用と脾にも良い。そしてほてった身体を冷やす。)
      トウモロコシの髭(むくみを取る他、利胆作用といって、胆汁の分泌を促進したり、流れを助ける働きがある。その他血液中の脂質を抑える働きあり。)、トウモロコシ、小豆、黒豆、緑豆、スイカ
  3. 暑さ対策・・身体を冷やす食材
    • ハト麦、キュウリ、セロリ、アスパラ、オクラ、青梗菜(チンゲンサイ)、冬瓜(トウガン)、ナス、海苔、昆布、馬肉など・・
      ※逆にこれらを食べさせ過ぎて身体が冷えすぎないよう注意!!

梅雨時は、『湿邪』のせいで、気が滞ったり、暑さ以外でも逆に冷えたり、めまいやお腹が張ったり、食欲が落ちたりもします。

そして「湿」である水分の性質として、水は下に流れるので、人なら下半身が重だるくなり、頭も身体も重く感じます。そして身体もむくんだりしますよね。そういう場合には上の食材を使って頂くと良いですね~・・。

また先ほどもお伝えした通り、身体の痛みは、自律神経(交感神経と副交感神経)のアンバランスから起こると言われています。

それはどうしたら良いかというと・・人なら大股で早歩きをするとか、熱いお風呂に浸かった後、足先や手先に冷たい水をかけると良いと言われていますが、動物はそんなことなかなか出来ません。

そこでお勧めなのが、お灸です! お灸は湿邪など、季節の影響を受けた時の不調を最小限にとどめます。是非、お試しくださいね~!!

◇◇◇

ムンちゃん後ろ足の腫瘍のムンちゃん。

数年前に後ろ足の指に腫瘍ができて、その時に他院で治療をして、その後元気で走り回っていました。ですがひと月前に膝に腫瘍があることが分かって、今通院してくれています。
ムンちゃんは、「café de桜」という喫茶店の看板娘です。

今も結構なおてんば娘です。いつまでも元気なムンちゃんでいてくれるお手伝いをしたいと思っています。

2020年 6月 22日 掲載

私達は常に自然の影響を受けています。そして今は「風邪;ふうじゃ」の時期です。(風邪の性質は前回の『よもやま話』でお伝えした通りです。)
風邪(ふうじゃ)が寒さや湿気と同時に起こると、関節炎や麻痺を起こします。また湿気や乾燥と同時に起こると、皮膚炎を起こしたりします。(風邪が湿気と同時に起これば、ジメジメした皮膚炎に、乾燥と同時に起きたら、カサカサした皮膚炎になります。)

また最近のように、雨が降ったり止んだりすると、私達は湿気の影響を受けて食欲が落ちたり、お腹を壊しやすくなります。(図の五行色体表の土(ど)の列を下へたどって行くと、土は湿気の性質を持っていて、土の臓と腑は「脾」と「胃」なので、そういう症状を起こすのですね。)

五行色体表;ごぎょうしきたいひょう

さて、そんな自然の影響をうまく乗り切るには・・やっぱりお灸がお勧めなんですね!!
なぜ、私達は病気になるのかというと、風邪(ふうじゃ)のように自然の邪気の影響を受けたり、精神的なストレスを抱えたり、食べ過ぎたり、身体を酷使したり・・それらが単独または重なることによって病気の誘因になるんですね。
それによって、身体のバランスを壊し、血の巡りも気の巡りも悪くなります。(いわゆる血行障害です)
そして気がついた時には、あらゆる病気になってるんですね・・・。

お灸は、身体を温めることによって、血の巡りと気の巡りを良くし(血行障害を改善)、また身体の表面にあるツボをお灸で刺激することによって、そのツボと繋がっている内臓を活性化して治癒に導きます。更に先ほど言った血行障害を改善することによって、痛みを緩和します。
(中医学で痛みが起こることについて、次のように言っています。・・『痛則不通;つうそくふつう』・『通則不痛』・・・つまり痛みは血流が通ってないからこそ起こる。そして血流がちゃんと通っていれば、痛みはない。)

今回は、先ほどお伝えしたように自然の影響を受けて具合が悪くなったり、いろんな内臓疾患の疑いがある子の予防や治療になる方法をお伝えしますね。
ある臓器の疾患が疑われるのだけど、どこにお灸を充てればいいか分からない時は、

  1. 背骨に沿って、写真にある棒灸を身体から3~4cm離して、ぐるぐる小さな円を描きながら、首からしっぽの根本までお灸をあてていきます。ただ、動物が急に動き出すことにより、火傷をさせてしまう恐れがあるので、写真のように木製の棒灸ストッパーをお使いになることをお勧めします。
  2. 高齢だったり、椎間板ヘルニアなどで下半身に力が入らない子には、第二腰椎と第三腰椎の間の「腎兪」というツボに5分ほど赤い布をあててその上から約5分ほど棒灸でお灸をします。赤は熱をよく通し、遠赤外線効果もあります。そして動物の火傷の予防にもなります。
  3. ①と②の合法・・①をしている途中で、「腎兪」の場所で5分ほどとめてしっかりお灸してから、しっぽのところまでぐるぐる小さな円を描いてお灸します。

※人も動物も背骨の両側に内臓と繋がっているツボが沢山並んでいるんですね。
それらのツボにお灸することによって、内臓を活性化します。
ですので、自然の影響を受けて病気になってしまう子や、いろいろな内臓疾患の子の治療にお勧めなんですね!

***

ツボ図の様に、背骨に沿って、一対のツボが沢山あります(ツボの名称は片側だけに書いてありますが)。

それぞれ内臓と繋がっているので、そのツボを刺激することは内臓疾患の予防や治療になります。

棒灸と棒灸ストッパ―と赤い布棒灸と棒灸ストッパ―と赤い布。

棒灸は、下からもぐさが練り込んである炭灸(すみきゅう)、もぐさ100%のもの、もぐさに鎮静効果のある漢方薬がブレンドしてあるもの。

それぞれ特徴があります。

お灸と身体の間になぜ赤い布をあてるかと言うと、赤は熱が通り易い性質であることと遠赤外線効果を狙うのと、火傷予防になるからです。

***

さて、次回はお灸をしてはならない症例やよく見られる病気で具体的にお勧めのお灸法を数か所お伝えしますね。GWが終わってしまったので、アップするのに時間が掛かるかも知れませんが、出来る範囲で顔晴りたいと思います。
調子を崩した子が良い状態になるように、毎日でなければ、週に2~3回はお灸してあげて下さいね~!!
ではでは~(^_-)-☆

2020年 5月 10日 掲載

1)風邪(ふうじゃ)の性質
3月から5月までは、寒暖の差のみならず、春の風や低気圧の影響などを受けて、慢性疾患の子や年寄りの子が体調を崩しやすい傾向にあります。

中医学では、自然界や身体などあらゆるものを、「木・火・土・金・水」の5つに分けて診断や治療の指標にする方法があります。
それを『五行論(ごぎょうろん)』と言うんですね。

下の図のように『五行論』を表にしたものを、『五行色体表;ごぎょうしきたいひょう』と言うのですが、その表の縦の列は全て関係性があります。

ちょっと表を見て頂けますか?!

五行色体表;ごぎょうしきたいひょう

今の季節は春。春はこの表の一番上の「木」の列に区分されます。
左端の「気」の所をたどっていくと、「風」と書いてありますよね。ですから、春の「気」は「風」と言うことになります。確かに春は暖かくなりつつ春の風を感じますよね!
その春の「風」が普通であれば問題ないのですが、思った以上に「風」が強かったり、長びいたりすると、私達の身体に悪影響を及ぼします。それはただの「風」ではなくて、「邪」をつけて「風邪;ふうじゃ」と呼びます。

また、春なのにいつまで経っても寒かったり、逆に暑すぎたりしても、身体に悪影響を及ぼします。

今お伝えした、「風邪;ふうじゃ」は、いわゆる風なので、軽くて上に行きやすい性質を持ちます。ですから、発熱、鼻水、鼻づまり、涙目、眼の充血、耳の皮膚炎、頭痛、癲癇(てんかん)など・・、主に上半身に症状が出やすいんですね・・。
また癲癇(てんかん)発作の殆どは脳に原因があることが多いのですが、それを助長するのは、肝の熱です。肝に熱を持つとその熱が上に上がって脳を刺激して発作が起きやすくなります。(因みに五行色体表を見て頂くと、「木」の臓は「肝」なので、春に肝はダメージを受けやすく、春の血液検査で肝臓の値が高いのはそのせいなんですね!)

また、風は軽い為、一つの箇所にとどまらず、身体中のあちこちに症状が移り変わりつつ、症状が次々と変化していきます。
ですので例えば両脇に皮膚病が出たと思えば、数日すると腹部に出たり、手の関節が痛いと思ったら、今度は足の関節が痛くなったりすることがあります。

ね!!
そうやって考えると、なかなか中医学の考え方って面白いというか理にかなっていると思いませんか(*^^*)!?

今日も長くなりましたので、この辺でおしまいにしますね。
皆さん、免疫力を上げるような食事をして、ゆったり睡眠を取って、コロナウイルスに負けない丈夫な身体でいましょうね~!!
ではでは~。

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N・ショコラちゃん2年前に椎間板ヘルニアで下半身付随になったN・ショコラちゃん。

かなり重症だったので、当初は週に2回の通院と、ご自宅での点滴とお灸をして頂いて、歩けるようになりました。
その後もNさんが毎日頑張ってお灸されています(Nさんエライ!!)

今は毎月1回、再発予防のために鍼灸治療に来て下さってます。

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Y,はなちゃん去年椎間板ヘルニアで下半身がふらふら状態になったY,はなちゃん。

鍼灸治療で元の様に歩けるようになりました。

再発予防のためにご自宅でのお灸をして頂いてましたが、ご多忙になり・・結局再発してしまいました。

鍼灸治療までの間、4日ほど空いてしまったので、Yさんは、一日2回お灸されたとのことでした。
治療日には、ほぼ再発前の状態に戻ってました。

いやぁ、お灸、凄くないですか〜(*^▽^*)!!

2020年 4月 28日 掲載