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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

負うた子に教えられ・・・追記『喪の作業』

以前『喪の作業』と言うコラムを書きました。
「ある時、重度の糖尿病の猫ちゃんが入院していて、私としては一生懸命治療させて頂いたにも拘わらず、明け方合併症で亡くなってしまった。だが、亡くなって数日してから飼い主様が来院され、その子が亡くなったのは、病気のせいではなく獣医の治療過誤ではないか!?との事でカルテを見せるように言われた。それでカルテをお見せしながら経過をご説明したら(実は亡くなった時もご説明はしたのだが)、ポロポロと泣かれてふ~っと一息つかれた後、納得されてお帰りになった。」と言う話です。

この時、私の中では「Aさんとは厚い信頼関係にあったと思っていたのに、なぜ?!」と言うショックの様な感情が残っていました。
そこで、たまたま精神科医の先生とお話する機会がありましたのでその先生にご相談したところ、それは『喪の作業』というものだと言われました。
自分の愛すべき対象が亡くなってしまった事を認めたくなくて、無意識のうちに憎むべき対象を見つけてその悲しみを受け入れられるようになるまで、その対象を憎むことだそうです。

その『喪の作業』のコラムはムサシの死後少ししてから書きました。
そしてその後続けて「実は私もムサシを亡くしてその飼い主様と同じことをしてましたの!」なんて書くつもりでした。

でも・・・今日までその事をコラムに書くことが出来ませんでした。
なぜなら「それを書くことによって、そのスタッフを傷つけるのではないか?!」と言う懸念があったからです。
それと同時に私の中でも「まだまだ未解決だった」からだと思います。

そして思わぬところで、息子と話をしてようやく私の『喪の作業』は終息に向かいました。

長い年「病気で苦しむ子達のお役に立てたら」とか「病気の子の飼い主様の伴走者になれたら」という思いで治療させて頂いてきたつもりでした。
ですが、去年ムサシを亡くしてようやく‟大事な子を失った飼い主様の気持ち”を身を持って知りました。

もし、大事な子を失って、「ペットロス状態になってる私は変なのかしら?!」と思ってらっしゃる方がみえたらどうぞ安心して下さい。
幼い頃から自分の動物たちとの別れを経験し、そして多くの患者さんと飼い主様とのお別れにも立ち会わせて頂いた私もこうしてペットロスになりました。
存在が大切であれば、それは当たり前の事なのです。
後は、時間が掛かってもいいので、その子の事を思い出しながら、そして感謝しながら少しずつでもお元気になって頂けたら、きっとその子達もホッとしてくれることだと思います。

そう・・・きっとムサシも今頃はホッとしてくれていると思います。

2014年 12月 19日掲載
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