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狂犬病予防が大切なのはなぜ?

昨年の10月、大阪で逃げ出したワンちゃんが人を噛んでしまうという事故がありました。

そのワンちゃんの飼い主様は「狂犬病は絶滅した病気だと思っていた」ことから、国から義務付けられている狂犬病予防ワクチンを未接種のまま飼われていたそうで、書類送検にまで発展してしまいました。

 

日本ではワンちゃんを飼う際に『狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)』に基づいて以下のことが定められています。

①   91日令以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日以内に狂犬病ワクチンを接種、市町村への登録をし、鑑札の交付を受ける。

②   鑑札と注射済票は必ず犬につける。※

③   犬が死亡した場合や犬の所有者が変更した場合は30日以内に市町村に届け出る。

④   引っ越しの際には30日以内に引っ越し先の市町村に届け出る。

 

これを怠った場合の罰則は以下の通り。

①   未登録の犬、狂犬病ワクチン未接種の犬、鑑札・済票を装着していない犬は捕獲・抑留の対象となる。

②   上記の犬の所有者は20万以下の罰金の対象となる。

 

※鑑札と注射済票は年一回の狂犬病予防ワクチンの接種後に毎年新しく配付されます。

 

この狂犬病予防法に対する皆様のご理解・ご協力により、1956年以降日本での狂犬病の発生はみられておりません。

では、なぜ国内から撲滅されたウイルスの予防を現在も義務付け続けているのでしょうか。

 

狂犬病はラブドウイルス科リッサウイルス属狂犬病ウイルスによる人畜共通感染症です。

狂犬病ウイルスに感染したワンちゃんは、まず性格の変化と行動の異常が見られるようになり、症状が進むと“狂躁期”に入ります。この段階では光や音の突然刺激に対する過敏な反応を示し、常に興奮状態となり無目的な徘徊や目に入るものを頻繁に咬みつくようになります。この攻撃性は病気の症状によるものですので、どんな大人しいしつけの行き届いたワンちゃんであっても必ず凶暴化して誰にでも噛みついてウイルスをうつすようになってしまいます。

更に進行すると全身の麻痺症状(四肢の筋肉の麻痺による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎)が見られるようになり、やがて死を迎えます。

狂犬病ウイルスの致死率はほぼ100%とされるほど非常に高く明確な治療法も確立されておりません。この為、人でも動物でも発症てしまうとほぼ間違いなく死に至ります。

 

狂犬病は現在もほとんどの国で頻繁に発生しており、WHOの発表では年間およそ5万5千人(うち3万人以上がアジア地域)の人が感染により亡くなっています。

2014年にはお隣の国中国の台湾で猛威を振るっていることなどからも、狂犬病ウイルスによる国内汚染は今もなお常に身近な恐怖と言えるでしょう。

 

 

平成19年度における日本の挙検病予防ワクチンの接種率は76%(登録件数からの数字:厚生省調べ)~41%(飼育頭数からの推定:日本獣医師会調べ)となっているそうです。

もし国外からウイルスが入ってきた時に日本国内のワクチン接種率が75%以下であると感染が拡大してしまうとされていますので、現在の狂犬病ウイルスに対する日本の防御は極めて弱いものか、場合によってはほぼ機能していないものと考えられると思います。

 

狂犬病は過去のものではありません。

日本から撲滅できた今だからこそ、皆様にご理解・ご協力いただき、もう一度ワクチン接種徹底のお手伝いをさせて頂きたいと思います。

 

担当: 獣医師 水出

 

 

 

 

2014年 3月 17日掲載
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