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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

『湿邪(しつじゃ)と暑邪(しょじゃ)の対応法・・その2』

こんにちは!
やっと日本中の梅雨が明けましたね。
ついこの間まで朝晩の肌寒かった日が嘘のように酷暑になり・・とは言えまだしっかりと湿気っぽさを感じますよね・・。
さて、遅くなりましたが今日は先日の続きを書かせて頂きますね。

1.「湿邪」の性質の補足・・湿邪が他の邪気(病気になる自然界での要因)とくっついた場合・・。
前回、「湿邪」は重くて粘っこい性質を持つとお伝えしました。
「湿邪」だけでも身体の不調を起こしますが、湿邪が「湿邪と相性のいい邪気」とくっつくと、よけいに私達の身体に悪さをします。そしてそれがまた結構シツコイのですね。

  • 「湿邪」と「暑邪(しょじゃ);夏の暑さや身体自身が暑くなること(下の2に記す)」がくっついた状態を『湿熱(しつねつ)』と言い、「寒邪(かんじゃ);冬の寒さやそれによる冷え」とくっついた状態を『寒湿(かんしつ)』と言います。
  • 例えば『湿熱(しつねつ)』の状態が長い間続くと、膀胱結石や尿道結石、そして胆石などができ易くなります。
    またジュクジュクとした皮膚病になったり、もともと皮膚の弱い子がこの時期に悪化したりします。その他手足が重だるくなったり、嘔吐・下痢を起こしやすくなり、元気もなくなります。
  • それから、『寒湿(かんしつ)』であれば、関節の動きが悪くなり、腫れてきたり痛みが出てきたりします。
    そして冷えによる下痢や嘔吐も起き易くなったりするんですね。

2.「暑邪(しょじゃ)」について

夏の暑い時期に起こる「邪気」です。暑邪の季節には、人なら大汗をかいてその熱を発散させますが、犬はそれが出来ないので、呼吸やよだれで発散させようとします。(ほんの一部はパットでも発散はしますが・・。)
「暑邪」の時の犬の主な症状は、発熱、激しいよだれ、のどの渇き、濃い黄色の排尿、元気消失などを起こしますが、「暑邪」が体内に入ってより重症になると、高熱、よだれが激しく止まらない、脱水、呼吸が早くなる、意識喪失、更にはけいれん発作が起こることもあります。
また上の1の通り、「湿邪」とくっついて『湿熱(しつねつ)』になると、より重症になりますし、1で書いた『湿熱』の症状を起こします。

※これらは、「湿邪」によって身体の水分が身体(特に下半身)に停滞して、「気」や「血(けつ)」のめぐりが悪くなることによります。(「気」や「血(けつ)」に関しては別の機会でお伝えしますね。)
※今の「暑邪」の時期は、心と小腸を傷めます。
ですので、心臓疾患を持った子は、中医学を学ぶ前から思ってましたが、暑くなるととても疲れているのを感じるんですね。
ですので、心臓疾患の子を持つ飼い主様はこの時期にはいつも以上にケア(お灸・推拿・食餌など)をしてあげるようにして下さいね!
※前回の『よもやま話』でも書きましたが、梅雨の湿気の多い時には脾と胃。暑い時期には、心と小腸・・と言うように、中医学では季節ごとに自然界の邪気のせいで決まった臓器が傷むと言われています。その決めごとを『五行論(ごぎょうろん)』と言います。これもまた別の機会でお伝えしますね!

さて、これらの対応法ですが、先ずは気の巡りを良くすることが大事です。それによって体内の水(血)のめぐりも良くなります。すると身体にたまった余分な水を外に出します。

それには、
A)お灸
B)針などの道具を使わずに掌(手のひら)や指の腹でツボや経絡を刺激して治療する推拿(すいな)
C)湿を取る食餌
がお勧めです。

今日は、A)お灸についてお伝えしますね!

先ずは身体の「気」のめぐりを良くして、身体にたまった水分を出すツボをお伝えして、その後、「湿邪」の時期に起こる症状(下痢・腹痛・食欲不振など)に効くツボをご紹介しますね。

棒灸市販の「せんねんきゅう」でも悪くはないですが、写真の様な棒灸が使いやすくてお勧めです。

今は「暑邪」の時期ですが、エアコンが利いているので、舌の色が薄ピンクの寒がりさんであれば、よけいお勧めです。

ただ、舌が真っ赤の子や真っ黄色のおしっこをしたり、濃い色の固いウンコをする子は暑がりさんなので、下に書いた百会や胸から上のお灸は熱をあおるのでなるべく控えた方が良いと思います。

必要だと判断した時は、時間を短くした方が良いですね~!(但し、寒がりさんでもあり、暑がりさんでもある子はいっぱいいます。)

1)まずは百会(ひゃくえ;頭のてっぺんで、耳と耳と結んだ線)からお灸をする・・・陽(温かい)の気が身体中に回ります。・・但し暑がりさんはこのツボはやめましょう!!
2)その後、三焦兪(さんしょうゆ;一番目の腰椎と二番目の腰椎の間・・詳しくはその左右両側にあるツボだが、ここのお灸でよい。)・・水の流れを良くする。
3)腎兪(じんゆ;二番目の腰椎と三番目の腰椎の間・・上と同様である。)・・高齢で足腰が弱った子にもとても良い。
4)水分(すいぶん;おへそから動物の指一本上)・・むくみに最適。
5)三陰交(さんいんこう;後ろ足の内側のくるぶしから指四本分上)・・むくみに最適。

※暑がりさんは1)は避けて、1)~5)まで順にを5~10秒ずつお灸する。それを数回繰り返す。または各々を3分ずつお灸を充てて一回で終わらせても良い。
お腹のお灸を嫌がる子もいるので、そういう子は無理しないで背中側や足のお灸のみで良い。

6)足三里(あしさんり;膝とその下のでっぱりの間の窪みから指三本分下)・・下痢・嘔吐に最適。冷えでの下痢などには特にお灸が良い。冷えでない下痢では、むしろお灸ではなくて指で軽く上から下に向かって押すと良い。
7)中脘(ちゅうかん;おへそから指四本分上)・・胃の痛みに効く。脾にも良い。6)同様、冷えにはお灸が良いが、食べすぎで胃に熱を持った時は、お灸ではなくて、このツボを指で上から下に軽く押す。

※6)と7)は湿邪の時期のみならず、消化管のトラブルに使えます。
※中医学では、病気で崩れた人や動物の身体のバランスを整えることを目的としています。
先ほどお伝えしたように、舌が真っ赤だったり、真っ黄色のおしっこをしたり、黒い固いウンコをするような子は、お灸ではなくて、針の代わりに指で軽く刺激するだけでも治療効果は出ますので、やってみて下さいね!

それでは今日はこの辺で~(*^_^*)/

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日本獣医中医薬学院の山内校長研究科、今年度最後の授業

日本獣医中医薬学院の山内校長に『医学気功』を教えて頂いているところ

良い治療をする為には、私達自身が元気でないといけません!
校長先生のお陰で、毎朝、治療の前に気功をしています。

座学の後の実習座学の後の実習

トリマーさんの専門学校にいるモデルのワンちゃん達を、授業の後でみんなで脈を取って検証しつつ、治療させて頂いています。

2019年 8月 06日掲載
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