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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

「本当は僕、去勢なんてしなくないんだ・・・。」

この10月で開業して20年になる。

今は珍しいが、開業当初は結構外へ自由に出入りしている猫ちゃんが多かった。
雄猫は圧倒的に縄張り争いや彼女の奪い合いでケンカの傷が絶えなかった。
たとえ自分は戦う気はなくとも、「売られたケンカは買わねばならぬ!」的な勢いで、果敢に立ち向かう猫が多かった。
だから、そういう猫は圧倒的に顔や腕にケガを負ったものである。
ただ、やはり猫にもいろいろいて・・・・己の弱さをちゃんと自覚している猫は、瞬時に逃げる!!・・・が、逃げ切れないどんくっさい猫は逃げ遅れて、毎回尾に傷を負ったものである。(なんか治療してても憎めないんだよね~・・・。そういう猫って。)

今は飼い主さまもいろいろ勉強してらっしゃるので、ケンカによる咬傷や伝染病にかかる事を考えると、‟猫の気持ちを尊重して外に出すことのデメリットの方が大きい”と判断する方が増えたように思う。
なので開業当初と比較したら自由に外に出かけられる猫が極端に減ったのは事実である。(まぁ・・・猫の気持ちを取るか、はたまた猫の健康を取るか・・・?!の選択だと思うのだが。)

だが、開業当初は殆どの猫が自由に外に出ていたので、「去勢手術」をする朝になると、決まって行方不明?(家出?)になる猫が多かった。
そう!! 決してあなどってはいけません!! 
彼らは飼い主さま達の話を聞いているからなのか、はたまた直感からなのか「自分は今日、去勢される!」ということを知っているのです! 
なので手術の朝、「先生、病院に連れてこうとしたら、どこ探してもいないんだよね~・・・。」というお電話を頂く度に「あ~・・・。また猫の直感ってやつだな~・・・!」とよく思ったものである。

だが、犬はもうずっと前から家から自由に出ることができないので逃げるわけにもいかず、病院に着いてから「ヤバッ!!やっぱなぁ~・・・・。」と思うらしい。 なので、この間のペコちゃんも病院に着いた途端、急にいつもと違う顔つきになり・・・自分の意に反して去勢手術を受けざるを得ないハメになったのである。
獣医として彼らを見ていてとても辛い・・・。

増して東洋医学的観点からすると、女の子の避妊手術もそうなのだが、「もともとあるものを取るってどうなのよぉ~!?」ということになる。
現に今鍼灸治療の中でも、「数年前に去勢手術をしてから若いのにおしっこが漏れる。」というオスのワンちゃんや、「子宮を取ってから調子が悪くなった・・・。」等の理由で通って頂いている子たちもいる。
ただ・・・若い頃、去勢をするかしないかで迷ってそのまま歳を取り・・・ある日気がついたら前立腺肥大が原因で血尿になってしまったオスのワンちゃんの飼い主さん達は、決まって判で押したように「あ~・・。やっぱりあん時去勢手術を受けさせれば良かった~・・・・。」とおっしゃる姿も沢山見てきているので、何とも言い難い・・・・。
男の子が前立腺肥大になるのも、女の子が子宮蓄膿症になるのもおそらく運不運なんだろうが、一体全体なにが良くて何が悪いんだか・・・。
でも、一先ず・・・・同じ目に遭ったことはないが、去勢手術や避妊手術の子達には、手術が終わった後で、「本当にご苦労さま。よく頑張ったね!!」と、声を掛けずにはいられない・・・。

ペコちゃん

2014年 3月 26日掲載
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