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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

『愛する対象を亡くすということ・・①』

中医学では、数千年前から『天人合一;てんじんごういつ』という言葉があります。
天は宇宙や自然のことであり、人は私達人間や動物のことです。
つまり「私達は宇宙や自然と一つであり、繋がっている。だから生きている限り、自然の影響を受けざるを得ない。」ということなんですね。

ここのところ昼夜の温度差が激しいのみならず、「花冷え」のせいで、今日暖かいかと思えば、翌日は冷えたり・・の繰り返しでした。そして風の邪と書いて「風邪;ふうじゃ」と言いますが、春の風で肝臓病の子が悪化したり、てんかん発作が酷くなったりします。
それらの影響なのか、悲しいことに鍼灸治療でお見えになっていた重症の子たちの命の灯が、一つ、二つ・・と消えてしまいました。

先日、Nさんちのシャチョーちゃん(10歳、男の猫ちゃん)を診せて頂いた時のお話です。 初診の時、シャチョーちゃん(シャチョーちゃんだと長いので、ちゃんを除きます)は、重度の肝臓病の為、食欲がありませんでした。そして〝黄疸“という症状も出ていて、白眼の部分も身体中の皮膚も黄色くなっていました。食欲も元気も落ちていたのですが、三回の鍼灸治療とご自宅での点滴が功を奏して、少しずつ食べてくれるようになり、「これはいけるかも~!?」とNさんも私も思っていました。

そんな矢先、急に食べてくれなくなり、ぐったりしてしまいました。先ほど言った「春の温度差」がシャチョーの負担になったのか、風邪(ふうじゃ)のせいなのか・・・。しかもその日Nさんは遠方に出張中とのことだったので、部下の方がシャチョーを連れてきて下さいました。私はシャチョーを診て「おそらく、今日が最期の治療になるだろうな~・・。」と思いつつ、「さぁ、点滴から始めましょう。」と言う時に、Nさんからお電話がありました。「先生、シャチョーの命が長くないのであれば、毎日やってる自宅での痛い点滴は止めた方がいいですか?!」とのこと。
「そうですね・・・。一緒にいる時は嫌な事は止めて、のんびり楽しく過ごしましょう! ここで点滴しときますから、お家では結構ですよ。」とお応えました。

部下の方曰く、Nさんは、翌日の夕方のまではお帰りになれないとの事・・。
「シャチョー、Nさんが帰って来るまで、頑張って!!」と心で思いながら、治療しました。
そう思うことは、もしかしたら私達人間のエゴかも知れないのだけど、でも、そう願いつつ、治療し終えてシャチョーの顔を見た時、「俺・・・頑張るよ。」とシャチョーの瞳は言っていました。

かなりしんどかったはずです。
ですがシャチョーは、翌日の夕方Nさんがお帰りになるまで、頑張りに頑張って・・・その夜Nさんに看取られて静かに亡くなったそうでした。

シャチョーが亡くなって数日経って、Nさんが気丈なお声でお電話下さいました。
シャチョーを亡くした悲しみが薄れるには、まだまだ時間が掛かるだろうと思います。
ですが、〝いつもシャチョーはNさんの近くにいて、絶対Nさんを見守ってくれている“ので、お元気で生きていって頂きたいと思います。(亡くなった動物たちが私達を見守ってくれているというお話は、機会があったらコラムに書こうと思います。)

愛と悲しみは、振り子のふり幅とおんなじなんですね・・。
その子たちを愛すれば愛するほど、悲しみは深くなります。

私は、もの心ついてからず~っと犬や猫と暮らして来ましたが、大学を卒業して結婚するまでは、余裕がなくて動物と暮らしてきませんでした。
でもきっと、この仕事をする上でこういう飼い主さまの気持ち(深い愛と深い悲しみ)を再体験する為に、神様が、たった7年でこの世を去ったムサシやその2年後に17歳で亡くなったケンと逢わせてくれたのだと思います。
本当に動物達の存在はすごいです。こんなに大きくて、深い愛があるということを私達に教えてくれるのですから・・・。

Nシャチョーちゃんと同様、最期まで飼い主さんに愛されそして飼い主さんに愛をくれたSプーちゃんとTチョコちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

◇◇◇

Kさんとらんちゃん・シュウくんKさんと椎間板ヘルニアのらんちゃん、右は肝臓疾患のシュウくん

鍼灸治療中は、Kさんにらんちゃんの身体を軽く支えて頂きます。

するといつもKさんは「らんちゃん可愛いね~♡」とおっしゃいます。

こうして、「可愛いね~♡」とか
「大好きだよ~(⋈◍>◡<◍)♡」という言葉を言われて育った動物達は、愛されていることを自覚してとても穏やかな顔になります。
それって人もそうなんでしょうね~!

KさんとメーアちゃんKさんとメーアちゃん

おじいちゃんが病気で入院した時、お母さんとお見舞いに行ったメーアちゃんは、ワンちゃんなので中に入れませんでした。

それで病院の直ぐ下で待っていたら、おじいちゃんが上から大きな声で「メーア~!!」と叫ばれたそうです(笑)。

その後、おじいちゃんは急に元気になられて、早めに退院されたそうです。

これはマジに『メーアちゃん効果』ですね(^_-)-☆

我が家の愛犬ムサシ我が家の愛犬ムサシ

血管肉腫だと分かって開腹した時には、既に癌がいろんな臓器に転移してました。

亡くなってしばらくは、笑顔で仕事をしていても二階のトイレに行ってはムサシを思い出して泣いてましたっけ・・。

超、超可愛い次男の弟であり、我が家の四男(もしかして私の恋人?!)でした(^^♪

2020年 3月 14日掲載
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