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子宮蓄膿症について

 健康だった中年以降(大体4~5歳以上と考えて頂いて良いと思います。)のメスの犬や猫が突然、嘔吐が始まったり元気がなくなったりして、血液検査やレントゲン、超音波検査で、子宮蓄膿症だと診断される事があります。
 子宮蓄膿症は、中年以降の避妊手術をしていないメス犬(猫)に発症する病気です。
 犬では、平均発症年齢は7・1プラスマイナス2.4歳であり、自然発症率は0.6%と言われていますが、9歳以上の未避妊犬の発症率は66%と言う報告があります。

 症状は、元気及び食欲の低下、多飲、多尿、嘔吐、腹部膨満、陰部からの膿の排出(これを開放型と言い、陰部から膿が排出されない型を閉鎖型と言います。)などです。

 放置すると、腎機能不全やDIC(=藩種性血管内凝固症候群 後述※①)によって死に至る事もあります。

 子宮蓄膿症は、性ホルモン(エストロジェンの刺激やプロジェストロン)が多く関与しており、それと共に細菌感染(原因菌の70%は大腸菌)が起こる事により、発症します。

 治療法は、内科的療法(プロスタグランジンF2アルファーと言うホルモン剤の注射)で抑える事も出来ますが、20%前後で再発があると言われています。
 ですので、完全なる治療法は、出来るだけ早期に卵巣と子宮の摘出をするのが一番だと思われます。

 尚、早期に手術を行っても、先程言いましたDICや免疫異常による自己免疫性溶血性貧血(後述※②)などを併発し、2~3%(他の資料では、5~8%)の動物が死亡すると言う報告があります。

 それなりの年齢のメスの犬猫を飼ってらして、以上の症状を示し、尚且つ未避妊であった場合、子宮蓄膿症の疑いがありますので、早めに受診される事をお勧めします。
(因みに・・・犬猫と書いてきましたが、これは犬猫に限った事ではなく、兎やフェレットなどでも発症します。)

※①DIC(藩種性血管内凝固症候群)
 いわゆる血液の凝固疾患のことであります。様々な疾患によって組織障害が起こり、その為に血管凝固促進物質が大量に流出して、凝固系の働きが更新します。その為に血小板やフィブリノーゲンなどの凝固因子が大量に使われ、そして不足し、その結果凝固異常を起すもので、血栓による循環障害、ショック、出血などが起こる状態のことです。

※②自己免疫性溶血性貧血
 細菌感染などの他、あらゆる原因により免疫異常がおこり、自分自身の赤血球を標的にしてしまい、その免疫反応の結果貧血になる病態を言います。

2008年 3月 31日掲載
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