東洋医学よもやま話
毎年お盆の最終日には、私が通っている日本獣医中医薬学院主催のセミナーがあります。
午前は当学院の基礎系講師池内公先生の授業があり、午後は外部から講師をお招きして、なかなか聞くことのできない興味深いお話をお聞きすることが出来ます。
今年は8月16日に東京でそのセミナーがありました。
午前の講義の後、午後はなんと、数年前から我が国で大ブレイクしている『美容かっさマッサージ』の第一人者である島田淑子先生をお招きして『ドッグかっさマッサージ』の講義がありました。
因みに人のかっさマッサージは2000年ほど前から中国で ‟民間療法として”普通に行われていたそうですが、いつごろからか治療のみならず美容の為にも使われるようになったそうです。
もともと島田先生は美容関係のお仕事をしておられ、且つ鍼灸師でもあるので、かなり前からかっさの勉強をしてらっしゃいました。
そして単身中国に渡ってかっさマッサージの勉強を積まれた後、人のかっさマッサージを日本に広め、この度、ワンちゃんにも簡単にできるかっさマッサージをご考案されて、ご本を執筆なさいました。(写真参照)。
簡単に言わせて頂くと、「ドッグかっさマッサージ」とは、かっさを使ってワンちゃんの経絡(けいらく)などをこすることにより、人や動物の身体を構成する「気」と「血(けつ)」と「津液(しんえき)」(但しこの本では分かり易く‟水”と表現してあります。)を整えて、ワンちゃんの身体を健康に保つのを目的としたもののようです。
因みに私は当院での治療で、初診時から飼い主さまにお灸セット(もぐさの棒灸とそれを立てる棒灸スタンド、赤い布)を購入して頂き、治療の日以外はご自宅で飼い主さまにお灸をして頂いています。
鍼灸の治療は脉の変化を診ながら行うのですが、ご自宅でお灸をして頂いている子達の脉は、治療中の脉の反応が良く、治療もよりスムーズに進みます。
そして改善していくうちにだんだんに治療間隔を空けて行くのですが、次の治療までの間いい状態を保つことが出来ますし、再発の予防にもなると思います。(全頭再発しないとは言いませんが、かなりの率で再発予防になっていると思います。)
ただ、お年寄りで血の巡りが悪くて夏でも身体が冷えている子は、ご自宅でのお灸を喜んでくれるのですが、若い子やお年寄りでも暑がり屋さんの子は、夏のお灸を嫌がる傾向があるのですね。
それで最近はそういう子の為に、飼い主さまに簡単な推拿(すいな)をお教えして、お灸を嫌がる子には代わりに推拿をして頂いています。(推拿とは、動物の皮膚を推したりさすったりつまんだりすることによって、その反射効果により関節や内臓の病気の治療や予防をするものです。)
この度、島田淑子先生の『ドッグかっさマッサージ』の講義を受講してみて、「かっさマッサージ」は、方法は違っても、お灸や推拿同様、簡単で且つ有効な病気の予防法ではないかと思いました。
上でも言いました通り、‟鍼、お灸、推拿、かっさマッサージはどれも人や動物の「気」と「血」と「津液」を整えて身体を健康の方向へ持っていくものですので・・・。
ところで、「ツボ」と「経絡(けいらく)」ですが、簡単に言わせて頂きますと、「ツボ」は身体の悪い所の離れたところにある治療点みたいなものです。そして「経絡」ですが、ツボが東京、横浜、名古屋という大きな駅だとしたら、経絡はその線路みたいなものだと思って頂くと分かり易いと思います。
鍼灸は、経絡やツボに直接施術をしますが、『ドッグかっさマッサージ』は、かっさを使って皮膚(経絡等)をさすることにより、血流やリンパの流れを良くするだけでなく、ツボの場所を知らなくても、ツボも一緒に刺激をして健康に導きます。
お近くの書店に島田先生のご著書があると思いますので、宜しければ参考にして頂いて、ご家庭の動物たちがより健康になってくれたらと思います。(当院の受付にも本とかっさは置いてあります。)
追記;世間は狭いというかもの凄いご縁の深さを感じますが、学院校長の山内健志先生が動物の鍼灸治療と共に人の治療も出来るようにと、東京の鍼灸専門学校に行かれた時にそこで教鞭を取っておられたのが島田先生のご主人だったそうで、そのご縁でこの度この本の「推薦の辞」を山内先生がお書きになりました。
そして当学院の薬膳講師の堀内香先生が監修をされています。

講義の後、質問をした時に記念撮影。
実は私、一番前の席に座ってたのですが、とってもお綺麗な方だな~とずっと思いつつ受講してました。
島田先生は小顔になるかっさマッサージを毎日ご自身にやっておられるとのこと。
どうりで元々の美しさと共にかっさの効果も出てるからこれだけ綺麗なんですね!
あ~あ・・・何気に遠近法でもう少し後ろに並ぶべきだったわ~・・・と少し?後悔・・・。
今日は先日、よもやま話その13「お灸の効能とその方法」でお話したことの補足的なことを書かせて頂こうと思います。
針やお灸というと、多くの方が「椎間板ヘルニアや脱臼などの関節疾患にしか効かないのでは!?」とお思いになってると思いますが、実は関節疾患だけに有効なわけではありません。
例えば、よもやま話その11でお伝えしたように、癲癇(てんかん)の患者さんにも有効ですし、内臓疾患であれば、腎疾患、肝疾患、膵臓疾患(糖尿病など)、心臓疾患、呼吸器疾患、生殖器疾患、泌尿器疾患(例えば排尿のコントロールが出来ない子など)、そしてアトピー性皮膚炎や眼の疾患(緑内障など)、顔面麻痺などの麻痺性疾患、腫瘍性疾患の進行を遅くするもしくはQOLの向上※にも効果があると思います。
西洋医学で改善しなかった患者さんが鍼灸治療でよくなったという例はありますし、本来は手術をしなくては治らないと思っていた病気の子が高齢で麻酔をかけられないとの事で鍼灸治療に踏み切ってよくなったケースもあります。(開放性の子宮蓄膿症や椎間板ヘルニアなど)
ただ、だからと言ってそれらの疾患が全て良くなるというわけではありません。
やはり「この症例では手術が適応だな~。」と言う場合もありましたし、患者さんが痛がる時には西洋医学での痛み止めをお出ししたり抗生物質等を使う時もあります。
(なるべく患者さんが必要としていて飲めるのであれば、漢方薬やマコモ等を処方するようにはしていますが・・・。)
ところで、私達が行っている3-E針法では、Economy(精簡),Efficient(快速),Effective(実効)を目指しているので、鍼灸の治療中に打つ針の数は患者さんの負担にならないようなるべく少ない本数で効果がでるように努めています。
本音を言いますと、飲み薬もなく鍼灸一本(足したとしてもまこもくらい)で最善の効果がでるのを目指しています。が、やはりどうしても西洋医学のお薬に助けてもらう場面もあります。
大雑把なご説明でしたが、鍼灸治療をざっとということでご説明するとこんな感じになります。(でも、鍼灸及び東洋医学はまだまだ奥は深くてめっちゃ面白いですよ~!!)
※病気を抱えて生活する上で食欲や活力などの生活の質を向上すること。
こんにちは!
今回は、今まで「よもやま話」で何度か書かせて頂いた「お灸」についての効能とその方法をお伝えしたいと思います。
お灸は、私が鍼灸治療をするようになった10年程前から飼い主さまにお願いして、ご自宅でワンちゃん・ネコちゃん・ウサギさん等にやって頂いていますが、今でも「こんなに効果があったなんて~!!」と、私の方が驚くぐらい逆に飼い主さまから効果の高さを教えて頂く場面もあります。
以下の通り「お灸」についてざっとご説明しますね!
▷艾灸法;がいきゅうほう(「もぐさ」を使ったお灸のこと)の効能とその方法
効能:
そもそも「もぐさ」は、「ヨモギ」という葉の裏の綿毛を精製したものです。
「ヨモギ」は元々漢方薬として古くから使われていました。
「ヨモギ」には、解毒・浄血(血液をきれいにする。)・止血・健胃(胃の働きを助ける。)などの作用があります。
そして主成分は「チネオール」という精油成分であり、もぐさを燃やす時に匂う独特の香りは、「チネオール」が発するものです。
上のような作用を持つ「もぐさ」を熱で温めて皮膚に直接(もしくは間接)お灸をすることにより、細胞を活性化させて免疫機能を上げたり、血液やリンパ液の流れを改善することにより炎症や痛みを和らげます。
そのようにして、お灸は私達の病気の予防や治療と共に身体を健康に保ちます。
そして身体のみならず、”気”(気とは私達の身体を構成する目に見えないエネルギー体のような物)を整えて元気にします。(”気”に関してご説明したらそれだけで一つのよもやま話になるくらいですので、後日またご説明しますね。)

写真①:
これは治療中に施灸するもぐさです。皮膚の上に灸点紙というシールを貼って、その上にちねったもぐさを載せて、線香で火をつけます。
患者動物に火傷を負わせない様、近くにピンセットを置いて動いた時や熱すぎるような仕草をした時は直ぐに対処します。
昔のおじいちゃんやおばあちゃんは直接皮膚にお灸をしていました。本当に根性があったな~・・・と感心します。それ以上に畑仕事等がきつかったんでしょうね・・・。
方法:
「艾灸法」の1つに「艾條灸:がいじょうきゅう」があります。
「艾條灸」には以下の4つの方法があります。
①懸起灸(当院でよくお渡ししている棒灸です。)
②触按灸(直接肌にのせるお灸法)
③隔物灸(ニラ、ミソ、生姜などを皮膚とお灸の間に挟んでお灸する方法)
④灸頭針(針を皮膚に刺して、その針の頭に団子状にして軽く固めた「もぐさ」に火をつける方法)
ここでは当院で飼い主さまにお渡ししている「懸起灸(棒灸)」(写真②)についてご説明します。

写真②:
当院でお渡ししている棒灸(見ての通り、もぐさが筒状になったお灸)と、棒灸ストッパー。
棒灸ストッパーを使うと火傷しにくいのでとても便利です。私も自分の頭や耳周りにお灸する時よく使います。
ただご自宅で動物にお灸される時、熱すぎるから動くのか、単に拘束されるのが嫌で動くのかを見極めて頂かないと火傷することがあるので、そこだけは注意してあげて下さいね。
①温和灸:
お灸をしたい所に、3~5センチ離して、10~15分(動物が飽きるようであれば5分くらい)棒灸を充てます。
一か所にずっと充てますので、熱くなりすぎないように注意して、棒灸ストッパー(写真②)がない時は、動物に火傷させないようにする為に小指を必ず皮膚につけて固定しながら行ないます。(よく動く動物にはこれがお勧めです。)②回旋灸:
皮膚から3cmくらい離して、図ー1の様にお灸を平行往復させたり回旋させたりします。時間は20~30分位。①よりも広い範囲でお灸が出来ます。
(①と②は、下の③程熱くないので、まったりとします。ただ、施灸中によく動く子は②と③はお勧めではありません。)③雀啄灸:
皮膚から3cm位の所からギリギリ火傷しない所までの皮膚(ツボ)にお灸を近づけたり遠ざけたりしながら施灸します(図ー2)。時間は5分前後。
熱力が強い分だけ即効性があり、短時間で効きます。
(ただ、火傷だけは十分ご注意して下さい。)
いかがでしたか?!
「もぐさ」が棒状になった棒灸一つとっても、上の様な方法があるんですね!
動物の性格や病気に応じて、これらを使い分けて頂けたらと思います。
もちろん日頃お疲れの飼い主さまにも是非お灸して頂いて、いつもにこにこ健康でいて下さればと思います。
飼い主さまがいつも健康でお元気であれば、動物達もその影響を受けて元気になりますので・・・・。
それではどうぞお試し下さいね。
ではでは~~(^^)/

せんねん灸。
写真①のちねるお灸と組み合わせて使っています。裏側がシールになっているのでとても使い易いです。
患者動物は熱さの感じ方が一頭一頭で違うので、二種類を使い分けて使っています。(左側はぬるいお灸です。)

久保クルミちゃん。当院のお灸の説明のモデル犬になってくれてる丸山ミルクちゃんと共に‟超人間大好きな”女の子です。(人間は好きでもどうやら写真は嫌いみたいです。(笑))
いつかミルクちゃんとクルミちゃん、そしてGリトリバーの彦坂ルイ君達に手伝ってもらって、親の虐待等で傷ついている子達が入っている施設に行って動物達の素晴らしさを知ってもらいたいと思っています。
それは私の叶えたい夢の一つです。(^^)。

膝蓋骨脱臼と膀胱結石で通院してくれている横井るいちゃん。
この日は看護師がお灸をさせて頂きました。
カメラを持って「るいちゃん!」って私達が声を掛けたら、何気に見てくれました(笑)。
ちゃんと男前に写ってるよ。るいちゃん!

おまけ・・・私が使うお灸セットは三人の看護師さんが揃えてくれるのですが、お灸や針の注文は西尾さんが担当してくれてます。
この日は仕事の後で私は整形のWebセミナー、その隣で彼女はリハビリのWebセミナーを受けてました。まさか私に写真を撮られるとは露知らず・・・気を抜いていたのか、勇ましい足の恰好をしてました。
お嫁にいけないとあかんので足はカットしてあります(笑)。
この日曜日(10日)は、10時から吉祥寺で、いつもの、月一の鍼灸学院(正しくは日本獣医中医薬学院)研究科の推拿の授業がありました。
3年前にこの学院に入学し、去年9月に卒業した後、私を含め同級生の殆んどが10月からこの研究科に通っています。(去年までは月に2回授業がありました。)
学校に着くなり、全員ジャージとTシャツに着替え、1時間程校長指導の元で気功をして気を充実させた後、校長の授業が1時間半あり、昼食後、岩西先生の推拿(すいな;ツボや経絡をマッサージすることにより、患者動物を治癒に導くもの)の授業と、その後病気気味のワンちゃんの鍼灸治療(実習)を班ごとに行って、ようやく1日が終わります。
この研究科に来て2つの事を学びました。
- 臨床を通して、患者動物により良い治療をさせて頂く為の大切な条件は、知識と技術のみならず、治療をさせて頂く私達が心身共に健康でなくてはならない。と言うこと。
・・・いつも治療の前には気功等をして気を整え、仕事が忙しい時もなるべく疲れを残さない様に養生してベストな状態に自分を持って行くことこそ最善の治療が出来るのだと、より強く思う様になりました。 - 患者動物を治癒に導くのに、「絶対にこれ!!」と拘る事をせず、患者動物が心地よく治療を受けてくれるよう、鍼灸の他に推拿(すいな)や指針(ゆびばり)などの工夫をすること。
・・・この推拿の研究科に来てから、治療の幅が広がったように思います。
治療上、病気に繋がっているツボに針を刺すので、嫌がる子がいました。(腎臓病の子に腎臓から離れた後ろ足の内くるぶしの腎臓のツボに針を刺すと、腎臓が悪いので痛がるのですね。)
そういう時は5年〜6年前からダイオードと言う短い棒でツボを刺激してましたが、それでも嫌がる子には、無理して刺激をせず、推拿(マッサージ)をしながら、優しくツボを刺激します。
針は直接ピンポイントでツボを刺激するので、脈も数秒から数分で整います。正直な話、針を使った方が手っ取り早いのですが、無理やりやる事がメンタル的な面でその子に良いとは限りません。
少々遠回りに見えても、推掌をする事により、その子自身も私を受け入れてくれるので、治療がスムーズになります。
待合室に入った時は、緊張でブルブルしていた子も帰る時は、身体も心も少しでもリラックスしてくれたらこんな嬉しい事はありません^_^V(そして結果もついて来てくれたら尚更です!)
以上、少し??長くなりましたが、推掌のお話をさせて頂きました。

身体の悪い所と繋がっているツボに針を刺すので針を刺す瞬間に痛がったり、刺す時は良くても針を身体に刺した後の響く感じを嫌がったりする動物がたまにいます。
そんな時にはこの「ダイオード」を使います。人の治療でも針を怖がる子供に使うようです。
これなら動物達も結構受け入れてくれますしこれでも治療効果はあります。
過敏が故に「ダイオード」も受け入れてくれない子には指でツボを直接刺激します。(指針)
10数年前より山内先生方から、中医学を習い、3年前より獣医の鍼灸学校(獣医中医薬学院)に通う様になってから、今更ですが中医学の素晴らしさを実感する今日この頃です。
もちろん西洋医学には西洋医学の素晴らしさがありますが、中医学は季節や患者さんの体質、疾病の状態によって治療法が違ってきます。
分かりやすく言うと、「中医学は患者さんのオーダーメイドの治療をするのが基本」という事でしょうか。
ですので同じ病名がついていても違う治療をする(違うツボに針を刺す)こともあれば、全く違う病名(症状)なのに同じツボに針を刺すこともあります。
ところで、今の時期は春。
春と言えば、「よもやま話 その①」の「五行色体表」の「木」の欄を縦に見て頂きますと、酸、風、春、肝、目、筋と書いてありますよね。
今の春の季節はそれらにまつわる症状が多く認められます。
因みに当院では、毎年この時期に安全にフィラリア予防薬をお出しする為に採血をしますが、同時に年に一度の健康診断をお勧めしています。
不思議な事に、毎月肝臓疾患で定期的に血液検査をする子達の多くは、この時期に結果が悪くなる傾向があります。
そして、筋肉の痙攣と言う意味では、てんかん発作もこの時期によく起こります。てんかん発作は、「風」の影響を受けやすいと言われています。
春は風の強い季節なので、春の風にさらされると発作が起きやすいと言われています。
ですのでその治療に使うツボも、「風府、風池」など、「風」の字の付くツボをよく使います。もちろん脈を診を取りながらその子の体質や発作の起こる時間帯等を参考にしながら、他のツボを足したりします。(因みにてんかん発作に関しては、風の影響を受ける春の病気と書きましたが、暑い夏にエアコンの風のせいで起こることもあります。)
さらに五行色体表からすると、この時期はめまいや目の疾患(花粉症なども含む)もよく認められます。
そして私達が山内先生方から習ってきた「恩 雪楓先生の手法」では、以上3つの症状(肝疾患、てんかん、目の疾患)では、殆ど「陽陵泉」と言うツボを使います。
それ以外のツボは脈を取りながら決めます。

①と同じ猫ちゃん。やはり春になったら発作の起こる間隔が短かくなりました。
基本的にはどの子も押さえつけないで治療するので、自由きままに動く為、もぐさを捻るお灸はこの子は適しません。
なので写真①の棒灸かこのせんねん灸を使っています。
さて、それではこの時期もしくは肝臓の弱ってる子に何を食べさせたら良いかと言う事になりますが、五行の欄で「酸」と書いてある様に、酸っぱい物が肝を養います。ですが食べ過ぎると逆に肝を傷つけてしまいます。
ですから程々に酸っぱい物を摂るといいと思います。
また、よく飼い主様にもお伝えしてるのですが、肝臓と腎臓を養うには、よく中華料理の杏仁豆腐の上に乗っかってる「クコの実」が超お勧めです。
「クコの実」は、肝臓も腎臓も両方養います。
私はスーパーの調味料売り場で購入してきて、仕事の合間にそのまま食べてます。
少し甘くて私好みの味ですね!これがまた~。この味ならワンちゃん(猫ちゃんは嫌いな子もいるかもです。)も喜んでくれる子が結構います。
ただ、消化吸収し易いのは、そのまま食べるよりは他の食材を煮る時に一緒に入れて、その煮汁ごと食べさせるのが一番です。特に重度の肝腎疾患の子や癌の子等にお勧めです。
そうそう!!
肝臓疾患、花粉症も含めて目の疾患等で忘れてはならないのは、「マコモ」です。
「肝臓が悪いけど、薬が大嫌い!! でも何とかいい方向になって欲しい!」と言う子達にこの数年間「マコモ」をお出ししてきました。その中で良くなってる子が何頭もいます。
以上、長くなってすみませんでしたm(__)m。
思いつくままのよもやま話でした。
それでは皆さまと動物さん達、どうぞお元気で~~*(^o^)/*
冬の時期は五行の「水」であり、五臓で言うと「腎」、五腑では「膀胱」、五体で言うと「骨・骨髄」になります。(よもやま話 その①の表—1を参照)
ですので、この時期はこれらの臓器や骨が寒さの影響(寒邪と言います)を受けて打撃を受けやすくなります。
「椎間板ヘルニア」もその一つで、寒さが急に厳しくなる1月から2月にかけて、初診や再発の患者さんが多くおみえになります。
ただし、この冬は去年の12月中旬頃急に寒くなった週があり、その時は初診の患者さんが重なりました。
今、「寒さ(寒邪)のせいで椎間板ヘルニアになる」と言いましたが、夏の暑い時も「椎間板ヘルニア」の初診のワンちゃんが重なることがあります。
ここまでお読みになられて、既に想像してらっしゃる方もお見えだと思いますが、そういう時は暑さが厳しくなってきて、飼い主様がエアコンの温度を下げることによって、その寒邪のせいで発症してしまうのですね。
「椎間板ヘルニア」の説明に関しては、インターネットで検索して頂きますと、いろいろ出てくると思いますので、ここでは割愛させて頂きますね。
ところで、この病気(症状)は前兆がある時もありますが、多くは前兆なしで突然起こります。
いきなり下半身がふらふらになったり、下半身麻痺になって歩けなくなったりします。そして痛みを伴う時と伴わない時があります。 重症例では、排尿・排便もできなくなることがあります。
発症した時に、鍼灸や外科手術等で一生懸命治療してせっかく歩けるようになったにも拘わらず、また別の場所(別の椎間板)で、ヘルニアが起こることがあり、通院されることがしばしばあります。
それは殆どがこの寒い時期です。(正しくは寒邪の影響を受けてなります。)
さて、それではどうしたら再発の予防ができるのでしょうか!?
それは以下の通りです。
①寒い時は、なるべく身体が冷えない様に工夫する。
②2本足歩行(後ろ足2本だけで歩く事)は避ける。
③段差のある所(ソファーや階段)の昇り降りは避ける。
④どうしても段差を避けられないのであれば、スロープを付ける。
⑤滑りやすいフローリング床であれば、コルクやじゅうたんの滑り止めなどを上に敷いて滑り難くなるよう工夫する。(これは椎間板ヘルニアのみならず、股関節や膝の脱臼の子にも良いですよ!)
⑥太らせない。
⑦椎間板のクッションの材料となるサプリメント(グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン等)を摂取する。
・・・と言う感じでしょうか。
★当院では鍼灸の治療にお見えになった飼い主さまに、上の事と同時に「お灸」もして頂くようお願いしています。
「お灸」は治療中もしますが、少しずつ良くなって来たら、通院しない時はご自宅でお灸して頂きます。
そして殆ど改善して歩けるようになってからも、ご自宅でのお灸を推奨しています。(安全な棒灸をお渡ししています。)
本当は毎日お灸して頂くのがベストですが、それが出来なければ週に2~3回はして頂くようにお願いしています。
今までの私の経験で言わせて頂くと、上に書いた①~⑦までの事と一緒にお灸をして頂くかどうかで再発率にかなり差が出るように思います。
お灸をすることによって、体中の血のめぐりも良くなり「椎間板ヘルニア」のみならず、他の病気の予防にもなります。
因みに、胸椎下方と腰椎の椎間板ヘルニアの時に効果のあるツボは、「腎兪」と「大腸兪」です。
お灸の効用については(お灸でなければ、間に合えば冬に摂ると良い食材も)、後日よもやま話・・・その⑪で掲載させて頂きますね!
それでは皆様、どうぞお大事になさって下さい☆
★因みに、「椎間板ヘルニア」の患者さんの飼い主さまも、ご自分のワンちゃんにお灸された後、ご自身にもお灸されて「肩こりや膝の痛みが楽になったよ!」とおっしゃっる方が増えました。(グー!)
台風19号が立ち去ったかと思ったら、秋が駆け足で来たようで・・・朝夕めっきり肌寒くなりましたね・・・。
私が今、当院でやらせて頂いている「中医学」の治療は、主に三つの柱で構成されています。
それは、「鍼灸治療」・「薬物治療」・「薬膳による治療」です。
皆さんは「気(氣)」という言葉をご存知ですか!?
「気」とは、〝私達の身体を含めてありとあらゆる物を構成する最小のエネルギー物質である”と中医学では定義されています。
そしてそれは肉眼で確認できるものではありません。
・・・というと本当に分かりにくいのですが、「元気」「勇気」「気分」「寒気」など、「気」のつく漢字は沢山ありますね。
そうやって考えると日常何気なく使っている漢字から、何となく「気」の意味合いが分かる感じがしませんか!?
私達の治療では、「鍼灸治療」をする時、治療に入る前から終わるまでの間に、何回か患者さんの 「脈(みゃく;脉)」を取らせて頂いています。
(脈を取ることを「脈診」と言います。)
因みに人は手首で脈を取りますが、動物は両足の付け根にある大腿動脈で脈を取ります。
私達は、いろんな原因で病気になっている患者さんの脈診をする時に 「気が落ちてる。」という表現をする事があります。
そういう時は、両手の指三本の指の頭で感じ取る患者さんの脈が、体格の割に細いかもしくは弱い時です。
そういう状態を「気虚」と言います。例えばそれが腎臓由来であれば、腎気虚、脾臓由来であれば脾気虚と言います。 また腎気虚のうち、熱や冷えの症状を伴うようであれば、腎陰虚、腎陽虚と言います。 脈一つ取るだけで、患者さんのどの臓器が悪いのか、熱があるのか冷えているのかなどが分かります。もちろん患者さんの状態を脈診だけで診るのではなく、総合的に判断するのですが。)
鍼灸治療では、患者さんの穴(ツボ)に何本か針を刺したり、お灸を施したりしていますが、基本的にはそれらの施術をすることにより、患者さんの ‟脈を整えたり ” ‟気を上げることによって” 患者さんを健康な状態に導くことではないかと、私は思います。
ですので、鍼灸治療をしながら途中で何回か脈診をして、患者さんの脈が改善してきたら治療が良い方向に向かっていると言えます。
それは、鍼灸治療のみならず、中医学の三本柱の他の二つの治療(薬学治療・薬膳による治療)でも言えることだと思います。
✻因みに、艾(もぐさ)のお灸は身体の悪いところの穴(ツボ)を温めて刺激して楽にするだけでなく、気を上げる効果もあると言われています。
病院でも針治療と一緒にお灸もすると、目に力が出てきたり食欲も出たりして元気になるのを実感します。ですので、鍼灸治療で来院される殆どの飼い主さまにはご自宅で患者さん(動物)にお灸をして頂いてます。
そして飼い主さまにもお勧めしたりしています。
「風邪、肩こり、五十肩、膝の痛みなどお楽になられて元気にもなる!」ということで、結構好評ですよ(^^)V。
次回は、「今、この時期に食べて頂きたい食品・・・薬膳」についてお話させて頂きたいと思います。
それでは皆様、どうぞお元気で~・・・・!!
お盆もやっと過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きますね~・・・。
朝晩のワンちゃん達のお散歩はアスファルトの照り返しがきついので、涼しい時間帯を選んでコマメに水分の補給をして頂きたいと思います。
こんな時は、スイカ、キュウリ、冬瓜など、瓜系の物は熱を冷ましてくれるので、動物さんにも食べさせてあげましょう。
ただ、与えすぎによって逆に冷えを起こすこともありますので、ほどほどにして頂けたらと思います。
今の時期は熱中症もそうですが、鍼灸治療をさせて頂いている者からすると、この時期にしては「意外!!」と思う病気に毎年遭遇しますので、気をつけて頂きたいと思います。
それは・・・
なんと、「椎間板ヘルニア」です。
東洋医学の「五行」で言いますと、「椎間板ヘルニア」のような“骨の病気”は、冬の寒い季節に起こりやすいと言われています。
ですので、ワンちゃんの椎間板ヘルニアの発症も圧倒的に冬が多いです。
寒さが酷くない初冬はそうでもないのですが、一気に寒くなり始めますと、同じ時期に初診の椎間板ヘルニアの患者さん、もしくは以前罹って鍼灸治療や手術で一旦改善したにも拘らず、また再発してしまう患者さんが重なるんですね。
ですが、特にここ3年~4年くらいの間、冬の椎間板ヘルニアの患者さんは当たり前なのに、今、この夏の暑い時期にヘルニアの患者さんが重なるんですね・・・。
それは、なぜか・・・・。
そうです!! エアコンのせいなのです。
暑くなり始めの時と、残暑が厳しい時など、飼い主さまがエアコンの温度を下げる事によって、身体が冷えて(寒邪によって)発症してしまうのですね!
ですので、椎間板ヘルニアの再発の危険性のある子がいるご家庭は、エアコンの温度に注意する。もしくは、腰(頚部の場合は首)が冷えない様に、薄手の腹巻を巻いてあげたり、棒灸で腰を温めてあげると発症予防になって良いと思います。
それでも発症した時は、なるべく早く治療してあげて下さいね。
※オマケですが、意外ではない話として・・・夏の湿気の多い時に罹り易い病気としては、やはり皮膚病が多いと思います。
患部を清潔にすると共に、原因がはっきりしている時(寄生虫、細菌感染・真菌感染など)は、その原因を根治すること。
そして、痒み、赤みなど炎症の酷い難治性の皮膚炎などは、抗生物質や抗炎症剤を使っても良くならない時、漢方薬で改善することが結構あります。
その子がどんな状態かを把握して、その子にあった漢方薬を服用すると改善することがありますね。
それと、まこも水を200倍に薄めてまこもの温浴もしくは原液を患部に噴霧するのもお勧めです。
食餌アレルギーと思われる子達に食餌に関して言わせて頂くとしたら、「生まれてこのかたラム肉を食べさせた事がないから、おそらく大丈夫だろう!」と言う推測から、ラム肉を食べさせてみえる飼い主さまがいらっしゃいますが、ラム肉はもとも寒い地方で食べられる肉なので、身体を温める作用があり、炎症の酷い子が食べると逆に悪化することもありますので、様子をみながら与えて下さいね。
※もう一つ、この夏に意外な病気・・・それはエアコンにあたったことによる(風邪による)癲癇(てんかん)の患者さんです。
癲癇は、風病とも言われ、主に春の温かい季節の風に当たって罹る病気だと言われています。
ですが、この時期、先ほど言った理由で発症することがありますので、エアコンの温度に気をつけて頂き、ワンちゃん猫ちゃん、ウサギさんなどのいる場所が直接エアコンの風が当たらないか十分注意して下さいね。
以上、思いつくままの「よもやま話」をさせて頂きました。
こんにちは。
今日は棒灸に含まれる漢方の効能についてご紹介させて頂きます!
棒灸とは、艾(もぐさ)などの薬草を和紙で棒状に包み、端に火をつけてツボに近づけて血流の悪い凝ったところを治療するための鍼灸用品です。
棒灸には、艾だけを包んだ純艾條と、艾と数種類の薬草を包んだ太乙薬條があります。
棒灸は身体に不調がある時、身体のツボに棒灸をあてることによりそのツボに関連する臓器を刺激して改善の方向に向かわせます。また艾自体にも「気」を上げる作用があります。通常の鍼治療の中で鍼の治療と併せて艾のお灸をすると元気になるのはそのためです。
今回は、当院で使っている太乙薬條に含まれる薬草(漢方)の成分についてご紹介します(^^)
(艾の効能については、また後日ご紹介させて頂きます。)
当院では、
☆棒灸「太乙薬條」 一本 ¥350(税抜)
☆棒灸ヘルパー 一本 ¥2200(税抜)
(棒灸ヘルパーとは、温灸器と火消しつぼがセットになったものです。棒灸を差し込んで使用します。使い終わったら、棒灸を挿したまま火消しつぼにかぶせて消火でき、大変便利です。)
にて、ご用意させて頂いております。
ご興味を持たれた方は、お気軽に受付までお申し付けください(^^)
皆さま、こんにちは!
毎朝、満開の桜を通勤途中に眺めてはにんまりしておりましたが、だんだん葉桜になりつつありますね・・・。
でも、基本的に春は花のみならず新緑も綺麗で大好きです!!
ただ・・・春は五行のうちの「木」に属します。「木」の五気は「風」ですので、「風」の影響を受けます(風邪;ふうじゃと言います。)
(よもやま話その①、表ー1の五行色体表を参照して下さい。表の「木」の行を上から下へたどっていって下さいね。)
風邪は主に首から上の症状を起こします。
このことより、今の時期は花粉症による鼻水・くしゃみ、そして涙目など目の症状やめまい、頭痛などを起こす人や動物が多いことになります。(めまいと頭痛は動物では分かりにくいですが・・・。)
もし、ご自宅のワンちゃんや猫ちゃんで花粉症(もしくはアレルギー様の症状)を起こしている子がいて、人間の食べ物を食べさせていらっしゃる飼い主さまがおみえでしたら、以下の食べ物は食べさせないようにして下さいね。
- タケノコ ・イチゴ(イチゴと言うと皆さん、結構驚かれる方が多いのですが、イチゴはアレルギー様症状を起こすヒスタミンと言う物質を誘発すると言われています。タケノコも同様です。)
- この後に列挙するものは、動物には与えてらっしゃらないと思いましたが、お読み頂いている方々の中で花粉症の方がいらしたら注意して頂けたらと思って、一応書かせて頂きました。
- コーヒー・チョコレート・香辛料・アルコール(全部私の好きなものばかりです。それは関係ないか・・・。)
「その①の五行色体表」の「木」の行を上からたどっていきますと、「肝」「胆」「目」「涙」「筋」「怒」となっていますね。
今、フィラリアの検査のついでに一般的な血液検査も結構させて頂くのですが、毎年今の時期だけ肝臓や胆嚢に問題がある時に上がる酵素(GPTやALPなど)が異常値を示すワンちゃんが数頭います。その子たちは数か月すると一旦下がるのですが、またこの時期になると上がる・・・・を繰り返しています。一応正常値になっても肝臓疾患(もしくは胆嚢疾患)予備軍として年に数回は再検査をさせて頂いています。
また、元々肝臓や胆嚢疾患の子達がこの時期に上がり易いことは言うまでもありません。
そして表の通り、この時期は肝臓のみならず目、筋肉に関わる症状が多く出ます。
上にも書いた通り、目の疾患の他、筋肉の痙攣(けいれん)なども起きやすくなります。
それはどれもが繋がっているので、この時期になると「風邪」の影響を受けて発症します。
例えば肝臓と目は繋がってますので、「目を使いすぎると肝臓が悪くなる。」そしてその逆もあります。
また肝臓と筋肉も繋がってますので、「肝機能が落ちてくると筋肉もうまく働かなくなる」と言えます。
そしてよく、「肝臓は怒りの臓器」と言いますが、それはここから来ていると思います。(「黄帝内経」という中国の古い医学書にこれらのことは書かれています。)
ですので、怒りをためながら生活をしていると肝臓が悪くなりますし、その逆もありますので、肝臓が悪くなると怒りっぽくなったり判断力が鈍ったり、もっと酷い時は鬱のような症状を起こすこともあります。
・まとめ・・・
以上のことより、今の季節は花粉症など首から上の病気や、肝臓、目、筋肉の病気に気をつけて頂きたいと思います。
そしてアレルギー症状を示すようであればまずは食事に気をつける事。
それから、本来寒い冬が終わり春になって暖かで過ごしやすい時期なのですが、その暖かさの中で子寒い風が吹く様な時は、特に「てんかん」も発症しやすいので、「てんかん患者さん」を持つ飼い主さまは注意して頂けたらと思います。