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その⑲「冬の薬膳」

こんにちは!
この冬は暖冬だと思いきや・・・ここのところ、めっきり寒くなりましたね~。

春には春の、夏には夏の、秋には秋の薬膳をご紹介しようと思っているうちに、冬が始まり、立春まで指を数えるほどになってしまいました。
前回の「よもやま話の続き・その②」は一旦置いておいて、今日は「冬の薬膳」について書かせて頂きますね。
まだもう少し寒さは続くと思いますので、参考にして頂けたら幸いです。

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《冬とは・・》

立冬(11月7日)から立春(2月4日)の前日までの間を差します。
この3か月間は‟陰”が極まり、陽気が潜伏し、草木は枯れ、動物は冬眠に入り春の為の準備を始めます。
ですので、我々人間もこの冬の臓である腎をしっかり養って、春に向けて準備をしなくてはなりません。

・・・春は肝の働きにより血を消耗し、梅雨は湿気の影響を受けて脾が傷みます。そして夏は暑さのせいで心気と心の液体である汗を消耗します。秋には乾燥により肺が傷み・・・結局私たちは一年中、気・血・津液を消耗しているのですね。 そしてこれらの元になる精気(生命根源の力)は腎に貯蔵されています。 ですので、冬は腎に水穀の精微(飲食等によって蓄えられる精気)をしっかりと貯蓄させて体を養い、各臓腑に営養を行き渡らせる必要があるのですね。

《冬の養生の原則》

  • 中医学の元になった「黄帝内経」という経本では、「冬は早く寝て遅く起きること。」「欲望は控えて体内の陽気が失われない様に体を温かく包んで過ごすべきである。」そして「腎を養うことが重要である。」と書かれています。
  • 冬の邪気(寒邪)は、腎を傷めやすいので、腎を養うものを食べ、身体の保温に心掛け、乾燥に注意して抵抗力をつけるようにします。
  • 冬は日照時間が短くなるので、陽気を逃がさない様に日常生活をゆっくり過ごして、安定した気持ちでいることを心掛け、睡眠時間をしっかりと取る必要があります。

・・・因みに、私は毎朝仕事前に、両手の‟労宮”というツボを太陽にかざして、陽気を身体の中に入れています。それだけでぐ~んとエネルギーが増すのを感じます。(労宮は掌の真ん中にあるツボです。グーを作ると中指が当たる辺りにあります。)

《冬の食養に用いられる食材》

  • 補気助陽作用;気を養い、陽を温める・・・うるち米、もち米、長芋、ジャガイモ、栗、クルミ、干し椎茸、鶏肉、羊肉、鹿肉、エビ、ナマコetc
  • 補血滋陰作用;血を養い、陰を補充する・・・黒キクラゲ、ほうれん草、人参、百合根、イカ、豚肉、豚のレバーetc
  • 理気活血作用;気をめぐらせ、血流を良くする・・・陳皮(ミカンの皮)、チンゲン菜、グリーンピース、ジャスミンetc
  • 温裏散寒作用;臓腑を温め、体内の寒気を散らす・・・生姜、羊肉、唐辛子、山椒、ニラ(この3つは動物には不向きですね。)etc

※犬猫に使いやすい食材;穀類、長芋、ジャガイモ、干し椎茸、豚肉、鶏肉、羊肉、エビ、陳皮

私は、ある程度歳を取った犬に関しては、手作りご飯を推奨しています。
ドッグフードは緻密に計算されているので、成長期には向いていると思いますが、基本的に炭水化物が多いため、シニア期を過ぎたワンちゃん達には消化に負担が掛かるのですね。
それで、手作りご飯を作りたいとおっしゃる方には、ざっくりと上の様な食材をお勧めすることがあります。そしてそれと共にシニア期の子や肝腎の弱っている子には 「クコの実」をお勧めしています。
野菜とお肉のスープを作る時、5~10粒一緒に入れます。(我が家では家族も犬も同じ物を食べるので、大量に作ります。なのでもう少し入れます。)
それだけで、立派な薬膳効果を発揮します。
今は便利になり、クコの実はわざわざ薬膳のお店に行かなくても、スーパーの香辛料のコーナーに中華料理の食材として、売っています。

ということで、夜更かしをせずに養生しつつ、冬に食べるといい食材を使って頂いて、この厳しい寒さを乗り切って下さいね!

2016年 1月 24日掲載
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