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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

ムサシの死・・・飼い主としての自分を見つめて~その①

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新年早々ですが、実は当院の供血犬(貧血の患者犬に血を提供する犬)であり、我が家の最愛の家族だったムサシが、12月11日に亡くなったことをご報告させて頂きます。
このコラムでも何度かムサシの事は書かせて頂きましたので、いろいろな方から励ましのお言葉を頂きました。
本当にありがとうございました。

「血管肉腫」という難治性の癌に罹っている事を知ったのが一昨年の9月であり、手術と抗癌剤治療、鍼灸、テレセラピー等で、何とか命を繋いできましたが、とうとうお別れの日が来てしまいました。

前回このコラムをムサシの隣りで書いた後、私が仕事に出て二時間ほどして、ムサシは誰もいない所で独りで息を引き取ってしまいました。
長い間この仕事を続けて来て、患者さん(動物)達の最期のお話を飼い主さまから聞かせて頂く機会が多かったので、実は私は 「一番大事な人が帰って来るのをこの子達は待っててくれる事が多いから、うちのムサシだって絶対に次男が帰って来るのを待っててくれるはずだわ・・・!!」 という変な自信がありました。
ムサシは息も絶え絶えに頑張ってくれていたにも拘らず、その事を信じて疑わない私がいたのですね・・・。
ですので、その日も出掛ける時はいつも通りに、「ムサシに「行ってくるよ!もう少しで次男が帰って来るからね!」とだけ告げて仕事に出ました。

たまたま午前中の私の担当患者さんは1頭だけだったので、診察が終わり次第直ぐ帰ることになっていたのですが、この日に限って、名古屋高速が渋滞になり・・・春日井から来てくれる先生の出勤が遅くなることが判明しました。
先程言っていた様に 「次男が帰って来るまでムサシは絶対に死なない!」と言う変な自信はありましたが、正直状態の悪さは把握していましたので、思わず 「ムサシ、本当にヤバいんだわ・・・。」とつい口に出してしまいました。ですが、私が抜けると後の方々をお待たせする状況にあるのは解ってましたので、心配そうに私の顔を覗き見る看護士達に「大丈夫。残るわ・・・。仕事が一番大事なんだから・・・。」と、その先生に代わって2頭の診察をこなしてから急いで家に帰りました。

その途中・・・「あと少しで家に到着!」と言うところで夫から電話があり、既にムサシが息を引き取っていたことを知りました。
家に着いて直ぐムサシの亡骸にしがみついて泣きました。
「こんなことだったら、朝出てくる前にもっとムサシの顔に私の頬をこすりつけて、いっぱいいっぱい抱きしめてあげれば良かった・・・・。。。。」
そうこうしているうちに次男が帰って来て、二人で涙が枯れるほど泣きました。

ですが、午後の診察があったのでその後病院に戻り、みんなにムサシの報告とお礼を言って仕事に就きました。
そして私が仕事をしている間に、ムサシは荼毘にふす為夫と次男とで名古屋のお寺に運ばれたのでした。

「なぜ・・・いつも私はこうなんだろう~・・・・。大事な人(動物)の死に目にいっつも逢えない!! チロの時もクロの時もアトムの時も、おばあちゃんの時も弟の時も・・・ずっとずっとそうだった・・・。」と思いながら、ムサシに本当に申し訳ない気がして、こんな自分がとても情けなく思えてきました。
そしてその気持ちはずっと続きました・・・。

ムサシの身体が大きかったせいか、お骨にするのに想像以上に時間が掛かり、お寺から次男達が帰宅するより私の仕事の方が早く終わってしまいました。
私は、ムサシの居ない玄関に1人で帰るのがすごく辛かったので、次男に電話して、「喫茶店で時間つぶすから、家に着くちょっと前に電話して!」と言いました。

その後次男から「そろそろ着くから。」との電話が入り、タッチの差で私の車の方が早く家に着いた途端・・・「あっ!!」と驚くことが起こりました。
私の車が玄関の間隣り(まどなり)の駐車場に着いた途端、エンジンを切ったわけでもなくシフトレバーすら触っていなかったのに突然車のライトが消えたのです。(翌日には点きましたが。)

生前ムサシは、私が仕事から帰ると私の気配を感じて、車を停めるのが早いか彼の鳴き声が早いか?!と言う感じでいつも玄関でクンクン甘えた声で迎えてくれるのでした。
そう・・・その時、あたかもムサシが 「ここに居るよ!いつも一緒だよ~!!」と、言わんばかりにライトが消えた様に感じたのですね・・・。

他人様は笑うかも知れませんが、私は仕事柄、以前からそういう「亡くなった動物のはっきりした意志」のようなものを体験したことがありましたし、祖母が亡くなった時も同じような事が起きましたので、全然不自然さもそして不気味さも感じませんでした。

ムサシは死んでからも、飼い主である私の心を読み取っていたのでしょうか・・・。
私は最期の瞬間にムサシの側に居てあげられなかった自分を責めていましたが(それは実際何日間も続きはしましたが)、そのムサシの合図があったお陰で、少しだけ心が軽くなったように感じました。

ある日のムサシ

ある日のムサシ
ムサシが死んでから、次男が私の携帯に送ってきた写真。
「お気に入りの一枚」だとか…。「やっぱムサシは可愛いね~!」と言った私も、やはり「親バカ」ならぬ「飼い主バカ?」でした(笑)。

外でのお灸タイム

外でのお灸タイム
「結構退屈なんだけど…母さん一生懸命やってるし、ガムの為にも頑張るしかないッス!」

お骨とお花

お骨とお花
ある飼い主さまが、ムサシの訃報をお聞きになってお花を病院に持ってきて下さいました。
ありがとうございましたm(_ _)m。お骨はここですが、ムサシはいつもいろんな所に居るような気がするのですね…。

2014年 1月 03日掲載
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